Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【151】「飯塚事件」(前編)法務省が無実の人を “確信犯的” に処刑!?

◆死刑執行を裏でお膳立てする法務省

今回は前回の予告どおり、法務省と死刑執行について書きます。

死刑執行の流れは2012年、「毎日新聞」が法務省に情報公開請求して明らかにしました。記事をまとめると、以下のようになります。

また、ジャーナリスト・青木理(おさむ)さんの著書『絞首刑』(講談社文庫)では、このように書かれています。

死刑囚の刑が確定すると、当該事件を管轄する高等検察庁(地裁段階で確定した場合は当該の地方検察庁)からの上申を受け、法務省では刑事局総務課が差配して(裁判の)一審段階からの公判記録などをあらためて精査する作業が行われる。

実際にこの任にあたるのが刑事局付の検事であり、刑事局総務課の幹部である参事官がこれを総括する。ここで執行停止や再審、あるいは恩赦の事由があるか否かなどをチェックし、問題がないと判断すれば、刑事局付の検事が「死刑執行起案書」を作成することになる。(241ページより)

 近年はどこかの拘置所で死刑が執行されると、その日のうちに報道されるようになりました。そこでカメラの前に出てきてコメントするのは法務大臣です。

なので私たちは法務大臣が死刑執行を主導しているように思いがちですが、実は裏で法務省刑事局がお膳立てをしているのです。

また、検察がいろいろと実務に関わっていることも、改めて分かります。起訴から求刑、そして死刑執行まで、まさに検察がワンストップで仕切っているのが現状です。

現在、日本国内には死刑が確定した人(確定死刑囚)が100人以上います。その中から誰の死刑を執行するか? どういう順番で選んでいるについては完全なブラックボックスですが、死刑が確定してから5〜6年ぐらいで執行されるケースが多いようです。

ただし冤罪が疑われ、再審請求を繰り返している事件は例外。たとえば「袴田事件」の袴田巖さんや、「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さん、「帝銀事件」の平沢貞通(さだみち)さんなどです。

袴田さんは死刑確定(1980年)から30年以上も死刑が執行されないまま、2014年に釈放を勝ち取りました。奥西さんは死刑確定(1972年)から40年以上無実を叫び続けたまま、2015年に獄死。平沢さんも死刑確定(1955年)から約30年後の1987年に獄死しました。

3事件とも冤罪が強く疑われ、再審請求が繰り返されたため、法務省も検察も死刑執行に踏み切れなかったのでしょう。ならばすみやかに再審に協力しろ!!と声を大にして言いたいです。

しかし…。

  • 死刑確定からわずか2年で執行
  • 再審を請求しようとしていた矢先の執行だった
  • 処刑される日まで一貫して無実を主張し、冤罪を疑う声も多い

という事件があります。それが福岡県で起きた「飯塚事件」です。

◆「飯塚事件」ってこんな事件

飯塚事件」については、過去にこのブログで紹介しています。

【117】11年前の今日、冤罪「飯塚事件」久間三千年さんの死刑が執行されました - Free大助!ノーモア冤罪!

ではどんな事件だったのか? 過去記事を編集の上、改めて紹介します。

●「飯塚事件」の流れ

〈事件発生〜死刑確定〉

  • 1992年2月20日 福岡県飯塚市で登校途中の小学1年生の女児2名が行方不明に
  • 1992年2月21日 同県甘木市(現・朝倉市)の崖下で2女児の遺体発見
  • 1994年9月23日 飯塚市に住む久間三千年(くまみちとし)さん逮捕、66日間の取調べで、一度も自白せず
  • 1995年2月20日 福岡地裁、第1回公判。久間さんは全面否認
  • 久間さんを“犯人”とする最大の証拠は、被害者女児の体内から発見されたDNA型が久間さんと一致したという、警察科総研の鑑定(後述します)
  • 1999年9月29日 福岡地裁(第一審)死刑判決
  • 2001年10月10日 福岡高裁(第二審=控訴審)死刑判決
  • 2006年9月8日 最高裁(第三審=上告審)死刑確定
  • 2008年10月28日 死刑執行

〈再審請求〜現在〉

  • 2009年10月28日 久間さんの遺族が福岡地裁へ再審請求
  • 2014年3月31日 福岡地裁、再審請求を棄却
  • 2014年4月3日 福岡高裁へ即時抗告
  • 2018年2月6日 福岡高裁、即時抗告を棄却
  • 2018年2月13日 最高裁へ特別抗告

このように地裁、高裁で再審請求が退けられ、現在は最後の望みをかけて最高裁で闘っています。

◆生命続くかぎり闘う…徳田靖之弁護士のお話

私は昨年10月に、「飯塚事件弁護団共同代表を務める徳田靖之弁護士の講演を聴きました。まさに身を削る想いで、久間さんの無念を晴らすべく再審を目指して闘う様子がヒシヒシと伝わってきました。

約1時間の講演内容は本当に衝撃的で、胸が詰まるものでした。今回はその一部、死刑が執行された時のお話を紹介します。

※文章は講演を聴きながら取ったメモを基に作成しています。文責は私にあります。

最高裁で上告が棄却されて死刑が確定した後、福岡拘置所に久間さんに面会に行きました。ここで “弁護士を全面的に信頼しています” と、再審を依頼された。それが2006年の9月のことでした。

その時点で私は、再審事件の弁護の経験がありませんでした。まったくはじめてのことです。そこで自分なりに法律の教科書をひもとき、あるいは再審事件をやられた弁護士の資料を読む中で、有罪となった事実を覆すに足りる明らかな新証拠を見つけないと、再審請求できないことを知った。それを必死になって探しました。

そうするうちに、2年という年月が経過してしまいました。

そこで私は主任弁護人と一緒に福岡拘置所を訪ねて、久間さんに死刑確定から2年が経過したのですが、私たちの準備ができていない。何とかして有力な新証拠を見つけたいと思っているのだけれども…という話をしました。

久間さんは獄中でいろんな資料を調べて、日本全国で死刑囚がどれぐらいいるかというリストを作っていた。そして “弁護士さん安心してください。私より先に死刑が確定している人がまだ20人近くいるので、私の順番が回って来るにはまだ時間がある。だからゆっくり構えて、しっかりした新証拠を出してください” と、逆に私を励ましてくれた。

その1ヵ月後、マスコミの記者から法務省が会見を開くという連絡が入りました。“法務大臣が会見で死刑執行を発表するようですが、徳田さんに何か連絡は来てますか?” というんです。 

“いいえ何も来ていません”と、びっくりして久間さんの親族にも電話をしたら、やはり連絡は来ていないと。そして午後になって、同じ記者から久間さんの死刑執行の発表だったと言われた。

法務省は、久間さんが再審請求の準備をしているということを十分に知った上で、死刑を執行しました。もっと早く再審請求をしていれば…私たちの怠慢が、執行を許してしまったと思わざるを得ませんでした。

死刑が確定している人は、国によって命を奪われるという崖っぷちに立たされていることを、蔑ろにしてしまった。これは弁護人として、やってはならない過ちです。

本当に、いたたまれない気持ちしかありません。そんな私たちに、久間さんのご遺族は “亡くなった主人は先生方を本当に信頼していました。ですから無念を晴らすためにも再審請求をして欲しい” と、助け舟を出してくださいました。

 この後、徳田弁護士は冤罪のポイントを丁寧に掘り下げ、 “生命が続く限り、久間さんの無念を晴らすために闘う” という決意で、講演を締めくくりました。

面会から1ヵ月後の、まさかの死刑執行。“モタモタせずに再審請求をしていれば、死刑執行は阻止できたかもしれない” という無念の想いがどれほど重いものか…私にはちょっと想像が付きません。

(記事は写真の下に続きます)

徳田靖之弁護士。2019年10月6日、カトリック清瀬協会で行われた公開学習会「死刑とえん罪」で。

f:id:daisuke0428:20191028133530j:plain

◆久間さんの死刑執行に秘めた法務省の狙い

改めて振り返ると、久間さんの死刑が確定したのが2006年9月で、執行が2008年10月。通常、死刑の確定から執行までは5〜6年ぐらい、10年以上執行されないケースもあります。確定から “たった2年” の執行は、本当に異例です。

なぜこんなことになったのか…? 推測されるのが「足利事件」の存在です。この事件は、1990年に栃木県で発生した幼女誘拐殺人事件。翌年に幼稚園バスの運転手だった菅家利和さんが逮捕され、無期懲役が確定します。

菅家さんを犯人とした根拠は、DNA鑑定でした。しかし2000年代に入ると鑑定技術は飛躍的な進化をとげ、1990年代当時の鑑定方法は精度が低く、信用に値しないことが明らかになります。

そこで2009年、菅家さんのDNAを再鑑定したところ、犯人でないことが明白に。これが決めてとなって2010年に再審無罪を勝ち取りました。足利事件は、世の中が「冤罪」や「再審」に注目するターニングポイントとなった事件でもあります。

そして「飯塚事件」で久間さんを犯人としたのも、足利事件と同一の「MCT118型」と呼ばれる鑑定方法。しかも鑑定を行った時期も、鑑定人もほぼ同じだったといいます。

このため “東の足利、西の飯塚” などと、称されることもあります。

久間さんの死刑が執行されたのは、まさに足利事件の再審に向けて、DNA再鑑定が行われようとしていた時期でした。

“似たような事件が2つも立て続けに再審無罪になったら、司法のメンツが丸つぶれだ…”。

恐らく法務省はこのように考えて、久間さんの死刑執行を急いだのでしょう。しかも足利事件無期懲役に対して「飯塚事件」は死刑事件。死刑制度を維持したい国として、冤罪の発覚を隠そうという狙いもあったのだと思います。

さらに…弁護団が「飯塚事件」の再審請求を進める中で、DNA鑑定に改ざんされた跡があることが明らかになりました。

  • 鑑定書に添付された写真に、久間さん以外の「誰か」(真犯人?)DNAが写っていた。しかし裁判には、その部分が切り取られて提出されていた!!
  • 写真には鑑定エラーがあった。そのヵ所をゴマカすため、わざと露出オーバー(※)にして焼き付けて見えなくした。※当時はデジタルでなくアナログのネガを使用

その他にも目撃証言のねつ造など、久間さんを犯人に仕立て上げるため、いくつかのデッチ上げが行われた疑いが持たれています。これについては長くなるので、また別の機会に書きたいと思います。

ひとまずまとめると、こういう結論になります。

  • 飯塚事件」は冤罪であるがゆえに、死刑が執行された。
  • 同じDNA鑑定で有罪となった「足利事件」に社会の注目が集まる中、次は「飯塚事件」が注目されるのは間違いない。
  • でも死刑制度を維持する(日本の治安を守る)上で、それは良くない。だったら注目される前にサッサと処刑してしまえ…という法務省の思惑が働いた。

これは私個人の妄想などでなく、「飯塚事件」を知る多くの人が考えていることです。たとえばジャーナリストの青木理さん。

青木さんは現地取材も行っており、実は先ほど紹介した『絞首刑』の一節は「飯塚事件」の章から抜粋したたものです。この本には久間さんを犯人にデッチ上げていく警察の捜査や、死刑執行の裏側が詳細に書かれています。

法務省の官僚が森英介法務大臣(当時)に、死刑執行の決済を迫るシーンの描写もあります。

森は、久間への死刑執行命令を発することに一抹の不安がよぎったのか、眼前の刑事局幹部にこう告げて再確認を迫った。

「間違いないのか」

しかし、痩せ顔の刑事局幹部はこう断言し、森に決断を促した。

「間違いありません。大丈夫です」(245〜246ページより)

 

また、評論家・宮台真司さんとのトークでは、私が書いてきたのと同じポイントを指摘しています。YouTubeのリンクを張っておきますので、ぜひご覧ください。

では久間さんの生命を奪った「法務省刑事局」幹部の素顔とは? 

次回に続きます。

www.youtube.com

 久間三千年(くまみちとし)さん。一貫して無実を訴えながら、法務省によって殺された。写真は『死刑執行された飯塚事件』(現代人文社)裏表紙より。

f:id:daisuke0428:20200602143609j:plain


 

【150】「法務省刑事局長」って何者!?調べてみました

◆“新聞の使命=権力監視”は、やはりタテマエだった

検察庁法改正案」ですが、黒川弘務検事長の賭博マージャン発覚という、想定外の展開になりました。

黒川さんのペナルティが最終的にどう落ち着くかは見守るとして、問題なのがマージャン仲間が産經新聞の記者と朝日新聞の社員だったこと。

タテマエ上とはいえ、権力の監視が新聞の役割。距離を置くべき相手である検察とマージャン卓を囲むとは、言語道断です。これではジャーナリズムもへったくれもありません。

このブログでは折にふれて、マスメディアはもっと検察の悪行をハッキリ伝えて欲しいと書いてきました。でもこんなズブズブの関係では、とても無理でしょう。

産經や朝日にとっての“スクープ報道”というのは、検察と親しくなってリークを垂れ流すことなのでしょう。

 ◆刑事局長は「大崎」と「袴田」の再審を妨害していた

この問題、当然ですが野党は追求の声をあげています。そこで国会の答弁に立ったのが、法務省の川原隆司(かわはらりゅうじ)刑事局長。

黒川氏賭けマージャン、1万~2万円やりとり 調査結果公表: 日本経済新聞

この名前、どこかで聞いたことあるぞ?と思っていたら、昨年6月にこのブログで取り上げいました。

daisuke0428.hatenablog.com

何と「大崎事件」の再審を妨害する意見書を最高裁に提出していた張本人だったんですね!!

さらにこんなtwitterも見つけました。

 ちなみにこの川原隆司刑事局長は、最高検検事だった2年前、袴田事件の担当で、「袴田巖の生活状況や心身の状況を考慮しても、拘置の必要性は高い」とかいう内容の意見書を最高裁に提出した人です。

 何と「袴田事件」の再審妨害も、川原さんだったのです。

“拘置の必要性は高い”とは、“東京拘置所に再収監すべき=死刑台に連れ戻せ!!”と言っているのと同じです。

もちろん川原さんの独断でなく最高検の総意で出した意見書だと思いますが、やはり看過できないと思います。

私は意見書を直接自分の目で確認していないので、このツイートを紹介するか迷いました。でもツイートした人が本格的に袴田さんの支援活動をしている方なので信頼できる情報と判断し、引用させていただきました。

改めて川原さんのここ10年のキャリアを調べてみました。

  • 平成22(2010)年4月 東京高検検事
  • 平成25(2013)年7月 大阪地検総務部長
  • 平成26(2014)年11月 東京地検刑事部
  • 平成28(2016)年4月 東京高検刑事部
  • 平成29(2017)年1月 秋田地検検事正
  • 平成30(2018)年1月 最高検検事 ※「大崎事件」「袴事事件」に意見書
  • 平成31(2019)年1月 法務省大臣官房長
  • 令和元(2019)年12月 法務省刑事局

(参考)

https://yamanaka-bengoshi.jp/

◆“法務省は検察に支配されている”は本当だった

さらに直近10人の検事総長のキャリアを調べると、7人が法務省刑事局長を経験していました。検察トップへの出世ポジションでもあるようです。

ちなみに黒川弘務さんは刑事局長でなく「刑事局総務課長」を経験していました。

本来、法務省は検察を監督する立場にあります。でも実際は“検察に支配されている”と、よく言われます。今回調べてみて、改めてこのことを実感しました。

この構図を何とかしない限り検察はこれからも冤罪をつくり、再審を妨害し続けるでしょう。

 では「法務省刑事局」とは、具体的に何をする部署なのか? 法務省のHPには、このように書かれています。

法務省:刑事局の事務

  • 刑事法制に関する企画・立案に関すること
  • 検察に関すること
  • 犯罪人の引渡し及び国際捜査共助に関すること

 さらにHPには書かれていませんが「死刑執行」の決済も、刑事局の仕事です。全国の拘置所に収容されている死刑囚の中から、誰の刑を執行するかを決めているのです。

これについては次回に書きます。

(つづく)

中央合同庁舎第6号館(左:法務省,右:検察庁)と、国の重要文化財に指定された法務省旧本館(赤れんが棟)。

建物の配置からして、法務省と検察が一体であることがよくわかる。(写真は法務省HPより)

f:id:daisuke0428:20200525132850j:plain

f:id:daisuke0428:20200525132906j:plain

 

【149】こんな時こそ、受刑者の権利を守ろう!こんなに違う台湾と日本

◆全国の刑務所・拘置所で面会禁止に

千葉刑務所の守大助さんと面会ができなくなって、1ヵ月以上になります。弁護士以外、家族も含めて面会が禁じられています。

理由は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため。法務省がこのように決定したため、他の刑務所や拘置所も一律同じような対応になっているといいます。

守大助さんのご家族からは「大助は元気です。安心してください」というメールが届きました。まだ詳細は確認していませんが、とりあえず一安心です。

一体いつまでこんな状況が続くのか気がかりですが、一番ツライのは塀の中の大助さんでしょう。引き続き手紙やハガキを送って励ますしかありません。

◆台湾ではハグ以外の面会はOK

私たちはこれも非常時だから仕方ないと思いがちですが、海外から見るとそうでもないようです。台湾からの留学生は、“ひどい”と驚きの声を上げています。

この学生さんから「再審・えん罪事件全国連絡会」に寄せられたメールを紹介します。この学生さんは台湾の「イノセンス・プロジェクト」(冤罪救済の取り組み)にも関わっています。

※一部「てにをは」を直しています。

コロナという理由で、家族も会えなくなるなら非常にひどいです。

コロナの影響で接見できなくなるかについて、台湾の状況を聞いてみました。

特別接見(直接接触できる接見、つまりハグしたりすることができる形)は制限されました。これに対し、一般接見(ガラス窓を通じ、通話機による面会)は通常通りできます。

当面、入る時、体温が測られ、マスクをつけるという条件なら、接見できるそうです。

 受刑者のマスク事情について、毎週1個配られるが、舎房と工場にいる時使用できず、移動するとき使用できるそうです。

 以上、今のところ聞いた情報です。

コロナという理由で、家族に一切会えなくなるなんてびっくりしました。

ハグできる「特別接見」なるものがあるとは、本当に驚きです。さすがにハグは禁止になっているものの、通常のガラス越しの面会はOK。日本とは大きな違いですね。

南アフリカの人権活動家であり、大統領にもなったネルソン・マンデラさん(1918〜2013年)の言葉を思い出しました。

 刑務所に入らずして、その国家を真に理解することはできない。
国家は、どのように上流階級の市民を扱うかではなく、どのように下流階級を扱うかで判断されるべきだ。

本当にその通り!と同意するしかありません。

法務省に要請書 

こんな状況を手をこまねいて見ているわけには行きません。「日本国民救援会」と「再審・えん罪事件全国連絡会」は、法務省宛に要請書を提出しました。

提出日は4月27日と少し前ですが、全文を紹介します。

※読みやすくするため、原文に適宜改行を入れています。

 新型コロナウイルス感染拡大の下での被告人、受刑者等の生命と健康の確保及び 基本的権利の保障(とりわけ家族、支援者の面会制限の是正処置)を求める要請書

法務大臣 森まさこ 様

矯正局長 大橋 哲 様

                    2020年4月27日

                    日本国民救援会中央本部

                    再審・えん罪事件全国連絡会

法務省は、政府の「新型コロナウイルス感染対策・緊急事態宣言」を受け、当初「宣言」の 対象区域となる38カ所の施設において、勾留されている被告人や受刑者の弁護人以外との面 会を制限しました。

報道によれば、現在13都道府県71カ所で同様の制限を行っています。 私たちの団体には、刑務所、拘置所に収監されている当事者や家族、支援者から新型コロナ ウイルス感染への不安と、面会制限によって外部交通が一方的に遮断されたことに対する抗議 の意見が寄せられています。

1、政府は、感染拡大の発生を防止するためには、いわゆる「三つの密」(密閉空間・密集場 所・密接場面)の回避が重要だとし、その徹底を呼びかけています。

刑事施設や留置施設は、「法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針」でも指摘 しているように、「三つの密」の条件が揃った最もリスクの高い施設です。実際に、大阪拘置 所での職員の感染、東京拘置所での入所者の感染、さらには警視庁渋谷警察署で被疑者の集団 感染が報道されています。

感染防止のためには、外部と遮断するだけでは不十分であり、適切な保健医療にもとづく対策が緊急に求められています。そのような危険な状況の最中に東京拘 置所においては、未決の時はマスクの着用が認められていたにもかかわらず、既決の受刑者に なったらマスクの着用が禁止され、それに代わる感染防止の対策が示されないという、まった く感染防止とは真逆な処遇が行われている実態が報告されています。

2、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止措置を講ずる必要があることに異論はありませ ん。しかし、感染拡大防止のための合理的な限度を超えた規制により、被収容者の人権が制約 されることは許されません。

WHOは、3月15日『刑務所その他拘禁施設における新型コロナウイルスの対応、予防及 び統制に関する暫定ガイダンス』を出して、新型コロナウイルス感染拡大の防止が、「国連被 拘禁者処遇最低基準規則(ネルソンマンデラ・ルールズ)に含まれるあらゆる基本的な保障を 遵守することをないがしろにする根拠や口実として使われてはならない」と警告を発していま す。

そして、「刑務所その他拘禁施設にいる人たちは、その法的地位に基づく差別なしに、外 部の社会において適用されると同等の水準の保健医療を享受できるものでなければならない」 「家族とのコンタクト手段が、限られた期間について例外的な場合に制限される場合があると しても、完全にこれを禁止することはできない」ことも強調されています。

これを受けて、3月20日には欧州評議会の拷問防止委員会(CPT)が、この問題で「声明」 を出しました。「声明」では、「パンデミックの期間中における拘禁された人の基本的権利は、 全面的に尊重されなければならない」とし、家族などと面会制限を行うにあたっては、他のコ ミュニケーションの代替手段(電話、インターネット等)へのアクセスを増やして外部交通権 を保障することを求めています。

さらに、4月7日には拷問防止小委員会(SPT)は、締約国に対してコロナウイルス感染症 に関する具体的な対応策について「助言」を公表しました。

3、隣国の台湾や韓国では電話などによる代替手段が保障されています。例えば、台湾におい ては、特別接見(直接接触できる接見、つまりハグしたりすることができる形)は制限されま したが、ガラス窓を通じた通話機による一般面会は通常通り行われています。

面会の際には、 事前に体温が測られ、マスクをつけるという条件を遵守する場合には、接見を許可しています。 むしろ、マスクの着用は面会で条件とされて、受刑者にはマスクが毎週1個配られているそう です。

韓国では、電話による外部交通権は広く認められています。現に日本から受刑者移送条約に よって韓国に移送となった受刑者と日本の支援者が国際電話を通じての安否確認を認められ た実例もあります。

4、以上の理由により、法務大臣においては、新型コロナウイルス感染拡大に対する被告人、 受刑者等の生命と健康の確保と家族や支援者との面会制限について、下記の処置(■是正を求 める当面の緊急要請事項)をとることを強く要請します。

■是正を求める当面の緊急要請事項

1、刑事施設等の収容者とそこで働く職員の命と健康を守るために 「法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針」では、「収容施設の特性を踏まえ た新型コロナウイルス感染症対策に係るガイドラインの策定」を行うとしています。

「ガイド ライン」の策定にあたっては、WHOや国連人権高等弁務官事務所の「暫定ガイダンス」や拷 問防止小委員会の「コロナウイルス感染症の世界的流行(COVID-19)に関する締約国および 国内防止機関に宛てた小委員会の助言」に基づいて早急に策定し、感染防止を徹底することが 必要です。

刑事施設内での感染防止を実現するためには、職員の感染防止だけでは足りず、以下にあげ る被収容者の感染防止策を直ちに行う必要があります。
①被収容者の正確な感染状況を知るうえで速やかに PCR 検査を実施すること。その検査結 果及び刑事収容施設等の感染状況を逐一公表すること。 ②全被収容者へマスクを配布し、着用を認め、促すこと。
③食事前の手洗い、定期的な施設の消毒の実施等、衛生管理を徹底すること。
④「三つの密」(密閉空間・密集場所・密接場面)の状況での刑務作業を中止すること。
⑤万一、被収容者が感染した場合は、また感染が疑われる場合は、外部の社会において適用 されると同等の水準の医療を行うこと。

2、面会制限、外部交通権の確保について

①面会制限の問題については、これまで面会が認められていた家族及び支援者など本人を支 えてきた人について、電話、インターネットなどによるアクセスを保障すること。

刑事収容施設法は、第 146 条において、一定の場合、受刑者に電話使用を認めています。 にもかかわらず種々の限定条件により、実務上はほとんど活用されていません。

面会の制 約による影響は、すべての被収容者に及ぶのですから、電話を代替手段として活用できる 機会、通話対象などを拡張すべきです。

②アクリル板越しで会話する現行の面会制度は、通常の人と人との接触形態と比較しても、 危険度がとりわけ高いとは考えられません。

事前の検温やマスク着用を義務化するなどの感染防止措置をとるならば、安全性を担保しながら面会を実施することは可能であり、そ のようにすべきです。

現に一部の施設では、弁護士との接見をテーブルの上にアクリル板 の衝立を立てて、面会を行っているとの報告もあります。 万一、感染の危険があるというなら、台湾のように事前の検温やマスク着用の上で、ア クリル板越しに通話機又はその他の感染防止措置を施した上での面会を認めることとすべ きです。

3、すべての被収容者へ感染症対策について周知徹底すること

すべての被収容者の不安を解消し、職員による感染症対策を徹底するために、現況やとら れる措置およびその影響などについて、日本語を理解しない被収容者にも周知徹底を図るために、被収容者が理解するできるだけ多くの言語に翻訳されて、配布または回覧・展示など の方法を講じることを求めます。

4、関連する省庁、裁判所との連携した取り組み

①警察の留置施設は、逮捕後の短い留置のための施設という理由で、医師が配置されておら ず医療機器もない状況で、「三つの密」が回避できていない。

現に渋谷署で留置されてい る人の集団感染が発生しており、東京拘置所でも新たな入所者の感染が確認されている。 警察庁と連携を強めて感染防止策をとるとともに、できるだけ身柄拘束をせず在宅での捜 査を行うこと。 ②検察庁はできる限り被疑者・被告人の身柄拘束の請求をやめること。裁判所が保釈を決定 した場合にはそれに従うこと。

③政府が予定している国民への給付金について、すべての収容者について確実に給付される よう総務省と調整すること。

「再審・えん罪事件全国連絡会」のHPでは、要請書のほかWHOの見解などもご覧いただけます。
www.saishin-enzai.net

千葉刑務所の門。いつも面会に行く時は、ここをくぐります。

f:id:daisuke0428:20190219192014j:plain

【148】検察OB意見書に感じた薄気味悪さ

◆しつこいようですが“検察=正義”じゃありません

検察庁法改正案」、先週の採決は見送られました。“#検察庁法改正案に抗議します”と、たくさんの人が声を上げた成果だと思います。

しかし“アベ政権は許せない!!”という風潮が高まるあまり、その反動で“検察=正義”という誤った認識が広がってしまわないか、心配しています。

冤罪という観点から見ると、検察は自ら法治国家を破壊しているとしか思えない数々の蛮行を行っています。それに歯止めをかけないと大変なことになる…。そんなことを前回・前々回の2回にわけて書きました。

【146】#検察の不正義に抗議します(1) - Free大助!ノーモア冤罪!

【147】#検察の不正義に抗議します(2) - Free大助!ノーモア冤罪!

◆検察OB意見書、気味悪すぎます

先週末には検察OBが、法案改正に反対する意見書を法務省に提出しました。その全文が公開されています。「ハフポスト」(朝日新聞)のリンクを張っておきます。

www.huffingtonpost.jp

意見書の内容は、おおむね好感をもって迎えられている感じがします。この問題に積極的にツイートしてきた女優の小泉今日子さんは相当感激したらしく、こんなツイートをしています。f:id:daisuke0428:20200517124501p:plain

泣いて背筋が伸びたそうです。もしこの感想が平均的な世論だとしたら、状況は相当に危ういです。

私の感想は真逆で、吐き気がするほどの薄気味悪さを覚えました。では何が薄気味悪いのか、考えていきましょう。

◆改めて意見書を読み返して問題点を考えてみる

◆大企業に天下りした人に“政財界の不正”と言われても…

 意見書は8つの章で構成され、最後に14名の検察OBが名を連ねています。全文の紹介は上記リンクの記事にゆずって、気になったヵ所を抜粋し、とくに「!?」と思った部分を赤字にしました。

検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。

14名の検察OBを代表して意見書を提出した1人が、元検事総長松尾邦弘さん。この方は2006年に検事総長を退任して弁護士登録。同時にいろいろな企業の監査役や法律顧問を歴任してきました。ざっと調べてみると…。

旭硝子(現AGC)、トヨタ自動車三井物産損害保険ジャパン小松製作所ブラザー工業日本取引所グループテレビ東京HD、セブン銀行エイベックス・グループHD(現エイベックス)

 これは秘密情報でも何でもなく、検索すれば普通に出てきます。松尾さんに限らず、歴代の検事総長は名だたる大企業に天下りしています。まだ全て調べ切れていませんが、リスト化したらスゴいことになりそうです。

“政財界の不正事犯”を捜査するという立場をわきまえているなら、まずはこうした大企業との関係を断ち切るべきじゃないでしょうか?

“日本の刑事司法は〜崩壊することになりかねない”に至っては、言葉を失うしかありません。このブログで再三書いてきたとおり、すでに日本の刑事司法は崩壊しています。他ならぬ、冤罪を作り続ける検察によって…。

◆「ロッキード事件」は本当に正義の闘いだったのか?

安倍総理大臣は〜(中略)〜フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。

フランス革命」の原因を作ったと言われる王のセリフを、わざわざ引用しています。 フランス革命は市民革命と言われ、自由を求める市民が王政を倒したという歴史的評価がなされています。

安倍政権に対する怒りが高まったのに乗っかって “検察は市民の味方=正義” という印象操作をしようという意図があるのではないか? うがった見方をしてしまいます。

かつてロッキード世代と呼ばれる世代があったように思われる。ロッキード事件の捜査、公判に関与した検察官や検察事務官ばかりでなく、捜査、公判の推移に一喜一憂しつつ見守っていた多くの関係者、広くは国民大多数であった。

この後「ロッキード事件」における検察の活躍を自画自賛した文章が、これでもか!というぐらいに続きます。

私は「ロッキード事件」についてはまだまだ不勉強で、多くを語れません。しかし “正義の検察が、巨悪の田中角栄・元首相を倒した” という単純なストーリーでとらえて良いのでしょうか?

この事件は裏でアメリカが糸を引いていたとか、いろいろなことが言われています。それらを単なる陰謀説で片付けて良いのか、私にはよくわかりません。

そして私がもっとも薄気味悪く感じたのが “広くは国民大多数” というくだり。検察は世論の圧倒的な指示を受けていたと言いたいのでしょう。

ではその“世論”はどうやって形成されたのか? 検察自らがメディアに情報をリークして、自作自演で作り上げたことはないでしょうか? 私は当時のテレビや新聞報道をよく知らないので断言できませんが、大事件になるほど捜査当局によるリークが行われるといいます。

私が支援に関わっている守大助さんの「北陵クリニック事件」も、逮捕直後から警察のリークによる洪水のような報道がなされました。これにより“守大助=恐怖の筋弛緩剤点的魔を許すな!”という “世論” が形成されました。

これは他の冤罪事件でも、よくあるパターンです。そんな警察・検察のやり方を知ってしまった私としては、この意見書を額面どおり受け取ることはできません。

◆後輩検事の前に、冤罪犠牲者のトラウマや苦しみを知れ!!

しかし検察の歴史には、捜査幹部が押収資料を改ざんするという天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件もあった。後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し、きちんと育っていないのではないかという思いもある。それが今回のように政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないかとの懸念もある。検察は強い権力を持つ組織としてあくまで謙虚でなくてはならない。

この事件が「障害者郵便制度悪用事件」(2009年)のことを指すのは、間違いありません。

厚生労働省元局長の村木厚子さんを無理矢理有罪にするために、大阪地検特捜部の検事が証拠のフロッピーディスクを改ざん。メディアも大々的に報じて、検察を揺るがす一大スキャンダルとなりました。

そして事件を機に検察改革の機運が高まりましたが、その直後に起きた東日本大震災や法務官僚の抵抗、さらには民主党から自民党への政権交代が重なり、トーンダウンしてしまいました。

では “天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件”が起きてしまった原因は、何だったのか? 一体何が、担当検事を証拠の改ざんにまで追いつめたのか?

その背景には “検察のメンツにかけて、起訴した以上は何としても有罪にしろ!!” という、組織的なプレッシャーがあったのではないかと思います。 

もし、“この起訴には無理があります。この人は無罪です” と言える空気が組織内にあれば、こんな不祥事は起こらなかったでしょう。

この部分を反省もせずにスルーして、“政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないか”というのは、問題のスリカエにしか思えません。

検察組織の内側がどのような雰囲気かについては、元検事で現在は弁護士の市川寛さんの著書『検事失格』に詳しく書かれています。

市川さんが現役の検事だったとき、ある疑獄事件で同じような立場に追い込まれた経験が生々しく描かれており、検察の体質を知る必読の1冊です。

“後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し”に至ってはヒドすぎて…というか怒りのあまり、反論の言葉さえ見付かりません。

検察によって苦しめられている冤罪犠牲者がたくさんいることを、この検察OBたちは認識しているのか?「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さん、「飯塚事件」の久間三千年さんのように、生命まで奪われた人がいることを、どう思っているのか? ようやく死の恐怖から解放された袴田巌さんを、再び拘置所に連れ戻せと主張しているのは、どこの誰なのか?

冤罪犠牲者が抱えるトラウマや苦しみは、後輩検事の比ではないハズです。

その程度のことを理解する想像力さえ持ち合わせていない人たちに、エラそうに大義を語る資格があるのか?

この検察OBたちが本当に、純粋な正義感に突き動かされて今回の行動に出たのならば、ぜひ現在の検察に対しても苦言を呈して欲しい。

無罪判決に対する不服申立てはやめよ! 再審開始決定に対する抗告はやめよ! 証拠を隠すような卑怯なコトはするな!

こんな声を、検事総長以下現役の検察官に対して投げかけてほしいと思います。しかし今回の意見書を読んだかぎり、その可能性は限りなくゼロに近い気がします…。

 5月15日、意見書を提出するため法務省に入る松尾邦弘さん(元検事総長・右)と、清水勇男さん(元最高検察庁検事)。 (写真は朝日新聞

f:id:daisuke0428:20200517124429j:plain

 

 

 

【147】#検察の不正義に抗議します(2)

(前回より続く)
検察の犯罪③再審開始決定への不服申立てとは?

「再審」というのは「有罪」が確定した事件について、もう一度裁判をやり直すこと。ほぼ全てのケースで「無罪」という結果になっています。

戦前までは「無罪」が確定したのを「有罪」にする再審もありましたが、戦後になって廃止されました。

その根底には、再審の目的はあくまでも“無辜(無実の人)の救済”であるという考えがあります。このため再審は、罪犠牲者にとって“最後の砦”とも言われています。

 裁判所に再審開始を認めさせるには、それこそ血のにじむような努力が必要です。本人が犯人でないことを示す新しい証拠(DNA鑑定など)を見つけるなど、何年(場合に寄っては何十年)もの時間をかけて、1つひとつ高いハードルをクリアして、ようやく勝ち取れるのが再審開始です。

前回紹介した「布川事件」のように、検察が隠していた証拠の存在が明るみになって、再審開始になったケースもあります。

こうしてようやく勝ち取った再審開始決定。しかし日本では、これに検察が不服を申し立てること=再審の妨害が、法的に認められているのです。

実際にここ15年ぐらいの事例を見ると、検察はほぼ例外なく不服を申仕立てています。まさに権力の濫用です。

 

 ◆再審開始決定がされた著名事件〈カッコ内は決定が出た年〉

名張毒ぶどう酒事件(第7次請求・2005年)×

布川事件(第2次請求・2005年)○

足利事件(2009年)○

・福井女子中学生殺人事件(2011年)×

・東住吉事件(2012年)○

東京電力女性社員殺害事件(2012年)○

袴田事件(第2次請求・2014年)△

・大阪強姦事件(2015年)○

・松橋事件(2016年)○

・ロシア人おとり捜査事件(2016年)○

・大崎事件(第3次・2017年)×

・湖東記念病院事件(第2次・2017年)○

・日野町事件(第2次・2018年)△

  • ×=検察の不服申立てによって、再審開始が取り消された。ただし「大崎事件」は最高裁が検察の不服申立てを退けながら、再審開始を取り消し。
  • △=再審を認めるか審理中
  • ○=再審・無罪を勝ち取った

このリストは『季刊刑事弁護』(2019年秋号)に掲載された「再審開始決定対する検察官抗告の不正義」という記事を参考にしました。記事を書いたのは「大崎事件」の鴨志田祐美弁護士。タイトル通り、検察の不正義を告発しています。 

記事はこちらから購入できます。

再審開始決定に対する検察官抗告の不正義―特別抗告3事件にみる検察官の「再審妨害」 - 現代人文社

 

 話を戻して、上記リストのうち検察が何も言わなかったのは「足利」と「大阪強姦」の2事件のみ。他11件はすべて検察が不服を申立て、うち3事件で再審開始が取り消されてしまいました。

前回紹介した「名張独ぶどう酒事件」も、この3事件に含まれます。繰り返しになりますが、奥西勝さんは“検察に殺された”と言って過言じゃないでしょう。

このブログでも繰り返し書いてきましが、まだ結論の出ていない「袴田事件」の行末も心配です。検察は袴田さんを“拘置所に最収監せよ=死刑台に連れ戻せ”と、平然と言い放っています。

無罪を勝ち取れた事件についても、検察の不服申立てがなかったら、もっと早く無罪が確定していたケースばかりです。

 ◆コピペ文書の使い回しで「特別抗告」を乱発

では、検察は一体どんな理屈をこねて不服を申し立てるのか?

先ほどの『季刊刑事弁護』の記事では「松橋事件」「湖東記念病院事件」「大崎事件」のケースを比較しています。この3事件はいずれもほぼ同時期に、最高裁に対して不服申立てが行われました。

最高裁に対する不服申立ては「特別抗告」と呼ばれ、再審開始決定の内容に「憲法違反」か「判例違反」がある場合のみに、認められています。“憲法”とか“判例”と言うと難しく感じますが、要はよほど例外的なケースでないかぎり認めないということです。

それを検察は、同時期に3件も申し立ててきました。

そして検察の提出した3事件の「特別抗告申立書」を比較したところ、大半が一言一句同じ文章の使い回し=コピペでした。内容についても「判例違反」について、あれこれと重箱の隅をつついた内容を並べただけの代物だったといいます。

ようやく切り開かれた再審の道をコピペ文章で妨害する…これは裁判、人権、正義への冒涜に他なりません。

そもそも「判例違反」があるかどうかという以前に、この3事件いずれにおいても検察は、無実の証拠を隠すなどトンデモない不正義を重ねてきました。本来なら真っ先に謝罪をして再審に協力すべきにもかかわらず、特別抗告したのです。

 結局、最高裁は3事件すべてについて検察の主張を「特別抗告の理由には当たらない」と、三行半で退けました。そして「松橋事件」と「湖東記念病院事件」は、無事に再審・無罪を勝ち取ることができました。

しかし「大崎事件」については検察の主張を退けながら、最高裁が独自に再審請求を棄却してしまいました。 

「松橋事件」の宮田浩喜(こうき)さんは無罪を勝ち取ったとはいえ、認知症を患って寝たきり。再審をともに闘ったご長男は、無罪の報告を聴く前に病気で亡くなりました。

「湖東記念病院」の西山美香さんは20代〜30代のほぼ全てを、冤罪を晴らす闘いに費やされました。

そして「大崎事件」の原口アヤ子さんは、93でほぼ寝たきり。“殺人犯のまま死ねない!”という気力だけで、生命をつないでいるといます。

各事件の概要と検察が行った不正義については、過去のブログをご覧ください。 

〈松橋事件〉

【27】冤罪「松橋事件」どうする検察!? 12月4日に注目! - Free大助!ノーモア冤罪!

【28】冤罪「松橋事件」やはり検察は特別抗告(怒) - Free大助!ノーモア冤罪!

【77】「松橋事件」再審開始に思うこと - Free大助!ノーモア冤罪!

【79】「松橋事件」再審開始、各紙の社説 - Free大助!ノーモア冤罪!

【89】再審無罪までもう一歩!!「松橋事件」検察の態度に注目 - Free大助!ノーモア冤罪!

【93】いよいよ再審無罪!「松橋事件」勝利を導いた弁護団のチーム力 - Free大助!ノーモア冤罪!

〈湖東記念病院事件〉

【104】やったぞ!!湖東記念病院事件、再審開始 - Free大助!ノーモア冤罪!

【116】「湖東記念病院事件」検察“有罪立証断念”の狙いとは? - Free大助!ノーモア冤罪!

【118】「湖東記念病院事件」滋賀県警は無実をわかってて逮捕か(怒) - Free大助!ノーモア冤罪!

【137】「湖東記念病院事件」無罪!!but…冤罪を作り上げた連中をこのまま逃がすな!! - Free大助!ノーモア冤罪!

【138】「湖東記念病院」無罪を受けて「冤罪犠牲者の会」が声明を発表 - Free大助!ノーモア冤罪!

〈大崎事件〉

【103】沈黙の最高裁〜「大崎事件」弁護団激励行動に参加して〜 - Free大助!ノーモア冤罪!

【111】「大崎事件」再審取消の裏にある許せないハナシ - Free大助!ノーモア冤罪!

【112】「大崎事件」最高裁決定に対する各団体の声明 - Free大助!ノーモア冤罪!

 ◆市民の力で刑事訴訟法を変えて、検察の横暴を止めよう

 検察による再審開始決定に対する不服申立ては「刑事訴訟法」で認められています。こんなことが認められている日本は、先進国でもかなりレアなケースだといいます。

このような理不尽をなくすには「即時抗告をすることができる。(第450条)」という条文を1つ削除すれば良いだけのことです。

 昨年には「再審法改正をめざす市民の会」が立ち上がり、このことを目標のひとつに掲げています。

www.rain-saishin.org

私たちだっていつ、どこで、冤罪に巻き込まれるかわかりません。検察の問題は、決して他人事ではありません。

マスメディアでは“検察が抗告した”などと、表面的な事実を報じるだけで、その中身がいかに悪辣であるかに踏み込んだ報道は、ほとんど目にしません。検察の実態を知らない人は“検察にも正当な言い分があるんだろう”などと思うかもしれません。とんでもないことです。

やはり私たち市民が声を上げて、検察に積極的に“介入”して、これ以上の横暴を食い止める方法を考えましょう。

フリー素材で見つけた検察官のイラスト。(作者:acworksさん)

検察官のバッチの形は,紅色の旭日に菊の白い花弁と金色の葉があしらってあり,昭和25年に定められました。その形が霜と日差しの組合せに似ていることから,厳正な検事の職務とその理想像とが相まって「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)のバッチ」と呼ばれているようです。  「秋霜烈日」とは,秋におりる霜と夏の厳しい日差しのことで刑罰や志操の厳しさにたとえられています。(法務省HPより)

“厳正な職務と理想像”って…ブラックジョークにしか思えません。

 

f:id:daisuke0428:20200513151416j:plain

 

【146】#検察の不正義に抗議します(1)

◆日本はすでに法治国家じゃない

検察庁法改正案」、危惧されていた今日(13日)の採決はなくなりました。

この間「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートは、900万件を超えたといいます。野党4党(日本共産党、立件民主党、国民民主党社民党)の党首もツイッターに動画メッセージを投稿し、反対の声を上げました。

日本共産党志位和夫委員長は、こう述べています。

 「検察には総理大臣をも逮捕できる強力な権力が与えられている。検察の人事に内閣が干渉・介入できるようになれば、日本は法治国家でなくなってしまう

しかし採決がなくなったことを“法治国家の秩序が守られた”とか“野党と市民が共闘した成果”などと、素直に喜ぶ気にはなれません。

 真相は真逆で、こうだからです。

「検察の横暴によって、すでに日本は法治国家でなくなっている」

冤罪支援者として、言わせてください。 

  • 今回の「検察庁法改正案」が問題なのは、安倍政権が検察を私物化しようとしたから。
  • 検察に“干渉・介入”する仕組み自体は、何らかのカタチで作らなければならない。

前回も書きましたが、検察は強大な権限を有しており、日本の司法の実質的な支配者と言っても過言でありません。

(こちらです)

【145】「週刊女性」も警告!!アベ政権の検察私物化がいよいよヤバい - Free大助!ノーモア冤罪!

強大な権限に歯止めがないゆえに検察は横暴のかぎりを尽くし、たくさんの冤罪をつくり、無実の人を苦しめてきました。

したがって検察の横暴をストップさせるためにも、何らかの方法での“干渉・介入”は絶対に必要だと、声を大にして言いたいです。

せっかく検察に注目が集まったので、これを機に検察の不正義を広く知っていただきたいと思います。

◆“公益”でなく“庁益”の代表者に墜ちた検察

検察庁法」には、検察官は“公益の代表者”と規定されています(第4条)。

では検察官が守るべき公益とは? 冤罪という観点からは、こういうふうに言えると思います。

  • 冤罪を作ってしまったら謝罪・反省し、再発防止に努める。
  • 冤罪犠牲者に対する補償や名誉回復に努める。

 台湾では「イノセンスプロジェクト」と呼ばれる冤罪救済プロジェクトの集会で、検事総長(=検察組織のトップ)が挨拶をしたといいます。韓国でも“公益の代表者”という、正しい使命感を持った検察官が活躍しているといいます。

(韓国の事例についてはこちら)

【141】いま、韓国がスゴい!!日本は“韓流司法改革”を見習おう - Free大助!ノーモア冤罪!

しかし日本の検察の状況は、まったく逆。検察の不正義の中でも、とくに問題なのが以下の3点です。 

  • ①無実の証拠を隠して裁判に出さない。
  • ②裁判所が下した無罪判決に不服を申し立てる。
  • ③同じく、再審開始決定に対して不服を申し立てる。

ある刑事弁護士は、検察は公益ではなく、検察庁の“庁益”の代表者になってしまった、と憤ります。

“庁益”は、“間違った正義感・使命感”と言い換えることもできると思います。具体的には、こんな感じです。

“自分たちが一度起訴した以上は、絶対に有罪にする!無罪なんて許さない! あらゆる手段を使って叩き潰す!”

これがいろいろな冤罪事件に対する、検察の対応を見てきた実感です。裁判所も検察を容認するケースが多く、日本の司法は無法地帯と化しています。

 ◆検察の犯罪①無実の証拠隠しとは?

それでもボクはやってない』の周防正行監督は、映画を作るにあたって事前取材したとき、①「無実の証拠を隠して裁判に出さない」ことに大変な衝撃を受けたといいます。

事件が起きると、まずは警察が捜査を行って被疑者を逮捕します。捜査で集められた証拠はすべて検察に送られ、検察がほぼ独占して持つことになります。

(検察に送られてない証拠が警察に残っていたというケースも発覚しています)

一口に「証拠」と言っても、いろいろあります。例えば…。

  • 犯行に使われた凶器
  • 血液型やDNA鑑定
  • 目撃証言など

検察はそれらの中から、被告人(裁判になると被疑者→被告人に呼び方が変わります)を有罪にできそうな証拠だけを選別して、裁判に提出するのです。

私たちは、裁判所はすべての証拠を見て判断した上で「有罪・無罪」の判決を出していると思いがちです。しかし実際は、そうではないのです。

これが日本の刑事裁判は有罪率99%以上というカラクリのひとつです。

実際に検察が隠していた証拠が何十年も経って明るみになって、無罪になった例もあります。

(たとえば布川事件

【109】「布川事件」国賠勝利に想うこと - Free大助!ノーモア冤罪!

【110】明るく楽しい冤罪支援〜布川事件に学ぶ〜 - Free大助!ノーモア冤罪!

警察や検察の活動費用は、私たちの税金でまかなわれています。したがって証拠は私たち共通の財産であって、検察が独占することは決して許されません。

しかし弁護士が“証拠を出して欲しい”と要求しても“見当たらない”とか“出す必要がない”などと、拒否されるケースが後を絶ちません。

 検察の犯罪②無実判決への不服申立てとは?

これは“控訴”“抗告”“上告”などケースによって呼び方が異なりますが、裁判所が出した無罪判決に対して“有罪にしろ!”と、言いがかりを付けることです。

こうしてせっかく勝ち取った無罪判決が有罪に覆され、無実を叫びながら刑務所への服役を余儀なくされたり例もたくさんあります。

 たとえば「名張毒ぶどう酒事件」という、有名な冤罪事件があります。

1961年に三重県で起きたこの事件、1964年に「無罪判決」が出ました。しかしこれに検察が不服を申立て、1969年に「死刑判決」になってしまいました。戦後の刑事裁判で「無罪」が「死刑」に覆ったのは、この事件が唯一だといいます。

そして事件の犯人とされ、死刑囚となりながら無実を訴え続けた奥西勝さんは2015年、89歳で獄死しました。

名張毒ぶどう酒事件」は、このブログでは一度も紹介していませんが、検索をすれば解説をしたサイトがたくさん出てきます。トンデモない冤罪であること、奥西さんは“検察に殺された”ことがお分かりいただけると思います。

このドキュメンタリー映画を観ると、事件の冤罪性がよくわかります。山本太郎さんが若き日の奥西勝さんを、仲代達矢さんが晩年の奥西さんを演じています。

www.yakusoku-nabari.jp

ちなみに他のほとんどの先進国(日本が先進国と言えるかは微妙ですが)では、無罪判決に対する検察官の不服申立ては、法律で禁じられています。

  (次回に続く)

 東京、霞ヶ関にある、中央合同庁舎第6号館A棟。ここに最高検察庁東京高等検察庁東京地方検察庁が入っている。写真/毎日新聞

f:id:daisuke0428:20200513170733j:plain

 

【145】「週刊女性」も警告!!アベ政権の検察私物化がいよいよヤバい

◆「検察庁法“改悪”」ストップにウェブ署名を

1ヵ月ほど前に紹介した「検察庁法改正(改悪)案」。

【139】こんな時こそ、いつもと変わらぬ関心を冤罪や司法に持ち続けよう - Free大助!ノーモア冤罪!

昨日(5月8日)に自民、公明、維新が、衆議院での審議入りを強行しました。早ければ、来週の水曜日(13日)にも採決となる恐れがあるといいます。

もし採決となったら“与党などの賛成多数で可決”というお決まりのフレーズとともに、アッサリ成立となるでしょう。

野党は強行に抗議の意を示すため、昨日の委員会は欠席。週明けからは成立阻止に全力を尽くすといいます。

私たちも“こんなコト許さない!!”と声を上げて、成立阻止の闘いをバックアップするしかありません。

Change.org」のウェブ署名も立ち上がりました。もうすぐ目標の15万筆を達成しそうな勢いです。ぜひ皆で署名しましょう!!

www.change.org

 全国に52ある弁護士会のうち、35の弁護士会も反対の声明を上げています。弁護士さん有志によるHPも立ち上がりました。

ruleoflawcrisis.myportfolio.com

◆「検察庁法改正」が他人事でない理由

冒頭リンクの過去記事で書いた通りですが、「検察庁法改正案」の一体何が問題なのかを、改めて振り返っておきます。

  • 法案の目玉は検察官の定年の規定の延長。現行の63歳を「65歳」にするのが狙い。
  • コトの発端は「東京高等検察庁(東京高検)」の黒川弘務・検事長が63歳になったこと。
  • 「東京高検」の検事長というのは「検事総長」(=検察組織全体のトップ)への出世コース。
  • 黒川氏は「安倍政権のスキャンダルをもみ消す官邸の番人」と呼ばれるほど政権寄りの人物。
  • そんな黒川氏を次期・検事総長にして検察を“私物化”してしまおう…。改正案にはそんな安倍政権の魂胆がミエミエである。

ちなみに検事総長の任命は、退官する検事総長が、検察組織の中から後任を指名する方法で行われてきました。

今回は名古屋高検検事長が指名されたのですが、それに対して安倍政権が横槍を入れたのです。

この問題について「週刊女性」がとても分かりやすい記事を配信しています。女性週刊誌が司法の問題を取り上げるのは、画期的なことだと思います。こちらのリンクからぜひご一読ください。

www.jprime.jp

記事の中で、とくに重要だと思ったヵ所を引用して紹介します。

私たちの生活にも何か影響が出ることがあるのかと問うと、郷原氏は衝撃的な言葉を放った。

「戦前の治安維持法、学校で習いましたよね。当時、同法に基づいて、国や大勢(たいせい)に逆らう者は不当に投獄されました。さすがに現代の日本でそんなことは起こらないだろう、と思っている人が多いでしょうけれど、検察の権力がすべて政権のもとに集中すると、例えば法律をねじ曲げて、身柄を拘束するだなんて簡単にできでしまうんですよ

 今はまだ実感がわかない。でも、政治に無関心でいるといつの間にか、自由が奪われるかもしれない

 

そうです。実はこの問題、政権と検察の間だけの問題ではないのです。私たちの暮らしがダイレクトに脅かされるかもしれない、本当に恐ろしいコトなのです。

“警察に比べると、検察は遠い存在なのでよくわからない”という声も聞きますが、ごく簡単にいうと、捜査を行って被疑者を逮捕するまでが警察の役割。

これに対して検察は、比べ物にならないほど広い権限を持っています。

  • 警察が逮捕した被疑者を、裁判にかける・かけない(=起訴・不起訴)を決める。
  • 場合によっては、検察自らが捜査・逮捕を行える。※政治家の汚職などは、このパターン。
  • 裁判では「死刑」「無期懲役」「懲役○○年」といった量刑を求刑する。
  • 裁判所が出した「無罪判決」や「再審開始決定」に不服を申し立てる。※これで無罪や再審開始が取り消された例も多く、冤罪を巡る問題点の一つになっている。

司法の実質的な支配者と言っても、過言ではありません。冤罪を作るのも無くすのも、検察次第です。

そこに政治権力が介入したらどうなるか?

権力に近い人間は、悪いコトをやっても「不起訴」になって見逃される。すでに怪しい事例が起きていますが、この傾向がもっと進むでしょう。

逆に権力者が“コイツが目障りだ”(例:原発反対、基地反対など)と思った人間は、何も悪いコトをしていなくても言いがかりを付けて起訴し放題。裁判でも重い刑を求刑となるでしょう。

そして一度起訴されると有罪率は99.9%と言われるとおり、裁判所が検察のほぼ言いなりな現状を考えると、本当にお先真っ暗です。

仮に裁判所の良識が働いて無罪になったとしても“逮捕・起訴された”というだけで、十分すぎる萎縮効果となるでしょう。本当に戦前のモノ言えぬ時代へ逆戻りです。

このブログではたびたび検察を批判してきましたが、「検察庁法改正」なんかが通ってしまったら、今以上にワルい検察になってしまうでしょう。

この問題は私たち自身の問題、本当に今が踏ん張り時です。何としても声を上げて、成立を阻止しましょう!!

 

多くの野党議員が欠席する中で開かれた衆院内閣委員会。(写真はYahooニュースの毎日新聞記事より)

f:id:daisuke0428:20200509183418j:plain