Free大助!

「無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【50】東京新聞の記事に思ったこと

前回紹介の『再審における証拠開示シンポジウム』を受けて、

証拠開示について書くと予告したのですが…、

このテーマについて書かれた記事が2本も出てしまいました。

1本はジャーナリストの江川紹子さん。

「存在しない」「いや、実はありました…」~行政文書の隠蔽とは別の、もう1つの攻防(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

もう1本は「弁護士ドットコム」。

再審事件「自らの正義」疑わない検察、求められる裁判所の「踏み込んだ訴訟指揮」(弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

いずれも明快に分かりやすくまとめられていますので、

ぜひリンクをクリックしてご一読ください!!

 

そして私は…

勇気をもらった新聞記事を見つけたので、

そちらについて書くことにします。

下記の東京新聞の社説(4月15日)で、

「針の穴にラクダを通す」と題して、

再審開始決定に対する検察の妨害について、

大崎、松橋、湖東記念病院と、

具体的な事件を3つも上げて問題提起しています。

一番下に記事のコピーを貼り付けました。

 

いずれも検察の特別抗告によって、

最高裁判所の判断を待っている事件です。

これだけの数の再審事件がまとまって、

最高裁に係属するのは極めて異例。

日本の刑事司法初のことかもしれません。

メディアも注目し、

支援活動に追い風を吹かせるチャンスです。

 

ちょっと残念なのは4段目。

“検察には検察の考え方があることも、確定判決の重さも分かります。

でも、冤罪の疑いが浮上しても検察抗告を重ねることが法の正義なのでしょうか。”

というくだりです。

“考え方があることも、分かります”って…

検察への忖度が働いているのでしょうか?

 

さまざまな冤罪事件における検察の抗告が、

いかに低レベルで言いがかりに等しいものかは、

このブログでも再三にわたって指摘してきました。

一度有罪にしたら自分たちのメンツを守るため、

ひたすら再審開始を妨害する検察。

その横暴のせいで、

名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さんは、

雪冤を果たすことなく獄死(2015年/89歳)しました。

袴田巖さん(82歳)、原口アヤ子さん(大崎事件/90歳)、

宮田浩喜(松橋事件/84歳)さんはいずれも、

“命あるうちに再審無罪を!” と、

必死になって検察の抵抗と闘っています。

検察は彼等が死ぬのを待っているとしか思えません。

司法権力による “殺人” が、平然と行われているんです。

 

こうした事実をハッキリ報じないメディアについても書きました。

(こちらのリンク)

【48】『獄友』イベント@下北沢〜目指すは“冤罪版” We are the World!〜 - Free大助!

 

守大助さんも面会で一言、

「検察はこんなヒドイことしてるのに、

何故メディアは報じないんだろう」

と語っていました。

検察は警察のデタラメ捜査に追従し、

大助さんの無実の証拠を隠しています。

そして警察・検察のリークを垂れ流すデタラメ報道にによって、

大助さんは凶悪犯にデッチ挙げられました。

そんな仕打ちを受けながらも、

メディアの良心に対する期待を捨てていません。

 

悪いコトは悪い!とハッキリ書く。

当たり前のことをメディアにお願いしたい。

そうするには、

私たち支援者がもっと声を大にして

不条理を叫んで憤りを伝えて、

メディアの背中を後押しするしかありません。

引き続き頑張りましょう!

 

もっとスパッと書いていいんですよ。東京新聞さん。

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【49】司法村の皆さん、肩の荷を下ろして出直しませんか?

 4月7日、日本弁護士連合会日弁連の主催で、

『再審における証拠開示シンポジウム』が開催されました。

前々回にこちら(下リンク)で紹介した中の、

【47】だから必要!「再審法」のポイント - Free大助!

「2 再審における証拠開示手続きの明記」について、

4時間を丸々使って、

現状報告や取り組むべき課題について意見交換が行われました。

会場となった弁護士会館の会議室は、

追加で椅子を用意しなければならないほどの超満員。

法曹関係者はもちろん、

いろいろな冤罪事件の支援者も集まり、

“市民の手で司法を何とかしよう” という意識の高まりを感じました。

 

で…再審における証拠開示って何?については、

改めてゆっくり紹介したいと思います。

 ちょっと難しいトピックでもあるので、

少し勉強して準備して書きます。

 

今回はシンポジウムのトリとなった、

パネルディスカッションの、

郷原信郎弁護士の発言から感じたことを書いてみます。

郷原弁護士は元・検事。

 “何故、検察はかたくなに再審を妨害するのか” という問いに、

検察経験者として明快に答えてくれました。

「“検察の正義”…つまり日本の刑事司法は、

検察が “全知全能の神” として治めている。

だから自分たちが起訴し、有罪に持ち込んだ案件の中に、

“無辜=冤罪” など存在しないし、

再審などあってはならない…というのが検察の考えである。

これは再審だけでなく、通常審でも変わらない」

どうでしょうか?

このブログでは検察のことを

“司法マフィア” とか サイコパス と批判してきましたが、

改めて当事者だった方のリアルな声を聴くと、やはり衝撃的です。

郷原さん自身は検事だった時、

冤罪や再審に遭遇したことはなかったと言います。

そして弁護士に転身して、

はじめてその不条理が分かったと語っていました。

こんな事件も経験しているので(下リンク)

【藤井浩人美濃加茂市長 冤罪】 日本の刑事司法は‟真っ暗闇”だった!

まさに身を以て知ったというのが正直なところでしょう。

 

“再審なんてあってはならない” という考えは、

裁判所も少なからず持っているのではないでしょうか?

(前回ブログを参照ください)

【48】『獄友』イベント@下北沢〜目指すは“冤罪版” We are the World!〜 - Free大助!

“自分たちが常に正義じゃなきゃダメ” という考えは、

恐らく警察も同じ考えでしょう。

 

有罪率99.9%という日本の刑事司法の現状は、

原発は絶対安全!事故など起きない!(起きちゃいけない)

と言い続けた挙げ句、

取り返しのつかないことになってしまった原発神話ソックリです。

 

刑事訴訟法の中で「再審」に関する条項が少ないのも、

そもそも「再審なんてない(存在してはならない)」という前提ゆえなのかもしれません。

 

警察、検察、裁判所の皆さん、

ちょっと肩の荷を下ろしませんか?

あなた方は全知全能の神じゃありません。

人間ですから間違いだって犯します。

有罪率99.9%というのは、やはり異常です。

まずはそこを見つめ直してみませんか?

 

そもそもあなた方は、

無実の人を犯人にデッチ上げたくて、

今の仕事に就いたのでしょうか?

日本の刑事司法の原則は、

“疑わしきは罰せず、無辜の救済” ではありませんか?

 

だったら間違いがあっただどうリカバーするか、

その仕組みづくりを一緒にやろうじゃありませんか。

守大助さんをはじめ獄中から無実を訴える人々の自由のために、

「再審法」の制定に向けて、私たち市民も頑張ります。

 

パネルディスカッション。左から鴨志田祐美弁護士(大崎事件弁護団事務局長/日弁連再審における証拠開示に関する特別部会長)、映画監督・周防正行さん、水野智幸・法政大学教授(元裁判官)、郷原信郎弁護士(元検事)、戸舘圭之弁護士(袴事件弁護団)。

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【48】『獄友』イベント@下北沢〜目指すは“冤罪版” We are the World!〜

冤罪青春グラフィティ映画『獄友』ご覧になりましたか?

〈公式HP〉

ドキュメンタリー映画 「獄友」 

私はまだ観ていないので、早く行きたいです!

皆さんもぜひ『ポレポレ東中野(JR東中野駅からすぐ)へ!

 

昨日は上映を記念してのライブ&トークイベントが、

下北沢でありました。

作監督の金聖雄さん、

主題歌を提供した小室等さん、

オウムのドキュメンタリー映画を撮った森達也さん、

ラッパーのダースレイダーさんの4人に、

MCのジョー横溝さんを交えて、

目からウロコの冤罪トークが繰り広げられました。

 

※写真を撮ったのですがネット上へのアップはNGなので、一番下にチラシを貼っておきます。

 

■再審が長引くことこそが…

 

小室等さんがポツリと語った一言が印象的でした。

「再審が長引いていることこそが、無罪の証明だね」

どういうことかと言うと…以下、私の所見です。

裁判所が再審開始決定を出すまで、

時間がかかるのは何故なのか?

何故なら…再審を開いたら無罪になるのが確実だから。

それは極端なピラミッド社会である裁判所の世界において、

先輩裁判官が確定させた有罪を否定する、とても勇気のいる仕事。

(しかもピラミッド頂点に位置する最高裁判所がお墨付きを与えた…)

できるだけ先送りしたい…というのが裁判官の正直な心情。

だから再審の審理が長引いていることこそが、

無罪の何よりの証明に他ならない…。

“無罪” は “無実” と言い換えることもできるでしょう。

本当に鋭い指摘!とても感銘を受けました。

 

小室さんは歌の力で冤罪撲滅に貢献しようと、

こんなプロジェクトを立ち上げています(リンク)

冤罪音楽プロジェクトイノセンス

そして主題歌『真実・事実・現実・あることないこと』のレコーディングには、

30に近いミュージシャンが集まりました。

小室さんいわく “冤罪版 We are the World をやりたかったそう。

ボブ・ディランのような志を持った歌い手が日本にこんなにいるのが、

本当に嬉しくなります。

 

■検察に忖度しっぱなしのマスメディア

金監督は

袴田事件の再審に対する検察の抗告はイチャモンに等しい。

しかしメディアは “検察側はこう主張し、弁護側はこう主張” と、

対等に報道する。これで本当に真実が伝わるのか…」

ダースレイダーさん

「この場合、両論併記でバランスを取る=“同じ土俵”で論じるのは、

 明らかな間違い。その“土俵”を設計しているのは誰なのか、

 我々はメディアの受け手として見極めなければならない」

森さん

「検察もそれをわかってやっている」

 

私が日頃から報道に対して持っている不満・憤りを、

ズバリ指摘してくれました!

マスメディアは検察の悪行・蛮行を正面切って報じません。

検事総長を直撃して問いただすこともしません。

これは完全に検察への『忖度』でしょう。

記者クラブの付き合いもあるし、

ワルいことを書いたらいろいろ不都合が生じるんでしょう。

頑張っている記者がたくさんいることは承知していますが、

やはりマスメディアができることには限界があります。

だからこそ、このブログはメディアの端くれとして(笑)、

素人目線ながら “オカシイことはオカシイ!”と、

発信していきたいと思います。

宜しくお願いいたします!

 

トークと並行して行われたライブも素晴らしかったです!

小室等さんの『だれかが風の中で』、涙が出そうになりました。

 

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【47】だから必要!「再審法」のポイント

ようやく…となりますが、

前々回に予告をした「再審法」について書いていきます。

 

■背景〜そもそも何故「再審法」が必要なのか?〜

まずは基本的なポイントをおさらいします。

裁判で有罪になって刑が確定したけど、

実は冤罪の可能性が高い…という事案について、

もう一度裁判をやり直すのが「再審」です。

そしてこれまでの例を振り返ると一度再審が開始されれば、

ほぼ100%「無罪」となっています。

(再審をやったけど、やっぱり刑は変わらない…という例を私は知りません)

 

「北陵クリニック事件」の守大助さんをはじめ、

全国各地の刑務所から無実を訴えている人がたくさんいます。

中には無実を訴えたまま、死刑が執行された例もあります。

(このブログでも紹介した「飯塚事件」「福岡事件」など)

こうした人々を獄中から取り戻す、

(処刑されてしまった場合は名誉を回復する)

もっとも現実的かつ唯一の方法が再審なのです。

 

 しかし500条以上からなる「刑事訴訟法」は、

再審について書いてはありますが(第435条〜453条)、

厳密な手続きというモノが定められていません。

 なので全ては裁判官の裁量次第。

やる気のある裁判官が担当すれば、

協議が迅速に進んで再審・無罪になり、

ダメな裁判官が担当すれば、

大助さんのように4年間ほぼ何もせず放置された挙げ句に、

棄却という結果になってしまいます。

そしてこのブログでも度々指摘していますが、

検察は無実の証拠を隠して出さなかったり、

再審開始決定に対して抗告したりと、やりたい放題。

日本は法治国家と言いながら、

再審を巡る状況は事実上 “無法地帯化” しているのです。

そこで「刑事訴訟法」とは別に「再審法」を成立させて、

ルールを明文化しようというわけです。

 

■「再審法」7つのポイント

「再審法」に向けた運動の中心を担っているのが、

「九州再審弁護団連絡会」。

再審を闘っている冤罪事件が集中している九州地方の弁護団と、

(大崎、飯塚、福岡、マルヨ無線、菊池、松橋事件)

大学の研究者などが連携した運動体です。

現在は九州以外の冤罪当事者や各事件の支援者、

さらに一部の国会議員も加わり、

どんどん運動が盛り上がっています。

 

そして「再審法」の柱として7つの優先課題をあげています。

 ※各項目下の小さい青文字は、私の補足です。

 

1「疑わしきは被告人の利益に」の明記

    1975年の「白鳥決定」というのがあって…ちょっとムズカしいので機会を改めて説明します。

2 再審における証拠開示手続きの明記

 検察は無実の証拠を隠さずに全部出せ!

憲法違反が再審事由となることを明記

 日本国憲法に違反した手続きで有罪になったケースについても再審を認めろ!

4 請求権者の拡大(公益的請求人を追加)

 冤罪当事者や検察官だけでなく、弁護士等にも再審を請求する権利を!

5 検察官上訴の禁止

 再審開始決定に対する検察の抗告は絶対ダメ!

6 検証機関の設置

 何故冤罪が起きたのか、検証する第三者機関を設置して二度と同じ過ちをくり返さないように!

7 冤罪被害の回復

 再審無罪を勝ち取れたから、全てOKではありません。

 「本当は犯人なんだろう」という心ない偏見をはじめ、

 本当に大変なのは社会に戻ってから。そこを上手くケアする仕組みが必要です。

 

以上です。この7つが実現したら、

守大助さんの再審もスグにでも開かれるでしょう。

私も微力ではありますが、

「再審法」実現に向けた運動に参加していきたいと思います!

 

そして…

2月27日に開かれた「再審法改正を目指す院内集会」の

動画サイトのリンクも張っておきます。

袴田秀子さん袴田事件、桜井昌司さん布川事件菅家利和さん足利事件

も駆けつけ、それぞれにアツい想いが語られました。

ぜひ観てください!

 

有罪判決は真実そのものを追求した結果ではない!~守られぬ刑事裁判の鉄則・証拠開示は裁判所によってばらばら!?――布川事件・袴田事件・足利事件・冤罪被害者ら「再審法改正」を目指す院内集会 | IWJ Independent Web Journal

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【46】検察官こそ再審請求を!〜内田博文教授の講演録から〜

今回は「再審法」について書くと予告しましたが、

ちょっと寄り道をして、

また検察と再審について書きます。

(これも「再審法」に大いに関係あるので)

この問題については、以前も掘り下げて書きました。

【29】何故、検察は再審開始を妨害してはダメなのか? - Free大助!

そこでは “検察は再審を妨害するのでなく、

むしろ積極的に協力すべき立場にある”

という問題提起をしました。

実際に刑事訴訟法(第439条1項)では、こう規定されています。

 

■再審の請求は、左の者がこれをすることができる。

1検察官

2有罪の言渡を受けた者

3有罪の言渡を受けたものの法廷代理人及び保佐人

4有罪の言渡を受けた者が死亡し、

 又は心神喪失の状態に在る場合には、

 その配偶者、直径の親族及び兄弟姉妹

 

改めて驚いたのは筆頭に挙げられているのが、

有罪とされた本人ではなく検察官であること!

ここからも、検察が再審開始決定に抗告するなど、

言語道断であることが分かります。

 

では何故、検査官が再審請求を行う権利を持っているのか?

私は “(本来は)公益を代表する立場だから” と、

漠然とした理解しかしていなかったのですが、

この疑問に明快に答えた講演録を見つけました!

内田博文・神戸学院大学教授・九州大学名誉教授が、

「菊池事件」の集会でお話ししたものです。

講演録のリンクを張るとともに、

印象に残ったカ所を抜粋して紹介します。

http://www5b.biglobe.ne.jp/~naoko-k/why.pdf

ハンセン病差別が生んだ死刑冤罪と言われる菊池事件の概要や、

内田教授の取り組み等については、ぜひ検索してみてください!

#検索キーワード=内田博文、菊池事件、再審請求、検察

 

以下、講演録からの抜粋です。

とくに心に刺さった部分は赤字+下線にしました。

 

講演タイトル「何故、再審請求を検察官に求めるのか、その意義は」

■誤判を是正する責任は誰にあるのかということです。誤判を是正する責任は冤罪被害者およびその家族にあるのでしょうか。あるとすれば、これらの人たちが再審を請求しないとすれば、司法は誤判を是正しなくてもや止むを得ないともいえます。しかし、誤判を是正する責任が冤罪被害者およびその家族にあるというのは明らかに間違っています。誤判を犯した原因は冤罪被害者およびその家族にはないからです。

■検察官は被疑者の意思に関係なく一方的に起訴します。裁判所も被告人の意思に関係なく一方的に判決を言渡します。刑の執行も一方的になされます。冤罪被害者およびその家族の意思は一貫して無視されます。(中略)このように一貫して無視されてきたにもかかわらず、誤判の是正、再審請求の場合にだけ、冤罪被害者およびその家族の意思を問題とする。誤判を是正するかどうかは冤罪被害者およびその家族の意思次第だというのは不公平ではないでしょうか。

司法が一方的に犯した誤判であるとすれば、それを是正する責任は司法の側にあると考えるのが当然ではないでしょうか。司法の側が、その責任で自ら再審を行い、自ら誤判を是正する。そして、誤判を犯したことを謝罪し、名誉回復、被害救済を図るというのが当たり前ではないでしょうか。国民主権の下では、司法にそのようにさせるのは国民の権利でもあり、責務でもあるといえます。

■今、いじめが大きな社会問題になっています。いじめには、加害者、被害者、そして、傍観者という構図が見られる。そして、傍観者は第三者では決してなく、明確に加害者だということがしばしば説かれています再審請求について、司法が傍観者の立場、受け身の立場を取り続けるということは、第二の人権侵害を犯すということにならないでしょうか。(中略)これを国民、市民が許すということは、国民、市民もまた人権侵害の側にくみするということを意味します。今まで眠っていた検察官による再審請求という規定を活用させるということは、司法だけでなく、国民、市民の側の権利、そして義務でもあるのではないでしょうか。

■問題は、このような形で検察官による再審請求という規定を活用することが法解釈論上可能かどうかです。法解釈論上は全く問題はありません。検察庁法4条は、検察官の職務について、次のように規定しているからです。

「検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所の法に正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。」

■そして、刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」があると考えた場合には再審を請求するというのも、「公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う」に該当します。それも検察官の職務なのです。有罪にすることがけが検察官の職務ではないのです。

刑事訴訟法が、冤罪被害者らによる再審請求とは別の、もう一つの再審請求の道の担い手をなぜ、検察官としたのでしょうか。再審を請求するにあたっては訴訟手続きや事実誤認についての専門的知識が必要不可欠で、ときには捜査に関する能力も要求される。新しい証拠を収集する必要もある。このようなことから、検察官が適任とされたものと思われます。それ故、検察官がその「再審請求権」を行使するにあたっては、「検察の利益」に目を奪われるようなことがあってはなりません。「公益の代表者」として、国民の権利を擁護し、国民の負託に応えるという観点から、これを適正かつ公正に行使しなければなりません。国民からの再審請求の要請だということを真摯に受け止め、その再審請求権を誠実に行使しなければならないことは改めて詳述するまでもありません。

 

以上です。いかがでしょうか?

冤罪をなくすことや司法を監視することは、

国民の責任でもあると言われていることに、

私は大変共感しました。

それは図らずも、

このブログを立ち上げた目的に一致しています。

 

内田教授は、前回紹介した「福岡事件」の再審にも携わり、本も出している。

『冤罪・福岡事件 届かなかった死刑囚の無実の叫び』(現代人文社)

 

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【45】冤罪支援と家族の支え〜福岡事件・古川さん夫婦の活動を振り返る〜

「守大助さん東京の会」で一緒に活動しているIさんから、

嬉しい話を聴きました。

(Iさんについては、このブログの【30】【21】で紹介)

Iさんには奥さんと娘さんがいます。

2人とも冤罪などの社会問題に無関心だったのが、

急に大助さんの事件の資料を読むようになったそうです。

TVドラマ「99.9-刑事専門弁護士」の影響らしい…とのこと。

メディアの力の大きさもさることながら、

家族の理解を得ることの素晴らしさを、

改めて感じさせられました。

 

冤罪の支援活動を続けるにあたって、

家族の応援はとても大切です。

土日や休日に時間を割いて出かけるのを、

快く送り出してくれることに、

本当に感謝しなければなりません。

“身近な人の支えがあってこその活動!” 。

このことを最近、

ある夫婦の物語を読んで実感しました。

 

その夫婦とは、

僧侶の古川泰龍(たいりゅう)さん(1920〜2000年)と、

妻の美智子さん(1918〜2010年)

戦後初の死刑冤罪と言われる「福岡事件」(1947年)で、

無実を訴えながら処刑された西武雄さん(1975年執行)の雪冤に、

一心同体となって力を尽くしました。

美智子さんが遺した手記

『悲願〜「福岡事件」再審運動に捧げた生涯〜』をもとに、

駆け足になりますが2人の軌跡を紹介します。

 (福岡事件の概要や冤罪のポイントについては、ぜひ検索を!)

 

 結婚した翌年(1953年)、住職だった泰龍さんは、

福岡拘置所の死刑囚専属の教誨師になります。

そして死刑台に赴く人々と交流する中で、

無実を訴える西武雄さんと、

共犯者とされ同じく死刑が確定した石井健治郎さんに出会います。

2人を何とか助けてあげたいが、一教誨師に何ができるだろう

一家(8人家族)の生活を支えなければならない責任もある中で、

思い悩む泰龍さんの決意を後押ししたのは、

美智子さんの一言でした。

あなたが助けるほかに道はないでしょう。

あなたが立ち上がるなら、私は陰の力となって助けます

この時、美智子さんの脳裏には、

母校・東京家政学院の学院長の教え

“世のため人のため尽くせよ” が浮かんだそうです。

 

泰龍さんは福岡事件の冤罪性を世に訴えるべく、

『真相究明書』の執筆に取りかかります。

今まで宗教書が大半だった書斎の本棚は、

社会問題や裁判に関する書籍一色に。

原稿用紙2000枚以上を書き上げたものの、

印刷・出版資金がありません。

そこで泰龍さんは托鉢となって各地を回り、

お布施でお金を集めます。

法務省からは

“死刑囚を支援するなどトンデモナイ”と、

教誨師を辞めさせらますが(今も昔も法務省のやることは…(怒)

『真相究明書』300冊を刷り上げ、

法曹関係者や文化人に配布します。

 

しかし活動に没頭するほど一家の生活は火の車に。

ビールを買えず水を「鉄管ビール」と言って飲んだり、

ついにはガスや水道も止められて、

家の敷地内に沸く温泉で炊事や洗濯を賄ったり、

想像を絶するドン底生活が続きます。

それでも美智子さんはブレることなく、

お金の工面に駆け回ったり、托鉢に同行したり、

一貫して泰龍さんの活動を支えます。

口で決意を述べるのは簡単かもしれませんが、

現実的な問題もある中、

それを実行し続けたのは本当にスゴいと思います。

並大抵のことではありません。 

 

苦境にメゲず運動を続けたことで徐々に仲間が増え、

テレビや雑誌で福岡事件が取り上げられ、

1968年には「死刑囚再審特例法案」を提案。

これは神近市子議員ら超党派の有志と連携した運動で、

アメリカ占領下で起きた死刑確定事件について、

再審の機会を与えるという法案です。

半世紀も前に現在の「再審法」を先取りした運動が行われていたことに、

新鮮な驚きを感じます。

(「再審法」については後述します)

法務省の反対で(また法務省…(怒)法案の成立は見送られますが、

その代わり恩赦によって、

共犯者とされた石井さんの、

死刑→無期懲役への減刑が実現します。

そして西さんも恩赦…!と期待されましたが、

1975年6月17日、死刑が執行されてしまいます。

無実を訴えつづけてきた西さんは、

60歳で国家権力によって命を奪われました。

処刑前は遺書を書く時間も与えらなかったといいます。

石井さんは恩赦で減刑西さんは処刑…。

同じ福岡県で発生した「飯塚事件」のケースそっくりです。

(このブログ【34】で紹介しています。ぜひお読みください)

 

ちょっとハナシは逸れますが…

最終的に死刑執行のハンコを押すのは法務大臣ですが、

どの死刑囚の刑を執行するかを決めるのは「法務省刑事局」。

実質的に検察の下請け機関みたいな部署です。

このブログでは検察のことを

“司法マフィア” とか “サイコパス” と批判してきましたが、

どんな意図を以て西さんを処刑したのか…。

やはり検察の皆さんを、

同じ血の通った人間と認めることはできません。

 

話題を戻して…

西さんの処刑に意気消沈しながらも、

泰龍さんと美智子さんは、

「死後再審」に向けた取り組みを続けます。

仮釈放となった石井さんも(1989年)運動に加わり、

再審請求がくり返されますが、

2009年に第6次請求が棄却。

西さんの雪冤を果たすことなく2人は旅立ちます。 

 

現在は長男の住職・古川龍樹さんが遺志を継いでいます。

龍樹さんは幼い頃から拘置所に面会に行く両親に付いて行ったり、

“おじさん(西さん、石井さん)”が獄中で育てた小鳥をもらったり、

学生時代には托鉢に参加していたそうです。

事件発生から71年、西さんの処刑から43年、

風化させまいと活動を続けていることは、

本当にスゴいと思います。

 

龍樹さんは福岡事件を語り継ぐとともに、

有志による「再審法」の成立に向けた運動に参加しています。

刑事訴訟法で再審を請求できるのは、

「本人、親族、検察官」のみとされています。

福岡事件の場合は親族も亡くなっており、

再審請求が非常に困難な状況にあります。

そこで現行の制度を見直し、

三者にも請求権を広げようというわけです。

他にも再審開始決定に対する検察抗告の禁止など、

(このブログ【29】参照)

刑事訴訟法とは独立した再審のルールを作ろうと、

さまざまな冤罪事件の当事者や支援者、弁護団

一部の国会議員も連携した運動へと発展しています。

そして守大助さんの再審無罪を勝ち取るために、

自分も運動に参加していきたいと思っています。

次回はこの “再審法とは?” について紹介します。

 

古川美智子さんの手記。泰龍さんとともに表紙写真に収まる。

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■「再審法」成立を目指す院内集会で「福岡事件」を語る長男・龍樹さん。

 手にしているのは、西武雄さんが獄中でしたためた写経。

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【44】Are you サイコパス, KENSATSU!?

今週は、冤罪をめぐる大きな動きが2つありました。

 

■恵庭事件〜29歳だった彼女は47歳に〜

1つは3月23日、札幌地方裁判所が、

「恵庭OL殺人事件」の再審請求を棄却しました。

日弁連(日本弁護士連合会)も再審を支援している、

典型的な冤罪事件です。

(事件の詳細は、ぜひネットでググってみてください)

何が “典型的” かと言うと、

冤罪の発端が警察の “思い込み捜査” だったこと。

犯人とされた大越美奈子さんの小柄な体格・体力では、

どうやっても犯行が不可能だったり、アリバイがあったり、

明らかに無実じゃん…というポイントがたくさんあるのですが、

警察は “三角関係のモツレによる殺人” と勝手に思い込み、

犯行のストーリーをデッチ上げて逮捕。

検察も裁判所もそれを追認…。

“思い込み”が 冤罪を生む温床になっていることは、

このブログでも何度か紹介してきました(【10】ほか)。

29歳で逮捕(2000年)された大越さんは現在47歳…。

偶然にも守大助さんとほぼ一緒です。

大越さんの場合は無期懲役でなく有期刑(16年)ですが、

たくさんの楽しいコトを体験できたであろう、

30代と40代を丸々奪わるとは…?

その無念さを表現する言葉が見当たりません。

人の人生を一体何だと思っているのか!

改めて司法への憤りを感じずにいられません。

 

■大崎事件〜やはり検察は特別抗告!〜

そしてこのブログ【40】で紹介した大崎事件、

福岡高等検察庁は特別抗告してきました!

事件の概要等は前回紹介したのでくり返しませんが、

検察の異常さが改めて浮き彫りにされました

 

口では正しいことを言いながら、

ウソをついたり、約束を破ったり、人を傷つけても

全く平気な人たちを サイコパスと呼ぶそうですが、

抗告した当事者である福岡高等検察庁のHPを見ると、

そのサイコパスぶりがよくわかります。

榊原一夫検事長の挨拶部分のリンクを貼っておきます。

検事長挨拶:福岡高等検察庁

ご覧の通り、こんなことを述べています。

 

私どもの使命は、日々生起する事件について、

適正な捜査・公判活動を実施し、

事案の真相を解明して、

これに見合った国民の良識にかなう相応の処分、

相当の科刑を実施することを通じて市民生活の安全・安心を確保し、

社会経済の基盤である法秩序を維持することにあります。

 

今回の特別抗告が本当に、

適正な捜査・公判活動” でしょうか?

国民の良識にかなう相応の処分” でしょうか?

 

 そして、

次席検事の森本和明さんは抗告の理由として、

再審開始決定が法令違反である、としています。

ここまで冤罪が明らかな事案に対して、

何が法令違反なのでしょうか…

森本さんは福岡高検に来る前は、

奈良地検におられました。

その時の新聞記事のリンクと、

記事の一部を紹介します。

やまと人模様:奈良地検検事正 森本和明さん 更生、地域で支援を /奈良 - 毎日新聞

真相解明のために捜査を尽くすことを信念とし、

被害者支援に取り組む人や犯罪者の立ち直りを支える

人たちにも連携を呼び掛ける

 

ならば…今回の事案についてはたまたま、

真相解明のために捜査を尽くしてなかったのかな…

まあ、人間だから時には間違いを犯しますからね…

 

何となく取り留めなく書いて来ましたが、

検察のようなサイコパスな人たちが、

絶大な権力を握っている。

それが日本の司法の現実である、ということを、

今一度しっかり認識しておく必要があると思います。

本当に冤罪はヒトゴトじゃありません。

 

福岡高検のお二人のスクリーンショットも貼っておきます。

上=榊原検事長福岡高検HPより)

下=森本次席検事(奈良地検時代/毎日新聞より)

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