【30】クリスマスの日、守大助さんに面会してきました!
もう昨年になってしまいましたが、12月25日に千葉刑務所の守大助さんに面会してきました。
今回は「東京の会」の仲間2人と、私の計3人で面会。いずれも大助さん(46歳)と世代の近い30〜40代で、紅一点のYさんは何と、サンタさんの衣装をまとって来ました。大助さんにささやかなクリスマスプレゼント…ということで、この日のために買ったそうです(笑)。冤罪の支援活動には真剣さと同時に、ちょっとばかりのユーモアも必要です。
もう一人のSさんは自分の不当解雇裁判の終決を機に、「東京の会」に本格的に参加するようになった心強い仲間です。Sさんは大助さんと初対面です。
アクリル板の向こうに現れた大助さんはグレーの作業服姿。いつも通り “よっ、来てくれたね!” という感じで、にこやかに迎えてくれました。無実の罪で自由を奪われてもうすぐ17年、千葉刑務所に収監されて今年で10年…。想像を絶する不条理な状況に置かれているにもかかわらず、笑顔で接してくれる大助さんには、本当に恐縮するばかり。支援者である私たちの方が勇気づけられます。
面会時間は30分。「東京の会」の活動報告やIさんの自己紹介をした後は、大助さんの近況を聴きました。10月から担当している刑務作業である、食材の下処理はだいぶ慣れたとのこと。約1000人分の収容者の食事のモトとなる、ジャガイモやニンジン、タマネギの下ごしらえをする大変な作業です。
最初は包丁の力加減が分からず悪戦苦闘していましたが、今では50kgのニンジンを50分で処理できるようになり、先輩受刑者からは“1時間30分ぐらいかかると思ったけど、早くできるようになったな” と、褒められたそうです。作業の不手際で怒られることもあるけれど、筋が通った理由なので納得しているとも、話してくれました。
そして大助さんは12月20日に出た、「湖東記念病院事件」の再審開始決定を、“最高のクリスマスプレゼントです” と、まるで自分のことのように喜んでいました。
この事件について、少し説明します。
2003年、滋賀県の病院で植物状態の入院患者が亡くなります。原因は不静脈による可能性が高く、そもそも事件性はないのですが、 “人工呼吸器のチューブを引き抜いて殺した” という、シナリオを勝手に描いた警察は看護助士の西山美香さんを逮捕。
山本誠なる刑事は、否認する西山さんを厳しく責め立てます。そして警察の意に添った供述をすると、急に優しく接するという取調べによって、強引に自白を引き出します。ちなみに西山さんがチューブを抜いたという目撃証言や、抜いたことを示す証拠は何もありません。
“そんなことで、やってもいない犯行を認めるの?” と、疑問を持たれた方は想像してみてください。今まで警察と無縁で暮らしてきた人が、いきなり狭い取調室に監禁されて、刑事にひたすら責め立てられる状況を…。
強い意志の持ち主だって耐えられないだろうと言われているのが、日本の警察の取調べ。“コイツが犯人” と一度決めつけたら、どんな手段を使ってでも自白させるのが彼等のやり方です。
西山さんは裁判になると自白を撤回。一貫して無実を訴えますが、有罪となって和歌山刑務所に12年間収監され、昨年8月に満期出所しました。
そして今回、大阪高等裁判所は、
“病死であった合理的な疑いがある” と、速やかに再審開始決定を出したのでした。例によって、検察は抗告してきました…。
どうでしょうか?医療施設が舞台になっていること、病死を “殺人事件” と思い込んだ警察が事件化し、無実の看護スタッフを犯人にデッチ上げた点など、大助さんの事件ソックリです。自分のことのように感じられるのも当然でしょう。
“考えが甘いと言われるかもしれないけど、湖東記念病院の流れを自分にも…と期待せずにはいられない” と最後に語って、アクリル板の後ろの扉に消えていった大助さん。
いや “甘い” なんて言うことはないです!そもそも悪いのは警察、検察、裁判所。
弁護団や支援者仲間、マスメディアとも協力して、必ず大助さんの自由を勝ち取ります!そのように決意を新たにした面会でした。
面会終了後、千葉刑務所の正門前で自撮り。左からYさん、Sさん、事務局長の私です。