Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【29】何故、検察は再審開始を妨害してはダメなのか?

■再審が決まると“必ず”イチャモンを付けてくる検察

更新が1ヵ月近く滞ってしまいましたが、2018年も、どうぞ宜しくお願いいたします。守大助さんをはじめ無実を訴えて闘う皆さんに、一刻も早く朗報がもたらされますように!

 さて新年1回目は前回予告した通り、“再審と検察” について書きます。

戦後長らく“針の穴にラクダを通す” ほど難しいと言われていた再審を巡る状況に、徐々に変化が起き始めています。2010年代に入ってから、布川(ふかわ)事件(2011年)、東電OL殺人事件(2012年)、東住吉事件(2016年)と、3件もの無期懲役事件が再審によって無罪を勝ち取っています。昨年は大崎事件、松橋(まつばせ)事件、年が押し迫った12月20日には湖東記念病院事件で、次々に再審開始決定が出されました。

 恐らく日本の刑事司法の歴史で、ここまで再審が相次いだのは前代未聞のハズ。

 しかし裁判所が再審開始決定を出すごとに、検察が必ずと言っていいほど、不服(抗告と呼びます)を申し立ててきます。昨年の3事件についても検察が抗告しており、ヘタをすると再審開始が取り消されてしまう恐れがあります。

最初の3事件についても検察の言いがかり(本当にこう呼ぶのがふさわしいです)を退けて、やっとの想いで無罪を勝ち取ることができました。

 ちなみに2014年の再審開始決定によって釈放された袴田巖さんも、検察の抗告によってまだ無罪になっていません。前回のブログ【28】を参照ください。

■ 検察は本来、再審に協力して無実の人を救う立場にある

 前置きが長くなりましたが改めて本題に…。

刑事訴訟法(450条)では確かに、検察は再審開始決定に対して “即時抗告をすることができる” と定めています。だからと言って、法律でOKなんだからいいんじゃない…?

というのは間違いです。

この部分はドイツの刑訴法を手本にした戦前の条文が亡霊のように残ってしまっているもので、本来は真っ先に廃止されるべきなのです。(ドイツは1964年に再審開始に対する検察の抗告を廃止)

 戦前の日本では拷問を伴う取り調べなどによって、たくさんの無実の人が獄中に送られました。 その反省に立っている(ハズの)現在の日本の刑訴法では、“疑わしきは被告人の利益に”と“無辜(無実の人)の救済” が大原則となっています。

中でも再審は誤った裁判で有罪にされてしまった人を救う、ほぼ唯一の機会と位置づけられており、検察が横ヤリを入れるなど許されるハズがないのです。

 刑訴法の大前提となる日本国憲法でも、第31条から第40条まで10条分を使って、無実の人を罰することがないよう定めています。

全99条からなる憲法の中で10条ものスペースが割かれているのは、刑事司法の分野だけです。ここでは紹介しませんが、ぜひ読んでみてください!!

 刑訴法に話を戻すと、再審を請求できるのは有罪を受けた本人、その親族、検察官とされています。つまり検察は本来、無辜の救済に積極的に協力すべき立場にあるのです。2011年に最高検察庁が策定した『検察の理念』では、検察の使命を以下のように謳っています。

公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ,事案の真相 を明らかにし,刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するため,重大な役割を担ってい る。我々は,その重責を深く自覚し,常に公正誠実に,熱意を持って職務に取り組ま なければならない。

 そして10条からなる条文の第3条では、

無実の者を罰し,あるいは,真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよ う,知力を尽くして,事案の真相解明に取り組む。

 と、無実の者を罰してはならないと、ハッキリ謳っています。

 しかし現実はどうでしょう…。

前回も書きましたが検察のアタマの中には、自分たちのメンツを守ることしかないとしか思えません。“一度起訴して有罪にしたものは絶対に無罪にさせない” という、狂気にも似た執念すら感じさせます。

 守大助さんの北陵クリニック事件も、再審開始決定が出たら必ず検察は抗告してくるでしょう。もはや彼等に自浄作用は期待できないのかもしれません。私たち市民の手で、検察を変えましょう!!

 今回のブログは、昨年11月9日に開催された「くり返すな冤罪!市民集会」の、鴨志田祐美弁護士(大崎事件弁護団・事務局長)の講演「再審開始決定に対する検察の不服申立の禁止」を参考に書きました。鴨志田さん、明快なご講演をありがとうございました! 写真が暗くてスミマセン…。

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【28】冤罪「松橋事件」やはり検察は特別抗告(怒)

■検察は“司法マフィア”か?

前回紹介した「松橋事件」。12月4日、やはり検察は特別抗告しました!!!!(怒)

これにより宮田浩喜(こうき)さんの再審を開始するか、舞台を最高裁判所に移して、三たび協議が行われることになります。今はとにかく、最高裁が検察の抗告を速やかに退けて、再審が実現することを願うばかりです。

 特別抗告の前日に配信された、毎日新聞の記事を紹介します。

特別抗告ができるのは、高裁決定が憲法判例に違反している場合に限られる。福岡高検は、再審請求審で弁護団が提出した凶器と傷の不一致を指摘した鑑定書などが「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と言えず、こうした新証拠を発見した時に再審開始を認めてきたこれまでの判例に違反するとの意見を最高検に伝えたとみられる。

この記事からわかるのは今回の特別抗告には最高検察庁、つまり検察のトップがゴーサインを出したということ。宮田さんの無実を裏付ける証拠を隠しておいて、一体どういうつもりで特別抗告をするのか…(怒) 抗告の理由も、言いがかりに等しいものでしかありません。

 実はこういうことは、決して珍しくありません。たとえば「袴田事件」。

2014年3月、袴田巖さんが約半世紀ぶりに自由の身になりました。静岡地方裁判所警察のデッチ上げ捜査を、“堪えがたいほど正義に反する” と断罪した上で、再審開始を決定しての釈放でした。

“袴田さん良かった!一件落着” とお思いの方も、多いかもしれません。実は…そうじゃないんです。袴田さんは、未だに “死刑囚” のままなんです。何故なら、検察が再審開始に即時抗告したから。

これを受け東京高等裁判所で協議が行われており、今年度中に再審開始の可否が出される見通しです。そんなことはないと願いたいのですが、万が一、再審開始決定が取り消されたら袴田さんは再び拘置所に収監され、いつ死刑が執行されてもおかしくない状況に…。

 くり返しますが、裁判所が “堪えがたいほど正義に反する” と断罪したほど(なかなか裁判所はここまで踏み込んだ表現はしません)無実が明らかな袴田さんを再び死刑台に送ろうとする…。もはや狂気の沙汰としか、言いようがありません。

 検察にとっては、一度有罪にした人が無罪になることの方が、“堪えがたいほど正義に反する” のでしょう。公益の代表者という任務を放棄し、自分たちのメンツを守ることに権力を行使する検察は、日本の司法に救う組織犯罪集団。“司法マフィア” とでも呼ぶべきです。

 他にも「名張毒ぶどう酒事件」など(この事件についても、改めて書きたいと思います)、検察のヨコヤリによって再審が阻まれた事例は、少なくありません。

次回は「大崎事件」を例に、検察の抗告が何故ダメなのか、法律的な視点も交えながら明らかにしていきます。

 

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 最高検察庁のホームページ(スクリーンショット)。ぜひアクセスして、検事総長の挨拶を読んでください。一体どのツラを下げて言っているのか…とツッコミたくなること間違いナシです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【27】冤罪「松橋事件」どうする検察!? 12月4日に注目!

■今週の嬉しいニュース

2017年11月29日、『松橋(まつばせ)事件』の即時抗告審で、福岡高等裁判所が再審開始を認めました。2016年6月の熊本地方裁判所に続いて、再審をやるべし!と判断したのです。

“マツバセ?”

“ソクジコウコクシン?”

“チホウサイバンショに続いて…?”

聞き慣れない語句を並べてしまいましたが、順を追って説明していきます。この事件は典型的な冤罪であり、守大助さんの北陵クリニック事件に相通ずる部分もたくさんありますので、いつもより長めですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 ■そもそも「松橋事件」とは?

1985(昭和60)年1月8日、熊本県松橋町(現在の宇城市)の民家で、住人男性(当時59歳)が殺されているのが見付かりました。首など10ヵ所以上を刺されての失血死でした。

それから約10日後、近所で電気店を営む宮田浩喜(こうき)さんが逮捕されます。宮田さんは亡くなった男性の将棋仲間。2人は事件の数日前、お酒に酔った勢いでケンカをしていました。

 これで宮田さんがアヤしいと睨んだ警察は、“オマエが腹いせに殺したんだろう!” と厳しく追及しました。腰の持病があり、キツい取調べに耐えられなかった宮田さんは、“自分の家から持ち出した小刀で刺した”と、犯行を認めてしまいます。

裁判では自白を撤回して無実を訴えましたが、“一度は自白した” という理由で 懲役13年の刑が確定。1990年から99年(仮出所)まで岡山刑務所に収監されます。

2012年3月、熊本地方裁判所に再審請求。2016年6月 、同裁判所は、“自白と客観的な証拠に矛盾がある”として再審開始を決定。しかし、これを不服とした検察が即時抗告しました(これが大きなモンダイ!後ほど書きます)

検察の即時抗告を受けて本当に再審を認めるべきか、舞台を福岡高等裁判所に移して再度の協議へ。そして今回も裁判所福岡高裁は、再審開始を認めるという判断を下したのでした。

 ■長男はどれほど無念だったことか…

現在宮田さんは84歳。脳梗塞認知症を患い、施設で暮らしています。そんな宮田さんを支え、ともに闘ってきた長男の貴浩(たかひろ)さんは昨年の熊本地方裁判所の再審開始決定を受け、新聞の取材にこうコメントしています。

捜査に当たった警察、検察の関係者も、父と同じ期間を刑務所で過ごしてほしい。そうでなければ冤罪はなくならない(2016年7月1日/毎日新聞

その貴浩さんは今年9月、病気のため61歳で亡くなりました。今回の福岡高等裁判所の決定を聞くことなく、高齢の父親の再審の行方を気にかけたままの他界。どれほど無念だったことでしょう。

■10ヵ所以上刺した凶器から血液反応ナシ!?

貴浩さんが憤った “警察、検察の捜査” とは、どのようなものだったのでしょうか?

宮田さんを犯人とする根拠は、警察に強要された自白以外にありません。宮田さんは “10ヵ所以上刺した” と自白させられますが、こんなに刺せば返り血を浴びたり、何らかの痕跡が残るはず。しかしそういったモノは一切出ていません。

凶器とされる小刀についても、警察の鑑識がいくら調べても血液反応が出ませんでした。エッ…そんなバカな?????普通ならそう思うことでしょう。宮田さんを責め立てて自白させた捜査員も、同じように疑問を持ったハズです。

しかしここで “宮田さんは犯人じゃない可能性がある。もう一度、捜査を仕切り直そう”とならないのが、警察の困ったところ。この事実がわかると、小刀に血が付かないよう、柄の部分に布を巻いて刺した。犯行の後、刃の部分は磨いだ。布切れは自宅の風呂釜で燃やした と、宮田さんの自白が 、より詳細に(?) 変わります。

 一度犯人と決めつけたら、とにかく自白させる。無実の可能性が出てきても、お構いナシ。後から判明した事実に合わせて、都合のいいように犯行のシナリオを改ざんして自白調書をデッチ上げる。このブログでも繰り返し書いてきましたが、そんな警察の捜査方法は、たくさんの冤罪を生み出す温床になっています。

 ■自白で“燃やした”布があった!?

さらに松橋事件では驚くことに、自白では燃やしたことになっていた布切れが、検察に保管されていたのです!! 布は古いシャツを切り取ったもので、切り取られたシャツも一緒に出てきました。布には焦げた跡もなく、血も付いていませんでした。

もし検察がもっと早く裁判に提出していれば、宮田さんの自白は信用に値しないと、無罪判決が出ていたかもしれない、超重大な証拠です!!

この布の存在が、どのように明らかになったのかというと、再審請求を進める宮田さんの弁護団検察庁に通いつめ、大量に開示された証拠物の中から、たまたま発見したのです。

 ここで少し説明を。警察が捜査で集めた証拠は、検察が保管します。そこからどの証拠を裁判に提出するかは、検察次第。再審においてどの証拠を開示するかも同様で、検察の全面的な証拠開示を義務付けた法律も存在しません。

じゃあ、無実の証拠が出てこないことがあるの…?検察の手中にある証拠をチェックする仕組みはいないの…?

そうなんです。これが日本の刑事裁判の現実で、検察の証拠隠しも、多くの冤罪を生み出す温床になっています。

今回も、もし検察が布を開示せず闇に葬り去っていたら…?考えるだけで恐ろしいコトです。

さらに弁護団は、小刀の刃の長さや幅では遺体の刺し傷はできないという新たな鑑定結果も提出。宮田さんの小刀が凶器という前提は完全に崩れ、再審開始決定の後押しとなりました。

 ■検察って何様なんだ?

以上です。どうでしょうか?

ズサンな捜査を行った警察も許せませんが、私はそれ以上の憤りを、検察に感じます。宮田さんの無実を示す布を隠し持っていながら、再審開始決定に平然と抗告を行う…。一体、どんな神経をしているのでしょうか?

今回、福岡高等裁判所が出した再審開始決定が不服な場合、検察は最高裁判所に抗告(特別抗告と言います)する権利も持っています。期限の12月4日までに抗告がない場合は再審開始となりますが、もし抗告されたら三たびの協議へ。

高齢で体調を崩した宮田さんに残されている時間が、決して多くない中で、冤罪を晴らす機会が、また遠のいてしまいます。

まずは12月4日、検察が抗告をするか断念するか、厳しくチェックしてください。

 そもそも裁判所が出した再審開始決定に、検察が言いがかりを付ける権利があるのか?これは日本の刑事司法の重大な欠陥です。次回はこの問題について、書きたいと思います。

 

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福岡高等裁判所の再審開始決定を受け、記者会見を行う宮田さんの弁護団

背後の写真が宮田さん。写真は「日本国民救援会」HPより。

 

 

 

 

【26】マスメディアを味方に!

滝沢秀明が弁護士を演じるドラマが、

2018年2月に東海テレビ・フジテレビ系でスタートするそうです。

タイトルは『家族の旅路〜家族を殺された男と殺した男〜』

注目はその内容。YAHOOニュースから抜粋して紹介します。

 

30年前に起きた一家三人惨殺事件。犯人とされた死刑囚のもとに、

青年弁護士・浅利祐介(滝沢秀明)が現れる。

彼は、ある女性から死刑囚の再審請求を依頼されたのだ。

小林健治による小説『父と子の旅路』をドラマ化する本作。

滝沢さんが演じるのは、両親を惨殺されたことで法律家への道を選んだ弁護士。

実父母と祖父を殺害したとされる男の冤罪を晴らして欲しいという女性に、

弁護士としての使命感から再審に向かい始める

 

メジャーなタレントの主演ドラマで

“再審”と“冤罪”というキーワードが出たのは画期的!!

社会の関心が高まっている証拠かもしれません。

これは冤罪事件の支援に関わる者にとって大きなチャンス。

マスメディアを味方にすることは、とても大切ですから。

 

そして前回報告した、

守大助さんの再審を求める記者会見ですが、

おおむね好意的な報道がされたように思います。

 

NHK仙台放送局

“阿部泰雄弁護士は「被害者の症状は筋弛緩剤によるものではなく、

確定判決はこの部分に向き合っていない」と述べました。

守受刑者の母親の祐子さんは「息子が患者を苦しめるために看護師と

なったのではない。20万人の人たちがおかしいのではないかと思っている。

これからも無実を訴えたい」と話しました。”

 

朝日新聞

“守受刑者は裁判で一貫して無罪を主張。

仙台地裁に再審を請求した12年に署名活動を始めてからの

署名数が累計で20万通に達した。再審請求については、

14年の地裁棄却に対して弁護側が即時抗告し、高裁の判断待ち。

弁護側は、患者から筋弛緩剤が検出されたとする検察側の鑑定に

誤りがあるなどと主張している。”

 

河北新報

弁護団長の阿部泰雄弁護士は

「筋弛緩剤の使用を認定した判決には科学的な疑念がある」と強調。

守受刑者の母祐子さんは

「息子の無実を信じ、再審開始を待ちたい」と語った。

布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さんも駆けつけ、

「捜査側の謝った見立てと思い込みが多くの冤罪事件を生んできた。

全ての証拠を開示し、審理し直すべきだ」と訴えた。”

 

どうでしょうか?

いずれも大助さんサイドの主張をしっかり紹介しています。

ふりかえってみると、

以前の報道は本当にヒドいものでした。

2001年の逮捕直後、

朝日新聞などは警察のデタラメ発表を鵜呑みにし、

“恐怖の点的魔”とセンセーショナルに報じました。

 

そして裁判で無実を訴える大助さんの主張が退けられるごとに、

被害者の一人とされるA子ちゃんの母親の、

“守被告は罪を認めて反省して欲しい”

というコメントを紹介していました。

冤罪を訴える被告人に対して、

被害者サイドの声を出して憎しみを煽る報道は、

本当に許せません!!

絶対にやってはならないことだと思います。

 

今回はA子ちゃんの母親が登場することもなく、

ようやくマトモな報道がされたという印象です。

記者の皆さんにどう関心を持ち続けてもらうか、

「東京の会」はマスメディア対応にも力を入れていきます。

 

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 河北新報」(右)と、「読売新聞」(左)の朝刊。

 

 

 

 

【25】再審開始を求め、記者会見!

守大助さんの再審を求める署名が、

20万筆を達成しました。

(2012年2月の再審請求書提出時からの累計)

これを受け11月21日、

弁護団と全国各地から集まった支援者が、

仙台高等裁判所に要請を行った後、

仙台市内で記者会見を開きました。

(私は参加できなかったため、以下の報告は現地からのリポートを基に作成しました)

 

 最初に阿部泰雄弁護団長が事件の概要、

そもそも事件性のない冤罪であること、

裁判所は再審開始の可否について、

今年度中に結論を出す意向であることなどを報告しました。

 

布川事件」の桜井昌司さんは、

殺人事件としながら、凶器すら法廷に提出されていない。

他の冤罪事件でも検察官が証拠を隠していることが問題。

証拠を開示させ正しい判断を」と訴えました。

 桜井さんは1967年に茨城県で発生した強盗殺人、

 いわゆる「布川事件」の犯人とされ、

 無実を訴えましたが有罪・無期懲役とされ、

 29年間の獄中生活(1996年仮釈放)の後、

 2011年5月に再審無罪を勝ち取りました。

 現在は全国を駆け回り、

 守大助さんをはじめ冤罪と闘っている人々の、

 支援活動に力を注いでいます。

 

大助さんの母・祐子さんは、

「裁判所に入る前、隣の小学校の児童から、

“頑張って”と、声をかけられました。

確たる証拠もないのに犯人にされるのは、

小学生でもおかしいとわかること。

裁判所は正しい判断をして、

一日でも長く息子と暮らさせて欲しい」と、想いを語りました。

 

記者会見にはテレビ・新聞各社も集まり、

関心の高さがうかがえました。

最後に支援者の一人は、

事件発生当時の異常な報道に触れ、

「記者の皆さんは自分の目でよく見て判断して欲しい。

この事件は警察発表を一方的に垂れ流した、

マスコミによって作られたと言っても過言ではない。

冤罪を晴らす正しい報道を行うことが、

マスコミ本来の使命である、人権を守ることになる」 

と、締めくくりました。

 

以上、報告でした。

記者会見の様子はNHK、TBC東北放送

朝日、読売、毎日、河北新報の各新聞で報じられていました。

メディアも動き出しました!!

大助さんの自由獲得に向けて、

「東京の会」も頑張って活動してまいります。

引き続き、応援よろしくお願いいたします!!

 

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布川事件の桜井昌司さん(左端)、守祐子さん(中央)、その右が阿部泰雄弁護団長。

 

 

 

【24】「くり返すな冤罪!市民集会」で守大助さんのご両親が訴えました!

11月9日(木)、文京区民センターで行われた、

「くり返すな冤罪!市民集会」。

袴田事件や大崎事件、

そして守大助さんの北陵クリニック事件…、

いろいろな冤罪事件の再審が重要な局面を迎える中、

この問題を広く世の中に発信しようと、

各事件を支援する10団体が力を合わせて開催しました。

「守大助さん東京の会」も、

その1団体に名を連ねました。

 

一体何人ぐらい来てくれるだろうか…?

という不安をよそに、

会場はみるみる膨れ上がり、

最終的には約190人も集まって一安心。

 

前半は“冤罪と再審”をテーマにした2本の講演。

鴨志田祐美弁護士(大崎事件弁護団事務局長)は、

「再審開始決定に対する検察の不服申し立て」について、

水野智幸教授(法政大学法科大学院教授・元裁判官)は、

「再審と証拠開示」について、

それぞれ約40分語りました。

いずれの講演も、とても興味深いものでした。

またの機会に、ゆっくり紹介します…。

 

後半は冤罪当事者の訴え。

守大助さんのご両親・勝男さんと祐子さんが、

宮城から駆け付けました。

祐子さんの切実な訴えを紹介します。

 

“息子は等級が1段階上がりました。

仕事も食器の洗浄から食材の下処理になり、

ジャガイモやニンジン、タマネギの下ごしらえをしています。

16年ぶりに使う包丁の力加減がわからず、

乱切り、銀杏切りに悪戦苦闘していると、

笑顔で話していました。

本当なら私が包丁を手に取って、直接教えてあげたい…(涙)。

息子は絶対に人を殺めていません。

どうか息子を助けてください。”

※大助さんの等級については、このブログの【22】で紹介しています。

 

そして「東電OL殺人事件」のゴビンダ・マイナリさんも、

ネパールから駆けつけました。

2012年11月に再審無罪を勝ち取り、

妻のラダさんとともに5年ぶりの来日です。

“15年間自由を奪われた後遺症で、

未だに落ち着いて眠ることができない。

私のように冤罪で苦しむ人を、

もう2度と出さないで欲しい”

という切実な訴え、

日本の警察、検察には届いているでしょうか?

(絶対に届いてませんよね!…(怒))

 

盛況のうちに幕を閉じた集会。

この流れを何としても、

各事件の再審無罪獲得という結果につなげたいです。

 

ちょっと反省も。

テレビや新聞も取材に来てくれましたが、

やはりというか…注目はゴビンダさんに集中していました。

翌日の報道をご覧になった方も多いかと思います。

守大助さんについても、

もっと注目を引きつける仕組みづくりが出来なかっただろうか…?

 

2001年1月に守大助さんが逮捕された時、

朝日新聞をはじめとする新聞やテレビは、

大助さんを凶悪犯人と決めつけ、

センセーショナルな報道を繰り広げました。

マスメディアは警察、検察とともに、

冤罪デッチ上げに加担したのです。

ならば今度は正しい報道によって、

大助さんの再審開始を後押しして欲しい!

 

メディアを巻き込んだ運動をどう作り上げるか、

そのために支援者としてやるべきことは…?

引き続き、取り組みを進めていきます。

 

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守祐子さん(手前)と勝男さん。もう訴えをしなくていいように、早くせねば…。

 

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ダンディーな雰囲気のゴビンダ・マイナリさんと、妻のラダさん(左)。

 

 

 

 

 

 

【23】千葉刑務所『千葉矯正展』に行ってきました!

11月13日の日曜日

守大助さんが収監されている千葉刑務所で開催された、

『第20回 千葉矯正展』にはじめて行ってきました。

敷地の一部が一般公開され、

刑務作業製品の展示即売をはじめ、

いろいろなイベントが開催されていました。

 

人数限定の施設見学も行われ、

一般公開されたエリアのさらに奥の、

受刑者が生活するエリアの一部を見学できます。

9時40分に到着した時点で午前の部は〆切。

360人の枠が一杯になっていました。

昼に配布される午後の部(240人)の整理券を取るため、

1時間以上前から並ぶことに。

聞くところによると、矯正展の一番人気だそう。

列の2番手に並んだこともあり、無事整理券をゲット!

 

そして職員さんの説明を受けた後、施設見学へ。

一般開放エリアとを隔てる高い塀の鉄扉(下の写真参照)を入ると、

荷物の一時預かり所。撮影や録音は禁止されており、

ここでカメラや携帯・スマホ、録音機を預けます。

(なのでここから先の写真はありません…ご容赦ください)

240人を20人ぐらいずつの班に分けて、

2列に並んで前後を職員さんに挟まれて見学の始まりです。

 

以下、見られた施設を回った順番に紹介します。

◆金属工場

 自動車の洗車機など、小さな金属部品を製造。

 旋盤機などが整然と並び、いかにも“工場”という雰囲気。

◆浴場

 白いタイル基調で、普通の銭湯のように清潔感ある空間。

 1回40名が入浴でき、入浴時間は15分。

 入口に注意事項が詳細に列挙されており、

 その最初に“交談は厳禁”と赤字で書かれていた。

 他に60名が入浴できる浴場もあるとのこと。

◆書類工場(建物外観のみ見学)

 政府で使う書類、名刺などを作っている。

 へ〜と思った。

◆紙工場

 高齢者や障害を持った受刑者がメインの工場。

 (千葉刑務所の受刑者の平均年齢は53.2歳、高齢化が進んでいる)

◆革工場

 紳士靴や剣道の道具を製造。

 ワックスのような(?)いい香りがした。

 守大助さんも今年上旬まで靴職人として勤務。

 ここで働いているのは刑期10年以上や無期刑の受刑者。

 そのため熟練工が多い。

 (千葉刑務所の受刑者の65%が無期刑)

◆炊事場(建物外観のみ見学)

 アイボリーの外壁の真新しい建物。

 守大助さんは現在ここで、食材の下ごしらえに奮闘。

◆運動場

 周囲を高いコンクリートの壁で囲まれている以外は、

 ごく普通の砂地のグランド。

 毎日30分の運動が行われる。

 年1回の運動会を心待ちにしている受刑者も多い。

 

以上です。見学時間は15分ぐらいでした。

複数の建物がコンクリートの通路で結ばれており、

ちょっと大きな学校の中を歩いているような印象でした。

ただしすべての建物の窓には格子状のフレーム。

(漫画などに出るような大げさなモノではありません)

高い柵の上には有刺鉄線が張られており、

ここが外部と隔離された空間であることを、

思い知らされます。

実際に罪を犯したならまだしも、

無実でありながらここで過ごす心境は…。

収監から9年、一刻も早く大助さんを出さねば!

と決意を新たにした施設見学でした。

 

最後に大助さんが塀の中で詠んだ詩を紹介します。

今日、自分が見た風景、内側からはこんなふうに見えるんです。

 

『窓の外』(2011年2月)

部屋の窓には

鉄格子が付いている

外を見ようと思っても

一番に目が付くのは

鉄格子

青空よりも

曇り空よりも

雨よりも

一番に目が付くのは

鉄格子

早く鉄格子のない

生活がしたい

僕はいつも窓の外を見ている

鉄格子のない外を見ている

今日も明日も…

部屋の窓には

鉄格子が付いている

 

一般開放されたエリアの奥にそびえる壁。右下の鉄扉から施設見学へ。

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