Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【139】こんな時こそ、いつもと変わらぬ関心を冤罪や司法に持ち続けよう

◆手紙は塀の中と外とつなぐ生命線、励ましのメッセージを送ろう

新型コロナウィルスの影響、皆さんはいかがでしょうか。私は自宅が仕事場なので外出自粛はそれほど関係ありませんが、仕事のスケジュールが延期になったりと、やはり無関係ではいられません。

冤罪の支援活動についても、集会や講演会が相次いで中止・延期になるなど、いろいろな影響が出ています。「守大助さん東京の会」も、行動が制約される中で何ができるか模索している状況です。

大助さんが収監されている千葉刑務所も、当面の間面会ができなくなりました。緊急事態宣言が解除されるまでとのことですが、それがいつになるのか分かりません。

ただし本の差し入れや手紙はこれまで通りOKなので、一安心です。

以前面会に行ったとき、大助さんはアクリル板ごしにこう言っていました。

「皆が面会に来てくれる時間が、本当に楽しみです」

当たり前といえば当たり前に聞こえるかもしれませんが、想像してみてください。

29歳で突然身柄を拘束され、一歩も外に出ることのないまま、気が付いたら間もなく49歳。刑務所内ではSNSもメールもできません。

そんな状況の中、塀の中の大助さんと外の世界をつなぐ、ほぼ唯一の接点が面会や手紙なのです。とくにFace to Faceで会える面会は、かけがえのない時間です。

その面会ができなくなった大助さんは本当に大変と思いますが、こうなった以上は手紙やハガキを出すしかありません。もし少しでも「北陵クリニック事件」に関心を持たれたら、ハガキ1枚でも出してください。

住所はこちらです。

〒264-8585

千葉県千葉市若葉区貝塚町192

守大助 さま

  • 「千葉刑務所」と書かなくても届きます。
  • 官製ハガキ、絵ハガキ、普通の便箋・封筒をお使いください。
  • 立体ハガキ、シールなどで装飾した手紙は、本人に渡らない恐れがあります。あくまでも普通&シンプルが基本です。

何を書いてよいか分からない場合は、自己紹介や事件に関心を持った理由を、簡単に書くだけで構いません。

おそらく冤罪犠牲者にとって一番ツライのは、世の中に忘れられてしまうこと。

“貴方の無実を信じている。再審の実現に向けてともに闘う” というメッセージは、これ以上ない力づけになるでしょう。

ただし、大助さんからの返事は期待しないでください。刑務所の規則で、大助さんが1ヶ月に出せる手紙の数は制限されています。そのため全ての支援者に手紙を出すのは不可能なのです。

 ◆政権が検察を“私物化”する法改正(改悪)が審議入り

新型コロナウィルスに目を奪われがですが、司法をめぐる動きには要注意です。

来週16日には「検察庁法改正案」が、衆議院で審議入りするといいます。改正の目玉は、検察上層部の人事に内閣が介入できるようにすること。これは権力者(政治家)による検察の私物化に他なりません。

コトの発端は、黒川弘務(ひろむ)東京高等検察庁検事長の定年延長問題でした。どんな問題だったのか、簡単におさらいしてみます。

検察庁法」とは、検察という組織をどう運用するかを定めた法律のこと。定年については、以下のように規定しています。

検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。(第二十二条)

黒川氏は今年2月8日で63歳になったので、検察庁法に従えば検察官を辞めるハズでした。しかし安倍政権は閣議決定によって、黒川氏の定年を延長すると勝手に決めてしまったのです。

実際に「東京高等検察庁(東京高検)」のHPを見ると、いまだに黒川氏が検事長に居座っています。

www.kensatsu.go.jp

ここで検察の役職の呼び方について、整理しましょう。

あと、全国に50ある地方検察庁のトップは、検事正といいます。

そして「高等検察庁」の中でも「東京高検」は別格とされ、東京高検の検事長検事総長への出世コースと言われています。

つまり安倍政権は黒川氏を次の検事総長にするため、定年延長という掟破りを行ったのです。その黒川氏は、こんな実績の持ち主です。

検察首脳として安倍首相の意向を踏まえて共謀罪などの実現に奔走し、森友学園問題における財務省の公文書改ざん事件でも、佐川宣寿元国税庁長官ら関係者全員の不起訴処分を主導したとされる。このため、政界では「安倍政権のスキャンダルをもみ消す官邸の番人」などと呼ばれてきた。(東洋経済オンライン 2020年2月8日)

そんな “官邸の番人” …いや、軽蔑の意を込めて “番犬” と言っておきましょう…である 黒川氏が検察組織のトップに君臨したらどうなるか、火を見るよりも明かです。

元経産官僚の古賀茂明氏は「政界捜査に当たる検察官は、他の官僚と違って政治の方を向いて仕事をしてはいけない」としつつ、「政権が検察のトップを決める力を持っていると示した。頑張って捜査をしてもトップにつぶされるとなれば、検察全体に士気の低下をもたらす。政権中枢に迫るような捜査はかなり難しくなるだろう」と懸念する。(中略)

また、「桜を見る会」を巡っては、背任容疑で安倍晋三首相の告発状が東京地検に提出されている。その検察組織のトップ人事に介入しようとするような政権のやり方は許されるのか。(東京新聞 2020年2月4日)

 本当に「検察庁法改正」が通ってしまったら、権力者(政治家)はやりたい放題になるでしょう。
◆私たち市民こそ、検察に“介入”する方法を考えないと本当にヤバい

このような状況に対して “検察の正義が損なわれる” とか “検察への信頼が失われる” と危惧する声も聞かれます。

しかしこうした声に対しては “何寝ぼけたコト言ってるんだ!!”と、声を大にして言いたいです。

たとえば日本弁護士連合会(日弁連)は、こんな声明を出しています。

www.nichibenren.or.jp

全文は上記リンクを読んでいただくとして、一番怒りを覚えたのが赤字にした以下の部分です。

この改正案によれば、内閣及び法務大臣の裁量によって検察官の人事に介入をすることが可能となり、検察に対する国民の信頼を失い、さらには、準司法官として職務と責任の特殊性を有する検察官の政治的中立性や独立性が脅かされる危険があまりにも大きく、憲法の基本原理である権力分立に反する。

このブログでも再三に渡って指摘してきた通り、これまで検察は多くの冤罪を作り上げてきました。デタラメな証拠で起訴し、時には証拠のねつ造も行い、裁判所が出した無罪判決や再審開始決定を妨害し、無実の人々を苦しめてきました。

これも繰り返し書いていることですが、たとえば「袴田事件」への対応。

無実が明らかな袴田巖さんを拘置所に再収監すべき=死刑台に連れ戻せ、と公然と言い放つのが、検察という組織なのです。

袴田事件」を含む数多くの冤罪事件を支援してきた日弁連“検察に対する国民の信頼” なんて、何を言っているのでしょうか。

ちなみに「日本国民救援会」も同様の抗議声明を出していますが、さすがに“信頼”とは書いていません。

(こちらのトップページより、2020年3月21日の声明をPDFファイルでご覧いただけます)

kyuenkai.org

国民に本当に信頼される検察にするには、現在の異常な体質にメスを入れ、根本的に在り方を変えるしかありません。冤罪を作り上げた検察官に、ペナルティを課すといったルールづくりも必要です。

これに比べればトップが黒川になるか誰になるかなんて、どうでもいい小さなハナシです。ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが…。

 検察を変えるには、私たち1人ひとりが検察の動向に目を光らせるしかありません。市民こそ検察に積極的に “介入” すべきです。そのために具体的に何ができるか、すぐに具体的なアイデアは思い浮かびませんが、引き続き考えたいと思います。

日比谷公園に面して立つ「中央合同庁舎6号館」。ここに最高検察庁、東京高検、東京地検、検察を管轄する法務省などが入る。近代的な建物の外観とは真逆の“野蛮人の巣窟”と言わせてもらおう。

f:id:daisuke0428:20200410182319j:plain