Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【137】「湖東記念病院事件」無罪!!but…冤罪を作り上げた連中をこのまま逃がすな!!

◆無罪を言い渡した裁判長は「今市事件」の裁判官だった!!

本日(3月31日)、大津地裁で「湖東記念病院事件」の再審・無罪判決が言い渡されました。

西山美香さん、本当にお疲れ様でした!!

23歳で “ありもしない殺人事件の犯人” とされ、12年間の刑務所暮らしを余儀なくされ、ひたすら無実を訴え続けて現在は40歳。20代〜30代のほぼ全てを、冤罪との闘いに費やさざるを得なかったことを想うと、本当に言葉が出ません。

この事件、本ブログでも何度か紹介してきました。

(こちらのリンクをお読みください)

【30】クリスマスの日、守大助さんに面会してきました! - Free大助!ノーモア冤罪!

【68】最高裁要請、行ってきました!! - Free大助!ノーモア冤罪!

【104】やったぞ!!湖東記念病院事件、再審開始 - Free大助!ノーモア冤罪!

【116】「湖東記念病院事件」検察“有罪立証断念”の狙いとは? - Free大助!ノーモア冤罪!

【118】「湖東記念病院事件」滋賀県警は無実をわかってて逮捕か(怒) - Free大助!ノーモア冤罪!

これまでの経過や冤罪のポイントについては上記リンクに書いた通りですが、この事件の特徴を一言で言うと “つくられた冤罪事件” であるということ。つまり…、

  •  患者さんの病死を“殺人”と思い込んだ警察(滋賀県警)が事件をデッチ上げた。
  • その過程で “鬼畜・外道” としか呼びようのない捜査・取調べが行われた。

滋賀県警の所行についても、上記リンクに書いた通りです。本日の判決はこれらの問題にもシッカリ向き合い、二度と冤罪を作らないよう自戒を込めた内容だったといいます。

そもそも事件性を認める証拠はなく、患者は不整脈や痰を詰まらせ、死亡した可能性があると指摘。西山さんが犯行を認めた捜査段階の自白も警察官による誘導がうかがえるとして「無罪」を言い渡した。(読売テレビ

裁判長は無罪判決を読み上げた後、こう述べたといいます。

「この事件は司法制度や裁判に大きな問題提起をした。刑事事件に関わる全ての人たちは重く受け止めなければならない」

(西山さんに向かって)「もう嘘は必要ありません。等身大の姿で自分を大事にして生きてください」(日本経済新聞

 このすばらしい裁判長の名前は、大西直樹さん。

調べてみると、今年1月に大津地裁に来る前は東京高裁にいました。そこでは何と…「今市事件」の無期懲役を下した裁判官の1人に名を連ねていました。

【132】「今市事件」②有罪ありきの八百長裁判 - Free大助!ノーモア冤罪!

藤井敏明(裁判長)、田尻克巳(裁判官)、大西直樹(裁判官)

本当に同一人物なのだろうか…と、愕然とするしかありません。ある事件で良い判決を出しても、他の事件では真逆の判決を出すのは、実はよくあること。裁判官というのは、本当に油断ならない人種です。

滋賀県警の責任追及ナシに、幕を下ろすことはできない

今日の無罪は本当に嬉しいことです。しかし “良かったね!” で終わらせるワケには行きません。

無罪の獲得はゴールでなくスタート。次のステップとして大西裁判長の「この事件は司法制度や裁判に大きな問題提起をした。刑事事件に関わる全ての人たちは重く受け止めなければならない」という言葉を具体化していかなければなりません。

とくにやるべきは滋賀県警の責任を追求し、冤罪を生んだ原因を明らかにすること。まずは2つのことを、県警本部に対して要請すべきです。

  • 冤罪を作ったことを真摯に反省し、再発防止策を講じること。
  • 山本誠刑事(当時)に然るべき処分を下すこと。

“山本誠って誰?” という方は、上の過去記事のリンクをお読みください。現在は、琵琶湖のほとりにある長浜署の刑事課長に出世しているようです。

ちなみに当の滋賀県警は、こんなコメントを出しています。

津地裁が無罪判決を言い渡したことを受け、滋賀県警の担当者は報道各社の取材に「真(しん)摯(し)に受け止め、今後の捜査に生かしてまいりたい」と述べた。
担当者は判決について「評価する立場にはない」としつつ、「問題点のある違法な捜査だったとは思えない」との見解を示した。
報道陣からは「今でも西山さんを犯人だと思っているのか」「冤(えん)罪(ざい)ではないという認識か」などの質問も相次いだが、「コメントは差し控える」とした。(産経新聞

“真摯に受け止める”と言う一方で、“捜査に問題はなかった” と平然と言い放つ傲慢さ(怒)!! やはり警察に自浄作用を期待するのは無理なようです。

責任追及の方法として考えられるのが、国家賠償請求を起こして県(警察)や国(検察)を訴えること。「布川事件」の桜井昌司さんや「東住吉事件」で再審無罪を勝ち取った青木恵子さんは、国賠を闘っています。

しかし国賠を起こすとなると、また長い時間と多大な労力を裁判に費やさなければなりません。西山美香さんの負担を考えると、安易に“国賠をやれ” とは言えません。

こんな時こそ、事件を支援してきた「日本国民救援会」や「再審・えん罪事件全国連絡会」の出番なハズ。また昨年3月に結成された「冤罪犠牲者の会」は、実現目標の1つをこう明記しています。

  • 捜査関係者・裁判関係者(証拠のねつ造・改ざんに関与した者)の責任追及

(会のHP)

https://enzai.org/

これらの人権団体が担うべき役割は、大きいでしょう。

マスメディアにも頑張って欲しいと思います。地元紙として西山美香さんに寄り添う記事を書いてきた「京都新聞」や「中日新聞」 、そして今回記事を引用させてもらった「産経新聞」。再審無罪で終わらせるのでなく、取材を続けて冤罪を生んだ闇に迫って欲しいです。

そして「北陵クリニック事件」の支援者である私たちも、今回の再審無罪には勇気づけられました。「守大助さん東京の会」は、冤罪のない社会の実現に向けて何ができるかを引き続き考え、行動していきます。

無罪判決を受け、裁判所前でホッと一安心の表情を見せる西山美香さん(中央)。周囲では「日本国民救援会」の黄色いノボリがはためいている。(写真は日本国民救援会HPより)

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