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「冤罪・北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【74】「東京の会」総会・阿部泰雄弁護士のお話②

〈前回から続く〉

■警察のカルテ押収は逮捕から10日後!!

いいですか皆さん、筋弛緩剤が使われたと断定するのに、

何をしなければならないですか?

まずは患者さんのカルテ(診療録)を精査しなければならない。

こんなことは小学生でもわかります。

カルテを精査して、急変の原因が薬剤の副作用でもない、

疾患でもないし、どうみてもわからない…。

最後の最後に、もしかすると人為的なコトが行われたのではないか?

薬物を投与してワルさをした人がいるんじゃないか?

という流れで捜査を進めるのが、アタリマエですよね。

ところが宮城県警は1月6日に守君を逮捕して、

その10日後にやっとカルテを入手した。

にもかかわらず、この時点でもうマスコミに大々的に発表して、

世の中じゅうが筋弛緩剤事件で大騒ぎです。

 

■筋弛緩剤による犯行など、そもそも存在しない

検察もあと10日で起訴を決めなければならない。

私たち弁護団は「やめろ、不起訴裁定書を書け」と申し立てをしたんです。

しかし貸す耳もなく起訴しました。

その間に、亡くなった89歳の女性について2件目の逮捕。

これは主治医の先生も、

「原因は筋弛緩剤ではなく心筋梗塞」とおっしゃっている。

守君も接見したら、

「冗談じゃないですよ。私が心筋梗塞という診断書を渡したんですから」と。

3件目は1歳の女児で、一過性の虚血性能発作。程なくして元気になった。

4件目は45歳の外来の男性で、抗生物質の副作用。

同じく主治医の先生も「筋弛緩剤でない」と。

5件目は5歳の男児で、FESの手術だった。

守君が “やった” とされる5件の急変は、いずれも病気や薬の副作用によるもの。

筋弛緩剤なんて関係ないんです。

 

■“真犯人”は『ミトコンドリア病メラス』だった

ただし発端となった11歳の女児については、具体的な病名がわからなかった。

それでもカルテには “神経症状と考えられる” と、

つまり中枢神経症状ですよ。

公判でも小川龍先生が “原因は不明であるが急性脳症、筋弛緩剤ではない” と。

それが再審請求で、

難病の『ミトコンドリア病メラス』であることが明らかになったんです。

女児が昼間、クリニックを受診するきっかけになったのは腹痛と嘔吐。

これは『ミトコンドリア病メラス』の症状と一致します。

ところが宮城県警は夕方に点滴をした5分後の急変、

“モノが二重に見える” “呂律が回らなくなった”という部分しか見なかった。

だから “原因は点滴だ!” と。

全体の流れを見ないでこんな捜査をしていたら、

往々にして間違えますよね。

思い込みで “やったのは守だ!” という筋書きで突っ走ってしまった。

だからカルテさえ調べなかった。

それがこの事件の真相です。

アホじゃないですか!! 声を大にしてトンデモない捜査だと言いたい!!

 

■一番ワルいのは裁判所です。

検察の主張も “土橋鑑定で筋弛緩剤が出た!” 一本です。

この鑑定もですね、トンでも鑑定です。

質量分析というのは、原子と分子の体重計なんです。

ですから筋弛緩剤の標品(未変化体)を分析して出る数値はm/z279。

これは日本を含む万国共通の認識なんです。

海外のどの文献を見ても、土橋のいうm/z258が出るとは書いてありません。

258と言っているのは、世界中で土橋だけ。

ですから二審の仙台高等裁判所では、

鑑定資料は全量消費したと言っているが、

筋弛緩剤の標品の鑑定できるでしょうと。

それで258が出てくるか、疑問なので再鑑定をやりましょうと。

これは当たり前の要求じゃないですか!

ところが仙台高裁は、再鑑定は不要であると。

“土橋が258を出したと言っているのだから間違いない。

分析装置が違えば、279じゃなくて258がでてもおかしくないんだ” と。

皆さん、こんなのが裁判官をやっているんです。

 

最近、行政官僚が公文書の隠蔽や改ざんをやっているって騒がれているでしょう。

こんなこと、裁判所はもう何十年も前からやっていますよ。

で…最高裁でも “土橋は間違いないんだ” で、

無期懲役の刑が確定(2008年)してしまった。

一番ワルいのは裁判所です。冤罪を完成させるのは裁判官ですから。

〈次回に続く〉

 

阿部康雄弁護士。写真は今年2月、仙台での記者会見時。

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