Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【156】冤罪撲滅という点からも、宇都宮健児さんを都知事にしたかった!!

◆宇都宮さんは『再審法改正をめざす市民の会』の共同代表

東京都知事選、小池百合子さんが366万票(得票率59.7%)を獲得し、再び東京都政のリーダーシップを取ることになりました。

私が応援していた宇都宮健児さん(元・日弁連会長)は2位だったものの、約84万票(得票率13.7%)にとどまりました。

私個人的には、まあ小池さん再選の可能性が高いだろうと思ってはいましたが、まさかここまでの圧勝になるとは…というのが正直な感想です。宇都宮さんがもっと追い上げて接戦になるという期待は、見事に打ち砕かれました。

そんな見通しが甘いんだ!と言われれば、それまでです。

今回の都知事選ではそれほどクローズアップされませんでしたが、宇都宮さんは冤罪をなくす運動にも取り組んでおり『再審法改正をめざす市民の会』の共同代表の1人にもなっています。

(HPはこちら)

再審法改正をめざす市民の会 | rain-net

守大助さんの支援者仲間の1人は、こんなふうに残念がっています。

「もし宇都宮さんが都知事になったら、警視庁と都内警察署の取調室にカメラを設置してもらうとか、やりたかった。再審法改正に向けた国への意見書の都議会可決も」

まったくその通り。日本最大の自治体である東京都のリーダーがこのような取り組みをしたら、相当なインパクトになるでしょう。

しかし今回負けたからと言って、まだまだ終わりじゃありません。宇都宮さんご本人のツイートを紹介します。

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“選挙は一つの社会運動” という視点と “これからも運動は続けていく” という決意、とても大切だと思います。

あくまでも点でなく線として、負けたらオシマイでなく活までやり続けるという姿勢は、冤罪の支援活動でも大いに見習いたいです。具体的に言うと…。

  • 無罪を取れなかったからと言ってヘコたれず、また立ち上がって声を上げる。
  • 無罪を取れたら“良かった!”で終わらせるのでなく、冤罪を生んだ警察・検察・裁判所を正すよう働きかけていく。

強大な司法権力を相手に私たちができることは、とにかく継続することしかありません。

◆宇都宮さんの「布川事件」の声明文、全文紹介します

宇都宮さんは日弁連会長だった2011年、「布川事件」が再審無罪となったことを受けて、声明文を発信しました。

布川事件ひいては日本の冤罪全般の問題点を的確に指摘し、簡潔にまとめた良い声明だと感じたので、全文を紹介します。

本日、水戸地方裁判所土浦支部は、いわゆる「布川事件」について、櫻井昌司氏と杉山卓男氏に対して、再審無罪を言い渡した。

 

当連合会は、1978年(昭和53年)の判決確定直後から、人権擁護委員会内に布川事件委員会を設置し、以来両氏の救済のため最大限の支援を続けてきたところであるが、この日のために長きにわたって無実を訴え続けてきた両氏とこれを支えてきた御家族・支援者の方々、弁護団の活動にあらためて敬意を表するものである。

 

本件強盗殺人現場には激しい格闘があったことや室内が物色されたことが明らかな多くの痕跡があったが、両氏の指紋や毛髪は全く存在せず、他にも両氏が犯人であることを示す物的証拠は皆無であった。それにもかかわらず、代用監獄で偽計・脅迫等によりもたらされた虚偽自白や、誘導され変遷が顕著な目撃証言など、はなはだ危うい供述証拠のみを根拠に有罪が認定された。

 

また、裁判所が警察の取調べの最終段階における自白録音テープに大きく影響を受けて自白の任意性を認めてしまったことは、一部録音録画の危険性を端的に示すものであった。さらに、両氏が無罪であることを示す証拠はずっと隠されたままであり、無罪方向の証拠の多くがようやく開示されたのは、第二次再審請求後のことであった。

 

本日の判決は、これらの問題点を指摘して無罪としたものであり、当然のことではあるが、ようやく正義を実現したことは評価できる。

 

ここに至るまで両氏を29年余もの間獄中に置き、43年余もの間、強盗殺人犯の汚名を着せ、筆舌に尽くしがたい苦しみを負わせてきた警察・検察及び裁判所の誤判に対する責任は重く、深刻に反省すべきである。 当連合会は、検察官に対して、控訴を断念し早期に両氏を強盗殺人犯の汚名から名実ともに解放することを強く求める。そして、今後とも再審支援の活動を一層強化し、えん罪被害者を早期に救済するため、あらゆる努力を惜しまない所存である。

 

また、当連合会は、今後も、虚偽自白を生み出し、不法な取調べの温床となっている代用監獄の廃止、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)、証拠の全面開示の実現など、えん罪を防止するための制度改革を実現するために全力を尽くす決意である。さらに、えん罪事件について、その原因を調査究明し、将来のえん罪防止へ向けて諸制度の運用改善及び立法を政府及び国会に提言する第三者機関の設置を国会・内閣に強く求めるものである。


2011年(平成23年)5月24日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

 この声明が出されたのは9年前。現在も冤罪支援をめぐる状況は厳しいものの『再審法改正をめざす市民の会』が結成されるなど、着実に前進はしていると思います。

とにかく歩みを止めず、進んでいきます。

布川事件の詳細については、こちらに書きました)

【109】「布川事件」国賠勝利に想うこと - Free大助!ノーモア冤罪!

【110】明るく楽しい冤罪支援〜布川事件に学ぶ〜 - Free大助!ノーモア冤罪!

 

『再審法改正をめざす市民の会』発足集会(2019年5月20日)で。後列むかって左から5人目が宇都宮健児さん。

 

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