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「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【138】「湖東記念病院」無罪を受けて「冤罪犠牲者の会」が声明を発表

◆やはり検察、警察に自浄作用はなかった

本日(4月2日)、「湖東記念病院事件」西山美香さんの無罪が “正式に” 確定しました。

“えっ、3月31日の無罪判決で決まったんじゃなかったの?” と思うかもしれませんが、実はまだ検察が言いがかりを付けてくる恐れがあったのです。しかし本日、大津地検は上訴(控訴)権を放棄。これにより今度こそ、本当に無罪になりました。

報道によると、大津地検のコメントは以下のようなものだたっといいます。

「判決の内容を精査した結果、控訴しないと判断した」

一言で片付けるだけで、何故 “控訴しない判断” に至ったのかの説明も、西山美香さんに対する謝罪の言葉もナシです。

また、滋賀県三日月大造みかづきたいぞう)知事は定例会見で、このように語ったといいます。

殺人罪で服役した湖東記念病院の元看護助手西山美香さん(40)の再審無罪判決を受け、滋賀県三日月大造知事は1日の定例会見で「刑事司法制度の在り方に大きな問題提起がされている」と述べた一方、県警に対し、西山さんへの謝罪や再調査を求める考えはないとした。
西山さんに関しては「長期にわたり、受けなくてもいい刑罰を受けたことを大変遺憾に思う」と語った。大津地裁が指摘した捜査の不当性について報道陣から見解を問われると、「しっかりと受け止めて今後に生かしていく」と述べるにとどめた。(京都新聞

この知事さん、警察が怖いんでしょうか? 謝罪や再調査こそ、すべてに最優先させるべきじゃないでしょうか? 

◆山本誠警察官の責任は重大です〜「冤罪犠牲者の会」の声明、全文紹介

無罪判決を受けて「冤罪犠牲者の会」も、声明を発表しました。とても素晴らしい内容なので、全文を紹介します。

とくに重要と思うポイントは、赤字にしました。

西山美香さんの再審無罪に関する緊急声明

昨日、津地方裁判所は湖東記念病院事件と呼ばれる冤罪事件で犯人とされた西山美香さんに再審無罪判決を出しました。私たち冤罪犠牲者の会は、当然の判決であり、遅きに失した判決であるとはいえ、また1人の冤罪仲間が救われたことを、心から喜びたいと思います。

西山美香さん、おめでとうございます。ご家族の皆さん、おめでとうございます。この無罪判決を得るまで、大変なご苦労をされた弁護団の先生方、本当にお疲れさまでした。有り難うございました。また、この闘いを支えてくれた国民救援会はじめ、多くの支援者の皆さんにも感謝申し上げます。有り難うございました。

昨日の判決を読みまして、私たちは司法のあり方として警察や検察、裁判所や弁護士も含めての問題だと指摘した上、自省を込めて冤罪問題に取り組むことを呼びかけた裁判所の姿勢を歓迎します。

この「湖東記念病院事件」で西山さんの人間的弱さを利用して自白を生み出し、作り上げた山本誠警察官の責任は重大です。そして、事件ではなくて事故であるとの医師の鑑定を隠して事件に仕上げた滋賀県警にも責任がありますのに、滋賀県警は「捜査は適切であった」と開き直ります

供述弱者である西山さんの「自白」と、その変転にある嘘を見抜けずに起訴して公判維持をした検察は、事故の可能性を言う医師の鑑定が明らかになった再審裁判でも、無罪論告もせず、詫びもせず、今回の無罪判決にも「承服しがたい点がある」と反発する始末です。

私たち冤罪犠牲者の会は、冤罪を作り上げた当事者である警察官や検察官が、何も責任を取らずに許されている日本司法のあり方こそ、日本に冤罪を作り続ける元凶であると考えています。だからこそ再審で無罪判決が出されても、それに反発したり、認めないような不遜な態度を示すのです。

医師が患者を見誤り、手足を、切り落として罪に問われないでしょうか。新聞記者が事実をねじ曲げた記事を書いて責任を問われないのでしょうか。法曹三者の弁護士でも弁護を誤れば弁護過誤の責任を追及されますのに、なぜ警察官と検察官、それに裁判官は、自らの誤りに詫びもせず、責任も取らずに存在できるのでしょうか。

何人の冤罪者が無罪判決を得たならば司法は変わるのでしょうか。変えて頂けるのでしょうか。警察の行動を監視し、検察の活動を監督する立場にもある国会と地方議会は、この事態を改革するために行動してください。冤罪を生み出す日本司法を変えるために、証拠開示や検察の控訴権問題など、冤罪を作り出す法律的欠陥を是正する行動をしてください。

私たち冤罪犠牲者の会は、今後も西山美香さんの闘いに寄り添い、責任を取れ、責任を取らせる法律を作れの声を上げて捜査や司法に関わる人の責任を問う法律制定を目指すことを誓って声明とします。

2020年 4月1日

冤罪犠牲者共同代表
青木恵子、藤山忠、矢田部孝司

共同代表の青木恵子さんは「東住吉事件」、藤山忠さんは「志布志事件」、谷田部孝司さんは「西武新宿線痴漢冤罪事件」の当事者。

警察や検察の卑劣さを身をもって体験した皆さんが立ち上げた会ならではの、リアルな憤りが込められた素晴らしい声明だと思います。

“山本誠警察官の責任は重大” と、実名で指摘もしています。“Y刑事”などと匿名にするケースも多い中、画期的だと思います。

警察官や検察官というのは公権力を行使する立場にあるわけですから、匿名にする必要はないと思います。たとえば安倍首相のことを “A首相” とか、菅官房長官のことを “S官房長官” なんて言ったりしませんよね。

 

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