Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【156】冤罪撲滅という点からも、宇都宮健児さんを都知事にしたかった!!

◆宇都宮さんは『再審法改正をめざす市民の会』の共同代表

東京都知事小池百合子さんが366万票(得票率59.7%)を獲得し、再び東京都政のリーダーシップを取ることになりました。

私が応援していた宇都宮健児さん(元・日弁連会長)は2位だったものの、約84万票(得票率13.7%)にとどまりました。

私個人的には、まあ小池さん再選の可能性が高いだろうと思ってはいましたが、まさかここまでの圧勝になるとは…というのが正直な感想です。宇都宮さんがもっと追い上げて接戦になると期待していましたが、見事に打ち砕かれました。

そんな見通しが甘いんだ!と言われれば、それまでです。

今回の都知事選ではそれほどクローズアップされませんでしたが、宇都宮さんは冤罪をなくす運動にも取り組んでおり『再審法改正をめざす市民の会』の共同代表の1人にもなっています。

(HPはこちら)

再審法改正をめざす市民の会 | rain-net

守大助さんの支援者仲間の1人は、こんなふうに残念がっています。

「もし宇都宮さんが都知事になったら、警視庁と都内警察署の取調室にカメラを設置してもらうとか、やりたかった。再審法改正に向けた国への意見書の都議会可決も」

まったくその通り。日本最大の自治体である東京都のリーダーがこのような取り組みをしたら、相当なインパクトになるでしょう。

しかし今回負けたからと言って、まだまだ終わりじゃありません。宇都宮さんご本人のツイートを紹介します。

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“選挙は一つの社会運動” という視点と “これからも運動は続けていく” という決意、とても大切だと思います。

あくまでも点でなく線として、負けたらオシマイでなく活までやり続けるという姿勢は、冤罪の支援活動でも大いに見習いたいです。具体的に言うと…。

  • 無罪を取れなかったからと言ってヘコたれず、また立ち上がって声を上げる。
  • 無罪を取れたら“良かった!”で終わらせるのでなく、冤罪を生んだ警察・検察・裁判所を正すよう働きかけていく。

強大な司法権力を相手に私たちができることは、とにかく継続することしかありません。

◆宇都宮さんの「布川事件」の声明文、全文紹介します

宇都宮さんは日弁連会長だった2011年、「布川事件」が再審無罪となったことを受けて、声明文を発信しました。

布川事件ひいては日本の冤罪全般の問題点を的確に指摘し、簡潔にまとめた良い声明だと感じたので、全文を紹介します。

本日、水戸地方裁判所土浦支部は、いわゆる「布川事件」について、櫻井昌司氏と杉山卓男氏に対して、再審無罪を言い渡した。

 

当連合会は、1978年(昭和53年)の判決確定直後から、人権擁護委員会内に布川事件委員会を設置し、以来両氏の救済のため最大限の支援を続けてきたところであるが、この日のために長きにわたって無実を訴え続けてきた両氏とこれを支えてきた御家族・支援者の方々、弁護団の活動にあらためて敬意を表するものである。

 

本件強盗殺人現場には激しい格闘があったことや室内が物色されたことが明らかな多くの痕跡があったが、両氏の指紋や毛髪は全く存在せず、他にも両氏が犯人であることを示す物的証拠は皆無であった。それにもかかわらず、代用監獄で偽計・脅迫等によりもたらされた虚偽自白や、誘導され変遷が顕著な目撃証言など、はなはだ危うい供述証拠のみを根拠に有罪が認定された。

 

また、裁判所が警察の取調べの最終段階における自白録音テープに大きく影響を受けて自白の任意性を認めてしまったことは、一部録音録画の危険性を端的に示すものであった。さらに、両氏が無罪であることを示す証拠はずっと隠されたままであり、無罪方向の証拠の多くがようやく開示されたのは、第二次再審請求後のことであった。

 

本日の判決は、これらの問題点を指摘して無罪としたものであり、当然のことではあるが、ようやく正義を実現したことは評価できる。

 

ここに至るまで両氏を29年余もの間獄中に置き、43年余もの間、強盗殺人犯の汚名を着せ、筆舌に尽くしがたい苦しみを負わせてきた警察・検察及び裁判所の誤判に対する責任は重く、深刻に反省すべきである。 当連合会は、検察官に対して、控訴を断念し早期に両氏を強盗殺人犯の汚名から名実ともに解放することを強く求める。そして、今後とも再審支援の活動を一層強化し、えん罪被害者を早期に救済するため、あらゆる努力を惜しまない所存である。

 

また、当連合会は、今後も、虚偽自白を生み出し、不法な取調べの温床となっている代用監獄の廃止、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)、証拠の全面開示の実現など、えん罪を防止するための制度改革を実現するために全力を尽くす決意である。さらに、えん罪事件について、その原因を調査究明し、将来のえん罪防止へ向けて諸制度の運用改善及び立法を政府及び国会に提言する第三者機関の設置を国会・内閣に強く求めるものである。


2011年(平成23年)5月24日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

 この声明が出されたのは9年前。現在も冤罪支援をめぐる状況は厳しいものの『再審法改正をめざす市民の会』が結成されるなど、着実に前進はしていると思います。

とにかく歩みを止めず、進んでいきます。

布川事件の詳細については、こちらに書きました)

【109】「布川事件」国賠勝利に想うこと - Free大助!ノーモア冤罪!

【110】明るく楽しい冤罪支援〜布川事件に学ぶ〜 - Free大助!ノーモア冤罪!

 

『再審法改正をめざす市民の会』発足集会(2019年5月20日)で。後列むかって左から5人目が宇都宮健児さん。

 

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【155】守大助さん&勝又拓哉さんからのメッセージ

◆コロナにも負けず、無実を訴える2人に自由を!

前回のブログで紹介した「大崎事件」のクラウドファンディング

最終的に1240万7,000円が集まりました。

当初の目標額500万円を早々にクリアし、再設定した目標額の1,000万円も200万円以上を上回る結果となりました。本当に素晴らしいことだと思います。

クラウドファンディングを企画した周防正行監督、4回目の再審請求にのぞむ弁護団の皆さんには、ただ頭が下がります。

もちろん伝え方次第ではありますが、真実を伝えれば共感し、応援してくれる人がいることに、とても勇気づけられます。

「北陵クリニック事件」の支援者としても、見習わなければいけないことがたくさんあると思っています。第二次再審請求が申し立てられたら、何らかのアクションを起こしたいです。

そして守大助さんと「今市事件」の勝又拓哉さんの2人から、メッセージが届きました。両事件を支援している『再審・えん罪事件全国連絡会』ニュースレターの最新号から紹介します。

●守大助さん(北陵クリニック事件)

“第二次再審請求・仙台地裁で再審開始を勝ち取るため、全国の皆さんのお 力をもう一度お貸しください。私はどの患者さんにも筋弛緩剤を混入していま せん。両親が元気でいるうちに帰りたい。助けてください”

新型コロナウイルスが全国に広がり収束が見えない状況が続いております。 皆さん体調はいかがですか。いつも温かく力強いご支援をいただきありがとう ございます。

4 月の私の誕生日には、お祝い金、誕生日カードが届き、とても 感謝しています。私は 2 月より炊事場・下処理班長となりまして、毎日頑張っ て作業しています。もちろん第二次再審で勝利するために、書類を読み直し確 認作業も続けています。(弁護士の)先生と支援者の方々と第二次のたたかい方 について話し合いもできていますので、どうか安心してください。コロナに負けず戦っています。

私の「自白」というのは「虚偽自白」です。取り調べ刑事による暴力的な言葉が続き、脅迫され、 その時間がとても恐ろしく耐えることができなくなり、「どうせ調べれば分かることだ」という甘い考 えをしてしまい、やってもいないことを認めてしまった。当時の私は父親が警察官だったので、ちゃ んと調べてくれると信じていました今はそれが大間違いだったと反省しています。隠された真実を明 らかにし強制留学を終わらせたいです。

大助さんはいつも、刑務所生活のことを“強制留学”と書いてきます。29歳で逮捕されたのが2001年。無期懲役が確定して千葉刑務所に収監されたのが2008年。すでに“留学”も12年になります。

炊事場の下処理班長に昇進できたこと、コロナに負けず頑張っていることには、少し安心しました。でもやはり、頑張れるにも限界があるでしょう。

来年(2021年)の4月には、大助さんは50歳を迎えます。次の第二次再審で勝つしかありません!!

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●勝又拓哉さん(今市事件)

4 月 16 日に(東京拘置所から移送され)川越少年刑務所に来ました。コロナで作業を中止しておりましたが、5 月 14 日から動作の訓練が始まりました。工場では動作の 訓練、大声を出す訓練、体操を覚えたり工場のルールを教えてもらったり。

基本動作はクリア、大声を出すのも一応クリア、喉が痛い日々でした。敬語を使うように言われ、 これが難しい。今まで敬語と思っていたのとは実が違ったりで参りました。日本語ムズカ シイですね。

工場での作業はストラップを作ることでした。橙色なので、多分神社で売 っているやつかな。

6 月 11 日から部屋移動があり、今独居房で紙袋を作る作業をしています。今は移 送待ちの期間なので、移送されるまで紙袋作りと思います。

東京拘置所にいる間はマスクが使えなかったのですが、こちらでは布マスクを 3 枚も らって洗って使っています。ちなみに 5 月 28 日に面会禁止が解除されました。

4 月から 5 月に(拘置所に)来た手紙 250~300 通。こちら(川越)に来てからは 150 通ほどです。その様子 を見た別の受刑者同士の会話を偶然聞いてしまいましたが、「すごい(たくさん)手紙が来ているけど、どこかの 組織の幹部とかですかね?」という話が聞こえてきて笑ってしまいました。

移送先がどこになるのか、気になって仕方がない日々です。

拓哉さんとは、3月東京拘置所で面会しました。

(その時の様子はこちら)

【135】「今市事件」④勝又拓哉さんに面会してきました - Free大助!ノーモア冤罪!

現在は訓練のため川越少年刑務所におり、ここからさらに他の刑務所に移送され、そこで刑に服することになります。一体どこの刑務所になるのか、本当に不安でしょう。慣れない日本語の敬語に奮闘している様子もうかがえます。

拓哉さんも大助さんと同じく、無期懲役。再審に向けて、これから長い闘いを強いられることになります。少しでも早く自由を取り戻すために何ができるか? 支援者として引き続き知恵を絞ります。

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◆思い上がりに自戒の念を込めて

まったく話題が変わりますが、昨年の8月に投稿した記事に対して、お叱りのコメントをいただきました。

(こちらの記事です)

【114】8月15日に思ったこと、守大助さん全国集会 - Free大助!ノーモア冤罪!

ちょうど終戦記念日の直後だったので、先の戦争に対して思ったことを書きました。日本人が空襲や特攻で命を落としたのは、ある意味自業自得だと…。

実は私自身も、かなり独善的なことを書いてしまったと思っています。それに対して、こんなレスポンスをいただきました。

その考え方は大変危険です。それは、小泉改革以降の日本に蔓延する自己責任論となんら変わりません。戦時中は売国奴、アカ。戦後は反動、ファシストといった言葉が飛び交いました。それらの発言をした人は自らを正義だと信じていたことでしょう。

司法への批判自体は必要でしょう。しかし、あなたは今の日本の検察や裁判所それ自体を絶対悪とみなし、自らの活動を絶対的正義だと思っていませんか?

まったくご指摘の通りで、ただ反省する他ありません。

とくに “検察や裁判所それ自体を絶対悪とみなし、自らの活動を絶対的正義だと思っていませんか?” という問いは、厳粛に受け止めます。

実際に冤罪の支援活動をしていると、日本の司法には怒りを感じてばかりです。そして“許せない!”という感情がたかぶるあまり、自分の活動こそが正義だと思い上がってしまうたことも、正直言ってあります。

しかしこれは危険なこと。それこそ冤罪を生む警察や検察、裁判所と一緒になってしまいます。“正義の押し売り”だけは絶対にしないよう、より一層の自覚を持って活動にのぞみたいと思います。

◆正義の正体とは? 市川森一さんのメッセージ

“正義”という言葉の危うさについて考えるとき、私は脚本家・市川森一さん(1941年〜2011年)のエピソードを思い出します。冤罪支援とは直接関係ありませんが、自戒の意を込めて紹介します。

市川さんはNHK大河ドラマなどで知られていますが、キャリアのスタートは子ども番組でした。

デビュー作の『快獣ブースカ』(1966年)を皮切りに『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』、『シルバー仮面』、『ウルトラマンA(エース)』(1972年)と執筆を続けました。

 『ウルトラマンA』は全52話。クリスチャンである市川さんの考えが色濃く出た作品と、ファンに評価されている。

さらに市川さんは、ウルトラマンと双璧をなす人気変身ヒーローとなる『仮面ライダー』(1971年)の企画会議にも参加。そこでこんな提案をしたといいます。

「正義のために戦うなんて言うのは止めましょう。ナチスだって正義を謳ったんだから、正義って奴は判らない。悪者とは、どんなお題目を掲げていても人間の自由を奪う奴が悪者です。仮面ライダーは、我々人間の自由を奪う敵に対し人間の自由を守るために戦うのです」

 (『仮面ライダー名人列伝』平山亨・著/139ページより)

 当時のプロデューサーが、仮面ライダーの誕生秘話を綴った1冊。 

この市川さんの提案から、オープニング主題歌の最後にかかる、あの有名なナレーションが誕生したといいます。

仮面ライダー本郷猛(ほんごうたけし)は改造人間である。彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダー人間の自由のためにショッカーと戦うのだ! 

なぜ “正義のため” ではなく “自由のため” というちょっと凝った表現になったのか? その裏には、深い理由があったのですね。

実は「守大助さん東京の会」の母体となる人権団体・日本国民救援会も、よく自由という言葉を使います。

私もウルトラマン仮面ライダーで育った世代。今こそ市川さんの言葉を胸に刻み、そこに込められたスピリットを正しく活動に活かさなければと思います。

仮面ライダー』は1971年4月に放送がスタートし73年2月まで全98話、2年近く続く人気番組となった。市川森一さんは1本のみ脚本を担当し、ウルトラシリーズに戻る。俳優・藤岡弘、出世作としても有名。

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【154】いよいよ本日23:00まで!!「大崎事件」クラウドファンディングにご協力ください!!

◆またまた寸前の告知ですが、よろしくお願いいたします

以前このブログで紹介した「大崎事件」第4次再審に向けたクラウドファンディング

いよいよ本日が受付最終日となりました。23:00までになります。

すでに午後3時現在、目標の1000万円を上回る1152万円が集まっています!!

でも終了まで、まだ時間は残されています。

下記リンクからアクセスの上、ぜひご協力をお願いいたします!!

  • 新規登録またはログインが必要ですが、やってみるとそれほど面倒ではありません。
  • Facebookのアカウントでもログインできます。
  • 銀行振込またはクレジットカードを利用できます。
  • 金額は3000円から各種用意されています。

↓こちらからお願いいたします↓

readyfor.jp

本プロジェクトを立ち上げた映画監督・周防正行さんの想い、事件の概要などについては、こちらに書きました。

daisuke0428.hatenablog.com

にしても、冤罪支援でこれだけの金額が集まったことに、本当に勇気づけられます。私が支援している、守大助さんの「北陵クリニック事件」も、第2次再審請求を目指しています。

実際に再審請求が申し立てられたら「大崎事件」の取り組みを見習い、改めて何らかのプロジェクトを立ち上げたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします!!

 

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【153】寸前ですが「湖東記念病院事件」ライブ配信のご案内

もうあと1時間弱で始まりますが、YouTubeのウェブセミナーのご案内です。

テーマは当ブログでも何度か紹介し、1日最大2000以上のアクセスをいただいた「湖東記念病院事件」です。

ぜひご覧ください!!

 

●再審法改正をめざす市民の会(RAIN)第一回Webセミナー

  • テーマ【湖東記念病院事件から学ぶべきもの】
  • 講師:井戸謙一弁護士(湖東記念病院事件再審 主任弁護人)
  • 聞き手:鴨志田裕美弁護士(大崎事件再審弁護団事務局長)
  • 配信時刻:6月13日(土)午後2時開始(午後3時すぎまでの予定)


下記いずれかのYouTubeのURLにアクセスするか、YouTubeで「再審法改正をめざす市民の会」を検索してご覧ください。

 

https://bit.ly/2BF2Cjp

https://www.youtube.com/watch?v=j7QBzwfwfDk

 

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【152】「飯塚事件」(後編)処刑の責任者が検察トップに出世

◆法務官僚は何を考えて死刑執行を決めたのか?

私が「飯塚事件」を知ったのは、2009年のことでした。

週刊朝日』(もしかすると『サンデー毎日』だったかも)で、“足利事件と同じDNA鑑定で犯人とされ、冤罪の疑いが強いにもかかわらず、死刑が執行されてしまった”という記事を読んで、ものすごい衝撃を受けました。

翌2010年にはアムネスティ・インターナショナル主催の学習会に出かけて、はじめて徳田靖之弁護士の講演を聴きました。

これ以来、前回紹介したものも含めて徳田弁護士のお話を4〜5回聴きましたが、この1回目の印象は強烈でした。

まだ死刑執行から2年しか経っておらず、前年に再審請求を申し立てたばかりという状況の中、言葉を絞り出すように語る様子に胸が潰されそうになりました。

とくに、こんな一言が耳に残りました。

“久間さんの死刑執行を決めた法務官僚は、何を意図していたのか?”

10年前のことなので、徳田弁護士が正確に何と言われたか自信ありませんが、 “ホウムカンリョウ” という言葉だけはアタマを離れませんでした。

◆現役の検事総長も、死刑執行に関わっていた!!

では無実の可能性が高い久間三千年(くまみちとし)さんを殺した法務官僚とは、どんな人たちなのか?

これについてはライターの片岡健さんが綿密な取材を行い『絶望の牢獄から無実を叫ぶ』(鹿砦社 2016年)という本にまとめています。この本には、無実を切実に訴える久間三千年さんの手記も掲載。「飯塚事件」を理解するには必読の1冊です!!

本には「飯塚事件」の捜査に関わった警察官、起訴した検察官、死刑判決を下した裁判官に直接取材を試みたことも書かれています。しかしほとんどが“ノーコメント、取材お断り”という結果でした。このことが逆に、事件が冤罪である事実を浮かび上がらせているように思えて、読んでいて背筋が寒くなります。

さらに情報公開請求により、死刑執行の決裁文書を取り寄せています。そこから決裁に関わった法務官僚の名前が明らかになりました。

本から一部を引用してみます。※漢字→算用数字にするなど、原文に一部手を加えています。

2008年10月24日、(法務省)刑事局総務課名義で「死刑執行について」と題する文書が起案され、この日のうちに決済されています。

文書は久間さんの姓名や生年月日、裁判で認定された犯罪事実以外の部分がほとんど黒塗りされていましたが、表紙にはこの文書を決済した法務省幹部6人(尾崎道明矯正局長、大場亮太郎矯正局総務課長、富山聡矯正局成人矯正課長、坂井文雄保護局長、柿澤正夫保護局総務課長、大矢裕保護局総務課恩赦管理官)の押印が確認できました。

また、この日のうちに、「死刑事件審査結果(執行担当)」という文書に森英介法務大臣佐藤剛男(たつお)法務副大臣の二人がサインし、法務省幹部5人(小津博司事務次官稲田伸夫官房長、中川清明秘書課長、大野恒太郎刑事局長、甲斐行夫刑事局総務課長)が押印しています。

つまり、判明した限りでも森法務大臣と佐藤法務副大臣に加え、計11人の法務省幹部が久間さんに対する死刑執行が相当だという決裁をしたわけです。そして決裁後、この日のうちに以下の死刑執行命令書が作成されています。(28ページより)

私は後半に登場した5人の名前を見て「エッ!?」と思いました。

うち赤字にした3人は、後に「検事総長」つまり…検察組織のトップに出世していたのです。まず稲田伸夫さんは、現役の刑事総長。

昨今の「検察庁法改正案」問題では、安倍政権に対峙する “検察の顔” として目にする機会も増え、ヒーローに祭り上げられている感もあります。「飯塚事件」の真相を問いただす、気概のある記者さんはいないのでしょうか?

他の4人の「その後」は、下記のとおりです。

無実の可能性が高い久間さんの死刑執行を決めた法務省幹部のうち、3人が検事総長に登り詰め、残り2人も高検のトップという出席コースへ。

そして退官後は、名だたる大企業に天下り。そこでは当然、巨額の報酬を得ているに違いありません。

(記事は写真の下に続きます)

法務大臣以下、法務官僚たちの押印がされた決裁文書。『絶望の牢獄から無実を叫ぶ』246ページより。

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稲田伸夫検事総長検察庁HPより。経歴中にある「法務省大臣官房長」の時に、久間さんの死刑執行を決裁した。

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検事総長から、世界最大の自動車メーカの監査役に天下った小津博司さん。トヨタ自動車HPより。

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同じく、検事総長から伊藤忠商事に天下った大野恒太郎さん。伊藤忠HPより。

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◆“無実の処刑”を、墓場まで持って行かせてたまるか!?

『絶望の牢獄から無実を叫ぶ』より、小津博司さん、大野恒太郎さんの2人に取材を試みたヵ所を抜粋して紹介します。

小津氏に手紙で取材を申し入れたところ、次のような返事の手紙が届きました。

〈前略 

6月16日付のお手紙拝受いたしました。小生に対する取材のお申し込みですが、退官後、このような取材は全くお受けしておりません。この度のお申し出もお受けすることはできませんので、悪しからずご了解いただき、今後の連絡もお控えいただきますよう、お願いいたします。要件のみにて失礼いたします。 早々〉

言葉は丁寧ですが、強い拒絶の意思が感じ取れました。(31ページより)

この取材を申し入れた当時、大野さんは現役の検事総長でした。

大野氏に手紙で取材を申し入れたところ、最高検企画調整課の検察事務官から電話がかかってきました。

「今回の取材申し入れに関しては、大変恐縮なんですが、お断りさせて頂きたいということです」

いかなる理由で取材を断るのか尋ねると、「とくに賜っておりません」とのことでした。取材を断られたのは予想通りでしたが、大野氏はもちろん、周辺の検察職員たちも飯塚事件関係の取材にはナーバスになっている雰囲気がうかがえました。(31〜32ページより)

 以上です。どうでしょうか?

彼らはどうやら、取り返しのつかないことをしてしまったという自覚だけは持っているようですが、真相は墓場まで持っていくつもりでしょう。

法務省や検察の考える“正義”や“公益”とは、いったい何なのでしょうか? 無実の可能性が高い人間の処刑を指揮した人間が組織のトップに上り詰め、退官後は大企業に迎え入れられる。

この現実を、1人でも多くの方に知っていただきたいと思います。

こうした「飯塚事件」のダークサイドに光を当てるには、一にも二にも再審を実現させること。しかし裁判所は国家のメンツを守ろうと、なかなか再審開始決定を出さないでしょう。もし再審を認めれば、国家権力が無実の人間を殺したことを認めることになりますから…。

飯塚事件」の再審請求は福岡地裁福岡高裁で退けられ、現在は最高裁で審理されています。考えたくありませんが、三行半でアッサリと棄却される恐れもあります。

しかしこのまま放置しておいて良いのでしょうか?

処刑を指揮した法務官僚たちの目の黒いうちに、何としても真相を明らかにしなければなりません。そのためには私たちが関心を持って、世論を広げることが大きなカギになります。

そして久間さんの雪冤に心血を注ぐ弁護団の皆さん、遺志を受け継いで再審を闘うご遺族には、心から敬意を表します。

ある著名な冤罪事件を手がけている弁護士さんは、こう話していました。

「今、自分が担当している事件が終わったら、飯塚事件弁護団入りを志願したい」

プライベートなお酒の席での発言なので、この弁護士さんの名前は明かせませんが、関心は着実に広がっています。

当ブログは守大助さんの「北陵クリニック事件」の情報発信を目的に立ち上げましたが、引き続き「飯塚事件」についても書いていきます。よろしくお願いいたします。

また、片岡健さんは昨年も取材をしており、5回にわたってまとめています。2回目には稲田検事総長も登場しています。記事のリンクを張っておきます。

www.data-max.co.jp

www.data-max.co.jp

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www.data-max.co.jp

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【151】「飯塚事件」(前編)法務省が無実の人を “確信犯的” に処刑!?

◆死刑執行を裏でお膳立てする法務省

今回は前回の予告どおり、法務省と死刑執行について書きます。

死刑執行の流れは2012年、「毎日新聞」が法務省に情報公開請求して明らかにしました。記事をまとめると、以下のようになります。

この毎日新聞の元記事(『クローズアップ2012:死刑順位、基準は闇 決済に13人関与、起案内容黒塗り』2012年06月01日 東京朝刊)はリンクが削除されています。しかし検索すると記事を転用したブログがいくつかあり、読むことができます。

また、ジャーナリスト・青木理(おさむ)さんの著書『絞首刑』(講談社文庫)では、このように書かれています。

死刑囚の刑が確定すると、当該事件を管轄する高等検察庁(地裁段階で確定した場合は当該の地方検察庁)からの上申を受け、法務省では刑事局総務課が差配して(裁判の)一審段階からの公判記録などをあらためて精査する作業が行われる。

実際にこの任にあたるのが刑事局付の検事であり、刑事局総務課の幹部である参事官がこれを総括する。ここで執行停止や再審、あるいは恩赦の事由があるか否かなどをチェックし、問題がないと判断すれば、刑事局付の検事が「死刑執行起案書」を作成することになる。(241ページより)

 近年はどこかの拘置所で死刑が執行されると、その日のうちに報道されるようになりました。そこでカメラの前に出てきてコメントするのは法務大臣です。

なので私たちは法務大臣が死刑執行を主導しているように思いがちですが、実は裏で法務省刑事局がお膳立てをしているのです。

また、検察がいろいろと実務に関わっていることも、改めて分かります。起訴から求刑、そして死刑執行まで、まさに検察がワンストップで仕切っているのが現状です。

現在、日本国内には死刑が確定した人(確定死刑囚)が100人以上います。その中から誰の死刑を執行するか? どういう順番で選んでいるについては完全なブラックボックスですが、死刑が確定してから5〜6年ぐらいで執行されるケースが多いようです。

ただし冤罪が疑われ、再審請求を繰り返している事件は例外。「袴田事件」の袴田巖さんや、「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さん、「帝銀事件」の平沢貞通(さだみち)さんなどは、まさにその典型です。

袴田さんは死刑確定(1980年)から30年以上も死刑が執行されないまま、2014年に釈放を勝ち取りました。奥西さんは死刑確定(1972年)から40年以上無実を叫び続けたまま、2015年に獄死。平沢さんも死刑確定(1955年)から約30年後の1987年に獄死しました。

奥西さんと平沢さんは、ともに八王子医療刑務所で息を引き取りました。

3事件とも冤罪が強く疑われ、再審請求が繰り返されたため、法務省も検察も死刑執行に踏み切れなかったのでしょう。ならばすみやかに再審に協力しろ!!と声を大にして言いたいです。

しかし…。

  • 死刑確定からわずか2年で執行
  • 再審を請求しようとしていた矢先の執行だった
  • 処刑される日まで一貫して無実を主張し、冤罪を疑う声も多い

という事件があります。それが福岡県で起きた「飯塚事件」です。

◆「飯塚事件」ってこんな事件

飯塚事件」については、過去にこのブログで紹介しています。

【117】11年前の今日、冤罪「飯塚事件」久間三千年さんの死刑が執行されました - Free大助!ノーモア冤罪!

ではどんな事件だったのか? 過去記事を編集の上、改めて紹介します。

●「飯塚事件」の流れ

〈事件発生〜死刑確定〉

  • 1992年2月20日 福岡県飯塚市で登校途中の小学1年生の女児2名が行方不明に
  • 1992年2月21日 同県甘木市(現・朝倉市)の崖下で2女児の遺体発見
  • 1994年9月23日 飯塚市に住む久間三千年(くまみちとし)さん逮捕、66日間の取調べで、一度も自白せず
  • 1995年2月20日 福岡地裁、第1回公判。久間さんは全面否認
  • 久間さんを“犯人”とする最大の証拠は、被害者女児の体内から発見されたDNA型が久間さんと一致したという、警察科総研の鑑定(後述します)
  • 1999年9月29日 福岡地裁(第一審)死刑判決
  • 2001年10月10日 福岡高裁(第二審=控訴審)死刑判決
  • 2006年9月8日 最高裁(第三審=上告審)死刑確定
  • 2008年10月28日 死刑執行

〈再審請求〜現在〉

  • 2009年10月28日 久間さんの遺族が福岡地裁へ再審請求
  • 2014年3月31日 福岡地裁、再審請求を棄却
  • 2014年4月3日 福岡高裁へ即時抗告
  • 2018年2月6日 福岡高裁、即時抗告を棄却
  • 2018年2月13日 最高裁へ特別抗告

このように地裁、高裁で再審請求が退けられ、現在は最後の望みをかけて最高裁で闘っています。

◆生命続くかぎり闘う…徳田靖之弁護士のお話

私は昨年10月に、「飯塚事件弁護団共同代表を務める徳田靖之弁護士の講演を聴きました。まさに身を削る想いで、久間さんの無念を晴らすべく再審を目指して闘う様子がヒシヒシと伝わってきました。

約1時間の講演内容は本当に衝撃的で、胸が詰まるものでした。今回はその一部、死刑が執行された時のお話を紹介します。

※文章は講演を聴きながら取ったメモを基に作成しています。文責は私にあります。

最高裁で上告が棄却されて死刑が確定した後、福岡拘置所に久間さんに面会に行きました。ここで “弁護士を全面的に信頼しています” と、再審を依頼された。それが2006年の9月のことでした。

その時点で私は、再審事件の弁護の経験がありませんでした。まったくはじめてのことです。そこで自分なりに法律の教科書をひもとき、あるいは再審事件をやられた弁護士の資料を読む中で、有罪となった事実を覆すに足りる明らかな新証拠を見つけないと、再審請求できないことを知った。それを必死になって探しました。

そうするうちに、2年という年月が経過してしまいました。

そこで私は主任弁護人と一緒に福岡拘置所を訪ねて、久間さんに死刑確定から2年が経過したのですが、私たちの準備ができていない。何とかして有力な新証拠を見つけたいと思っているのだけれども…という話をしました。

久間さんは獄中でいろんな資料を調べて、日本全国で死刑囚がどれぐらいいるかというリストを作っていた。そして “弁護士さん安心してください。私より先に死刑が確定している人がまだ20人近くいるので、私の順番が回って来るにはまだ時間がある。だからゆっくり構えて、しっかりした新証拠を出してください” と、逆に私を励ましてくれた。

その1ヵ月後、マスコミの記者から法務省が会見を開くという連絡が入りました。“法務大臣が会見で死刑執行を発表するようですが、徳田さんに何か連絡は来てますか?” というんです。 

“いいえ何も来ていません”と、びっくりして久間さんの親族にも電話をしたら、やはり連絡は来ていないと。そして午後になって、同じ記者から久間さんの死刑執行の発表だったと言われた。

法務省は、久間さんが再審請求の準備をしているということを十分に知った上で、死刑を執行しました。もっと早く再審請求をしていれば…私たちの怠慢が、執行を許してしまったと思わざるを得ませんでした。

死刑が確定している人は、国によって命を奪われるという崖っぷちに立たされていることを、蔑ろにしてしまった。これは弁護人として、やってはならない過ちです。

本当に、いたたまれない気持ちしかありません。そんな私たちに、久間さんのご遺族は “亡くなった主人は先生方を本当に信頼していました。ですから無念を晴らすためにも再審請求をして欲しい” と、助け舟を出してくださいました。

 この後、徳田弁護士は冤罪のポイントを丁寧に掘り下げ、 “生命が続く限り、久間さんの無念を晴らすために闘う” という決意で、講演を締めくくりました。

面会から1ヵ月後の、まさかの死刑執行。“モタモタせずに再審請求をしていれば、死刑執行は阻止できたかもしれない” という無念の想いがどれほど重いものか…私にはちょっと想像が付きません。

(記事は写真の下に続きます)

徳田靖之弁護士。2019年10月6日、カトリック清瀬協会で行われた公開学習会「死刑とえん罪」で。

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◆久間さんの死刑執行に秘めた法務省の狙い

改めて振り返ると、久間さんの死刑が確定したのが2006年9月で、執行が2008年10月。通常、死刑の確定から執行までは5〜6年ぐらい、10年以上執行されないケースもあります。確定から “たった2年” の執行は、本当に異例です。

なぜこんなことになったのか…? 推測されるのが「足利事件」の存在です。この事件は、1990年に栃木県で発生した幼女誘拐殺人事件。翌年に幼稚園バスの運転手だった菅家利和さんが逮捕され、無期懲役が確定します。

菅家さんを犯人とした根拠は、DNA鑑定でした。しかし2000年代に入ると鑑定技術は飛躍的な進化をとげ、1990年代当時の鑑定方法は精度が低く、信用に値しないことが明らかになります。

そこで2009年、菅家さんのDNAを再鑑定したところ、犯人でないことが明白に。これが決めてとなって2010年に再審無罪を勝ち取りました。足利事件は、世の中が「冤罪」や「再審」に注目するターニングポイントとなった事件でもあります。

そして「飯塚事件」で久間さんを犯人としたのも、足利事件と同一の「MCT118型」と呼ばれる鑑定方法。しかも鑑定を行った時期も、鑑定人もほぼ同じだったといいます。

このため “東の足利、西の飯塚” などと、称されることもあります。

久間さんの死刑が執行されたのは、まさに足利事件の再審に向けて、DNA再鑑定が行われようとしていた時期でした。

“似たような事件が2つも立て続けに再審無罪になったら、司法のメンツが丸つぶれだ…”。

恐らく法務省はこのように考えて、久間さんの死刑執行を急いだのでしょう。しかも足利事件無期懲役に対して「飯塚事件」は死刑事件。死刑制度を維持したい国として、冤罪の発覚を隠そうという狙いもあったのだと思います。

さらに…弁護団が「飯塚事件」の再審請求を進める中で、DNA鑑定に改ざんされた跡があることが明らかになりました。

  • 鑑定書に添付された写真に、久間さん以外の「誰か」(真犯人?)DNAが写っていた。しかし裁判には、その部分が切り取られて提出されていた!!
  • 写真には鑑定エラーがあった。そのヵ所をゴマカすため、わざと露出オーバー(※)にして焼き付けて見えなくした。※当時はデジタルでなくアナログのネガを使用

その他にも目撃証言のねつ造など、久間さんを犯人に仕立て上げるため、いくつかのデッチ上げが行われた疑いが持たれています。これについては長くなるので、また別の機会に書きたいと思います。

ひとまずまとめると、こういう結論になります。

  • 飯塚事件」は冤罪であるがゆえに、死刑が執行された。
  • 同じDNA鑑定で有罪となった「足利事件」に社会の注目が集まる中、次は「飯塚事件」が注目されるのは間違いない。
  • でも死刑制度を維持する(日本の治安を守る)上で、それは良くない。だったら注目される前にサッサと処刑してしまえ…という法務省の思惑が働いた。

これは私個人の妄想などでなく、「飯塚事件」を知る多くの人が考えていることです。たとえばジャーナリストの青木理さん。

青木さんは現地取材も行っており、実は先ほど紹介した『絞首刑』の一節は「飯塚事件」の章から抜粋したたものです。この本には久間さんを犯人にデッチ上げていく警察の捜査や、死刑執行の裏側が詳細に書かれています。

法務省の官僚が森英介法務大臣(当時)に、死刑執行の決済を迫るシーンの描写もあります。

森は、久間への死刑執行命令を発することに一抹の不安がよぎったのか、眼前の刑事局幹部にこう告げて再確認を迫った。

「間違いないのか」

しかし、痩せ顔の刑事局幹部はこう断言し、森に決断を促した。

「間違いありません。大丈夫です」(245〜246ページより)

 

また、評論家・宮台真司さんとのトークでは、私が書いてきたのと同じポイントを指摘しています。YouTubeのリンクを張っておきますので、ぜひご覧ください。

では久間さんの生命を奪った「法務省刑事局」幹部の素顔とは? 

次回に続きます。

www.youtube.com

 久間三千年(くまみちとし)さん。一貫して無実を訴えながら、法務省によって殺された。写真は『死刑執行された飯塚事件』(現代人文社)裏表紙より。

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【150】「法務省刑事局長」って何者!?調べてみました

◆“新聞の使命=権力監視”は、やはりタテマエだった

検察庁法改正案」ですが、黒川弘務検事長の賭博マージャン発覚という、想定外の展開になりました。

黒川さんのペナルティが最終的にどう落ち着くかは見守るとして、問題なのがマージャン仲間が産經新聞の記者と朝日新聞の社員だったこと。

タテマエ上とはいえ、権力の監視が新聞の役割。距離を置くべき相手である検察とマージャン卓を囲むとは、言語道断です。これではジャーナリズムもへったくれもありません。

このブログでは折にふれて、マスメディアはもっと検察の悪行をハッキリ伝えて欲しいと書いてきました。でもこんなズブズブの関係では、とても無理でしょう。

産經や朝日にとっての“スクープ報道”というのは、検察と親しくなってリークを垂れ流すことなのでしょう。

 ◆刑事局長は「大崎」と「袴田」の再審を妨害していた

この問題、当然ですが野党は追求の声をあげています。そこで国会の答弁に立ったのが、法務省の川原隆司(かわはらりゅうじ)刑事局長。

黒川氏賭けマージャン、1万~2万円やりとり 調査結果公表: 日本経済新聞

この名前、どこかで聞いたことあるぞ?と思っていたら、昨年6月にこのブログで取り上げいました。

daisuke0428.hatenablog.com

何と「大崎事件」の再審を妨害する意見書を最高裁に提出していた張本人だったんですね!!

さらにこんなtwitterも見つけました。

 ちなみにこの川原隆司刑事局長は、最高検検事だった2年前、袴田事件の担当で、「袴田巖の生活状況や心身の状況を考慮しても、拘置の必要性は高い」とかいう内容の意見書を最高裁に提出した人です。

 何と「袴田事件」の再審妨害も、川原さんだったのです。

“拘置の必要性は高い”とは、“東京拘置所に再収監すべき=死刑台に連れ戻せ!!”と言っているのと同じです。

もちろん川原さんの独断でなく最高検の総意で出した意見書だと思いますが、やはり看過できないと思います。

私は意見書を直接自分の目で確認していないので、このツイートを紹介するか迷いました。でもツイートした人が本格的に袴田さんの支援活動をしている方なので信頼できる情報と判断し、引用させていただきました。

改めて川原さんのここ10年のキャリアを調べてみました。

  • 平成22(2010)年4月 東京高検検事
  • 平成25(2013)年7月 大阪地検総務部長
  • 平成26(2014)年11月 東京地検刑事部
  • 平成28(2016)年4月 東京高検刑事部
  • 平成29(2017)年1月 秋田地検検事正
  • 平成30(2018)年1月 最高検検事 ※「大崎事件」「袴事事件」に意見書
  • 平成31(2019)年1月 法務省大臣官房長
  • 令和元(2019)年12月 法務省刑事局

(参考)

https://yamanaka-bengoshi.jp/

◆“法務省は検察に支配されている”は本当だった

さらに直近10人の検事総長のキャリアを調べると、7人が法務省刑事局長を経験していました。検察トップへの出世ポジションでもあるようです。

ちなみに黒川弘務さんは刑事局長でなく「刑事局総務課長」を経験していました。

本来、法務省は検察を監督する立場にあります。でも実際は“検察に支配されている”と、よく言われます。今回調べてみて、改めてこのことを実感しました。

この構図を何とかしない限り検察はこれからも冤罪をつくり、再審を妨害し続けるでしょう。

 では「法務省刑事局」とは、具体的に何をする部署なのか? 法務省のHPには、このように書かれています。

法務省:刑事局の事務

  • 刑事法制に関する企画・立案に関すること
  • 検察に関すること
  • 犯罪人の引渡し及び国際捜査共助に関すること

 さらにHPには書かれていませんが「死刑執行」の決済も、刑事局の仕事です。全国の拘置所に収容されている死刑囚の中から、誰の刑を執行するかを決めているのです。

これについては次回に書きます。

(つづく)

中央合同庁舎第6号館(左:法務省,右:検察庁)と、国の重要文化財に指定された法務省旧本館(赤れんが棟)。

建物の配置からして、法務省と検察が一体であることがよくわかる。(写真は法務省HPより)

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