Free大助!

「無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録

守大助さんからのメッセージ

「守大助さんを守る東京の会」総会、無事に終了しました。取り急ぎ、千葉刑務所から守大助さんが総会に寄せてくれたメッセージを紹介します。以下、手紙を書き起こしました。

 

私は絶対に!筋弛緩剤を混入していません。

裁判のデタラメは、

誰よりも私が一番知っています。

真実を最後まで訴えて、

「再審開始・釈放」を勝ち取ります。

東京から仙台高裁へ、

署名をどんどん届けて下さい!

大崎事件・再審開始決定。

次こそ私です。流れ止めません。

 

本日はお忙しい中、

「第3回・東京の会総会」へ

多くの方々に参加していただきまして、

本当に有り難うございます。

いつも街頭宣伝・署名活動・学習会をして下さり、とても感激しています!

“やっていない” 無実を証明するのに、

なぜこんなに時間がかかるのでしょうか。

やってないのですから、

やってない!という以上の証拠はない!

もう16年も社会から隔離され、

おかしくなりそうです。

 

今回弁護団が提出した「新証拠」で

土橋鑑定人が法廷で“偽証”していたことが

明らかになりました。※

再審開始条件に、

専門家の偽証が明らかになった場合、

開始決定しなければならないはずです。

この偽証を裁判所は無視して!

これまでのように信用できると

認定しつづけるのでしょうか!

冗談じゃないです。

デタラメ鑑定によって無実の私は

高い塀の中へ閉じ込められ、

人生を奪われているのです。

46歳になった今も、

一歩も塀の外へ出られない生活をさせられています。

助けて下さい。

東京の会の皆さん、私は無実です。

両親が元気でいるうちに帰りたい!

今後もどうかご支援を宜しくお願い致します。

 

2017年7月  無実の守大助

 

※土橋均・元大阪府警科捜研鑑定人。

同鑑定人が行なった「5人の患者の尿や血液、点滴溶液から、筋弛緩剤の成分が検出された」とする報告が守大助さん有罪の根拠とされているが、鑑定結果が荒唐無稽かつ、鑑定を行なった事実を裏付けるデータが提出されていないなど、合理性が疑われている。

 

メッセージは手紙の形で寄せられます。情報発信の自由が制限された刑務所の中ではメールもネットも使えません。

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取り調べとは“インタビュー”なり

 今回は少し前に紹介したシンポジウム

「えん罪を生まない捜査手法を考える」から、

もう1人の発表者・アンディ・グリフィス博士(Dr.Andy Griffiths)のお話を紹介します。

博士はポーツマス大学研究員や、

英国警察大学講師の肩書きを持ち、

虚偽自白を生まない取り調べ手法を研究。

それ以前は約30年にわたって、

警察官として働いていました。

 

日本の警察では悲しいことに、

取り調べと言えば

机を叩いて自白を取るためのモノ、

という考えがいまだに支配的です。

1980年代初頭まではイギリスも同じで、

警察官の多くが、

取り調べに暴力は付き物と考えていました。

 

しかし日本と大きく違ったのが、

自浄作用が働いたこと。

ウィリアムソンという警察幹部が、

“殴打して自白を引き出すなど、

警察官たる物のスキルではない”と、

自らの過ちを認めたのでした。

日本の警察とは大違いです。

 

これを機に改革が進み、

被疑者の勾留を最長96時間にすること、

取り調べへの弁護士の立会いや、

全行程の録音といったルールが整備。

 

さらに心理学者や法律家と協働して、

取り調べのスキルを向上させる

トレーニングプログラム「PEACE」を作成。

すべての警察官に受講を義務付けています。

これは…

Plan/Prepare 計画・準備

Engage 導入・説示

Account 説明・明確化

Close 集結

Evaluate 評価

という5つのプロセスで取り調べを行い、

スキルを向上させていく仕組みだそうです。

 

こうした取り組みを重ねた結果、

今やイギリスの警察官の間には

“取り調べ=正しい情報を得るために、

インタビューを行うこと”

(被疑者が無実であるという情報も含む)

という共通認識が定着しています。

  

そんな “優しく” して大丈夫?

厳しく攻め立てるコトも必要じゃない?

という意見も当初ありましたが、

「PEACE」導入後も検挙率は約86%と、

以前と変わらない水準を維持しているそう。

 

恐らくイギリスの警察官は、

自分たちは真実を追及する

スキルを持ったプロであるという誇りを胸に、

仕事をしていることでしょう。

「PEACE」は国連でも高く評価され、

グローバルなモデルにしようという

動きもあるそうです。

 

次回からは、

守大助さんに行われた取り調べを通して、

あまりにもお寒い日本の状況について

書いていきたいと思います。

 

アンディ・グリフィス博士。背後の写真は若き警察官時代。

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「東京の会」総会で、お待ちしています

来たる7月15日の午後2時から、

「守大助さん東京の会」の総会を開催します。

息子の無実を訴えて全国を駆け回るご両親と、

大助さんが逮捕された16年前から現在に至るまで、

ずっと弁護を担当している阿部泰雄弁護士を招いて、

改めて事件のポイント等を考えます。

 

場所等の詳細は、下記をご覧ください。

「東京の会」の会員でない方も、ご参加いただけます。

大助さんのこと、冤罪のことに、

少しでも関心を持たれた皆さま、

ぜひいらしてください。

それでは、お待ちしています!

 

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こうして守大助さんは“犯人に”〜警察の決めつけ〜

守大助さんは何故、どのようにして、

“筋弛緩剤点滴魔” に仕立て上げられたのか?

警察の捜査について、書きたいと思います。

 

“事件” の発端は大助さんが働いていた「北陵クリニック」で、

患者さんの急変(急に具合が悪くなる)が多発したこと。

1999年までは10件未満だったのが、

2000年は20件近くに増えました。

ちょうどそんな時期、

大助さんが他の病院から転職してきました(99年2月)

そして准看護士として、

患者さんの世話にあたります。

大助さんが逮捕された当初テレビや新聞は、

“守大助容疑者が勤務し始めてから急変が増えた。

守容疑者は急変現場にも多く立ち会っていた”

と報道しました。

 

これだけ見ると “アヤしい” 印象かもしれませんが、

急変が増えたのには明白な理由があります。

少し長くなりますが、背景を説明しましょう。

 

「北陵クリニック」には通常の医療機関のほかに、

東北大学のサテライト研究施設として、

FES(機能的電気刺激)を推進するという、

もう一つの役割がありました。

これは事故や病気でマヒした手足に電気的な刺激を与えて、

運動機能を回復する先端医療です。

ところが手術には苦痛が伴い、

高額な医療費もかかるため患者さんが集まらず、

FESプロジェクトは頓挫します。

 

これにより億単位の負債を抱えたクリニックは、

少しでも赤字を解消しようと、

入院ベッド(全19床)を埋めるため、

なりふり構わず患者さんを受け入れ始めます。

老人ホームから終末期の患者さんを迎え、

看取ることも珍しくなくなりました。

リストラによって薬剤師や、

救急措置ができる医師も退職していました。

 

ただでさえ具合の悪い患者さんを受け入れた上に、

医療の要を担う人材が辞めてしまったわけですから、

急変が多発するのは当たり前です。

実際にクリニック内部でも、

それを特段不審に思う声は上がらなかったそうです。

 

また看護スタッフの大半は、家庭を持つ女性でした。

そこで独身で時間の融通が効く大助さんが、

夜勤も積極的に引き受け、

急変に遭遇することも必然的に多くなりました。

 

そんなクリニックの内情を、

周囲の医療機関は知る由もありません。

“最近、北陵クリニックからの搬送が増えてるけど、

あそこは大丈夫なのか?” という声が上がります。

そして舟山さんという東北大学の法医学の権威が、

“これは患者さんを狙った犯罪かもしれない。

筋弛緩剤のような薬物が使われている恐れもある”と、

宮城県警に通報します。

 

警察にとって、法医学教授の言葉は絶対です。

“何? 筋弛緩剤? それは大変だ! 

守大助という准看護士がアヤしい? よしタイホだ!”

と、色めき立ったに違いありません。

“守大助=犯人” を前提とした捜査が始まります。

しかし不審な点はなく、

犯行を裏付ける証拠も出てきません。

 

それでも捜査班のアタマの中は、

“こいつが犯人だモード”1色。

捕まえて自白させれば何とかなるだろうと、

大助さんの逮捕に踏み切ります。

2001年1月6日のことです。

 

患者さんの急変が筋弛緩剤によるものなのか、

病気など他の原因によるものなのかは、

カルテを調べれば一目瞭然です。

しかし警察がカルテを押収したのは、

逮捕から10日後のことでした…。

もちろんカルテには、

“筋弛緩剤中毒”などと記されていません。 

 

そして大助さんの犯人性を示すため、

警察が提出してきたのが、

大阪府警科学捜査研究所(科捜研)による鑑定書です。

(3本前の投稿をご参照ください)

 

どうでしょうか?

前回の投稿で紹介したドロー博士の指摘が、

これでもか!という程に当てはまっています。

もしイギリスの取り組みが、

日本でも行われていたら、

大助さんは犯人にされなかったハズです。

 

准看護士として希望を持って働いていた頃の大助さん。

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「えん罪を生まない捜査手法を考える」に参加して

今回はなぜ、守大助さんが犯人にされてしまったのか?

警察の捜査や取調べについて書こうと思っていましたが、

予定を変更して6月18日に開催されたシンポジウム

「えん罪を生まない捜査手法を考える」の様子を報告します。

とても示唆に富んだ内容で、

大助さんの事件への理解を深めるために、

ぜひ紹介したいと思いました。

 

会場は立命館大学 大阪いばらきキャンパス。

国内の法律家や研究者によって昨年発足した

「えん罪救済センター」イノセンス・プロジェクト・ジャパン)の主催で、

冤罪防止の取り組みにおいて日本のはるか先を行く、

イギリスの研究者2人を招いて報告が行われました。

 

1人がロンドン大学のイティエル・ドロー博士(Dr. Itiel Dror)

“人は必ず間違える。たとえ捜査や科学鑑定のプロであっても”

という真理を脳科学の研究から明らかにし、

ロンドン警視庁やFBIなどで、

冤罪を生まないための研修を行っています。

 

約1時間の報告のうち、

印象に残った部分を2つに絞って紹介します。

共通するポイントは “人間の心はカメラではない” こと 。

視覚も思考も脳に支配されており、

決めつけ、思い込み、先入観といったバイアスがかかることで、

白いモノも“黒く”見えてしまい、

それが冤罪を生む大きな原因となっています。

 

■ある放火冤罪事件

これはアメリカであった事件。

家が家事になり、3人の子どもが焼死した。

ちょうど帰宅してきた父親は助けようと、

燃えさかる家に入ろうとして消防隊に制止された。

当初は事件性のない事故として処理されたが、

火災専門家の “これは放火だ” という意見が、

ガラリと流れを変えた。

警察は “父親が火をつけた”という先入観とともに再捜査。

時間が経ち記憶もアヤフヤになりつつある近隣の住民に、

“何かアヤしいことがあったハズだ” と聞き込みに回り、

父親は一転して、悲劇の主人公から“凶悪殺人犯”に。

無実を訴えるものの死刑が執行されてしまった。

そして現在、火災原因の究明技術の進化によって、

この事例は放火でなく事故であることが明らかになっている…。

 

■科学鑑定は“客観”でなく“主観”に左右される

あるサンプルが容疑者のモノと一致するか、

100人の科学鑑定家に実験を行った。

鑑定に先立ち、

うち50人には “鑑定の依頼者は検察庁” 、

残り半分には “依頼者は弁護人” という事前情報を伝えたところ、

前者は有罪方向、後者は無罪方向と、真逆の結果が出た。

まったく同じサンプルであるにもかかわらず…。

つまりプロの鑑定家であっても、

事前に仕入れた情報によって “脳が汚染” され(バイアスがかかり)

 科学的・客観的な鑑定ができなくなる。

 

ある事件で警察の捜査員が指紋鑑定人に充てた、

申し送り書も紹介されました。

そこには

“何としても彼を犯人にしなければならない。

そのために頼れるのは、貴方(鑑定人)だ”

という一文が記されていた…。

そこで現在イギリスの警察では誤認逮捕防止のため、

捜査員から鑑定人ににどんな情報をもたらされたか、

記録を残すようにしているということです。

 

以上です。どう感じられたでしょうか?

ではドロー博士が指摘したポイントを踏まえて、

大助さんが犯人にされてしまう過程を追ってみましょう。

(次回へ続く)

 

時にはユーモアを交え、軽妙な語り口で恐るべき事実を明らかにしていくドロー博士。

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検察にもう一言!

検察の横暴について、

もう少し書きたいと思います。

 

守大助さんの再審請求はすでに1度、

仙台地方裁判所で棄却されています

(2014年3月)。

裁判所は無実を示す数々の可能性を黙殺し、

検察に証拠の開示を働きかけもせず、

“大助さんはやってない”

という切実な声を門前払いしました。

 

この決定に対して、

仙台地方検察庁次席検事(※)だった

吉田安志さんは、

「極めて適正かつ妥当な決定と考える」と、

コメントしました。

 

※次席検事な地方検察庁において、検事正に次ぐナンバー2のポジション。吉田検事は現在、東京地検特捜部長になっています。

 

これは共謀罪の質疑の中で、

治安維持法による刑の執行は適法だった」

と言い放った金田法務大臣に匹敵する、

許せない暴言です!

 

前回の繰り返しになりますが、

日本の刑事司法における検察の力は絶大です。

警察が逮捕した容疑者を

起訴(裁判にかける)するかを決め、

裁判では死刑、無期懲役、懲役何年といった

刑の求刑を行い、

さらには裁判所が下した決定に、

異議を唱える権限まで有しています。

 

これだけの権力を独占しているわけですから、

検察はもっと謙虚であるべきです。

常に冤罪の可能性を意識し、

証拠の開示を求める声が上がったら、

積極的に応じるのがスジです。

 

しかし実際はどうでしょう。

一度起訴をしたら、

何としても有罪に持ち込むと

言わんばかりに、

無実を示す証拠があっても平気で隠し、

“開示する必要はない”と居直る。

こうした横暴の末に発せられたのが、

先ほどの吉田検事のコメントです。

 

大助さんの再審開始に向けた闘いは、

仙台高等裁判所に舞台を移して続いています。

仮に再審開始の決定が出たら、

検察は必ず異議を唱えてくるでしょう。

それを裁判所が受け入れたら、

再審が取り消されてしまいます。

 

こんな検察に誰がしてしまったのか?

その責任は、私たちにあります。

“検事さんは正義を守るエリート。

間違えて無実の人を起訴したり、

悪いコトなんかするハズない”

という幻想をひたすら信じ、

放置してきた結果ではないでしょうか?

 

大助さんの自由を勝ち取る闘いは、

日本の司法を私たち自身の手で、

良い方向に変えていくこと。

それが民主主義だと思います。