【150】「法務省刑事局長」って何者!?調べてみました
◆“新聞の使命=権力監視”は、やはりタテマエだった
「検察庁法改正案」ですが、黒川弘務検事長の賭博マージャン発覚という、想定外の展開になりました。
黒川さんのペナルティが最終的にどう落ち着くかは見守るとして、問題なのがマージャン仲間が産經新聞の記者と朝日新聞の社員だったこと。
タテマエ上とはいえ、権力の監視が新聞の役割。距離を置くべき相手である検察とマージャン卓を囲むとは、言語道断です。これではジャーナリズムもへったくれもありません。
このブログでは折にふれて、マスメディアはもっと検察の悪行をハッキリ伝えて欲しいと書いてきました。でもこんなズブズブの関係では、とても無理でしょう。
産經や朝日にとっての“スクープ報道”というのは、検察と親しくなってリークを垂れ流すことなのでしょう。
◆刑事局長は「大崎」と「袴田」の再審を妨害していた
この問題、当然ですが野党は追求の声をあげています。そこで国会の答弁に立ったのが、法務省の川原隆司(かわはらりゅうじ)刑事局長。
黒川氏賭けマージャン、1万~2万円やりとり 調査結果公表: 日本経済新聞
この名前、どこかで聞いたことあるぞ?と思っていたら、昨年6月にこのブログで取り上げいました。
何と「大崎事件」の再審を妨害する意見書を最高裁に提出していた張本人だったんですね!!
さらにこんなtwitterも見つけました。
ちなみにこの川原隆司刑事局長は、最高検検事だった2年前、袴田事件の担当で、「袴田巖の生活状況や心身の状況を考慮しても、拘置の必要性は高い」とかいう内容の意見書を最高裁に提出した人です。
何と「袴田事件」の再審妨害も、川原さんだったのです。
“拘置の必要性は高い”とは、“東京拘置所に再収監すべき=死刑台に連れ戻せ!!”と言っているのと同じです。
もちろん川原さんの独断でなく最高検の総意で出した意見書だと思いますが、やはり看過できないと思います。
私は意見書を直接自分の目で確認していないので、このツイートを紹介するか迷いました。でもツイートした人が本格的に袴田さんの支援活動をしている方なので信頼できる情報と判断し、引用させていただきました。
改めて川原さんのここ10年のキャリアを調べてみました。
- 平成22(2010)年4月 東京高検検事
- 平成25(2013)年7月 大阪地検総務部長
- 平成26(2014)年11月 東京地検刑事部長
- 平成28(2016)年4月 東京高検刑事部長
- 平成29(2017)年1月 秋田地検検事正
- 平成30(2018)年1月 最高検検事 ※「大崎事件」「袴事事件」に意見書
- 平成31(2019)年1月 法務省大臣官房長
- 令和元(2019)年12月 法務省刑事局長
(参考)
◆“法務省は検察に支配されている”は本当だった
さらに直近10人の検事総長のキャリアを調べると、7人が法務省刑事局長を経験していました。検察トップへの出世ポジションでもあるようです。
ちなみに黒川弘務さんは刑事局長でなく「刑事局総務課長」を経験していました。
本来、法務省は検察を監督する立場にあります。でも実際は“検察に支配されている”と、よく言われます。今回調べてみて、改めてこのことを実感しました。
この構図を何とかしない限り検察はこれからも冤罪をつくり、再審を妨害し続けるでしょう。
では「法務省刑事局」とは、具体的に何をする部署なのか? 法務省のHPには、このように書かれています。
- 刑事法制に関する企画・立案に関すること
- 検察に関すること
- 犯罪人の引渡し及び国際捜査共助に関すること
さらにHPには書かれていませんが「死刑執行」の決済も、刑事局の仕事です。全国の拘置所に収容されている死刑囚の中から、誰の刑を執行するかを決めているのです。
これについては次回に書きます。
(つづく)
中央合同庁舎第6号館(左:法務省,右:検察庁)と、国の重要文化財に指定された法務省旧本館(赤れんが棟)。
建物の配置からして、法務省と検察が一体であることがよくわかる。(写真は法務省HPより)