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「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【162】滋賀県警はこれからも冤罪を量産し続けます〜関西テレビのレポートから〜

関西テレビが県警のその後を追跡取材

このブログでも何回か紹介してきた「湖東記念病院事件」。今年4月に再審無罪を勝ち取った西山美佳さんが、約6000万円の刑事補償を請求しました。

元看護助手が刑事補償請求 患者死亡で再審無罪 滋賀(時事通信) - Yahoo!ニュース

20代〜30代のほぼ全てという貴重な時間を国家権力に奪われたことに対する補償が、6000万円……。この金額が十分なのか安すぎかは、分かりません。しかし冤罪を作り上げた滋賀県警や検察、裁判所が何のペナルティを受けないのはどうかと思います。彼らの財産を没収して、補償金に充てても良いぐらいです。

とくに冤罪を生み出した原因の究明も、捜査資料の公表も拒み続ける滋賀県警の態度は問題です。このことについて、関西テレビが追跡取材を行いました。

(こちらです)

news.yahoo.co.jp

全文は上記リンクをご覧いただくとして、とくに重要と感じた部分を抜粋してみます。(赤字部分は私が付けました)

関西テレビは今回の“事件”について、どういう調査・検証を行ったのか、滋賀県警に情報公開請求を行った。 その結果、開示されたのが…

警察庁の報告について(湖東記念病院再審)(決済日2019年8月1日のもの) ●2019年8月2日付報告書

●2019年8月30日付報告書

警察庁刑事企画課への報告について(決済日2019年9月19日のもの)

●事実対比表(再審第一回公判に関係するもの)

●事実対比表・判決後(判決後に関係するもの)

という表題が付いた6つの公文書である。

大きく分けると、 警察庁への報告書が2つ 刑事企画課長の「個人メモ」とされる2つの報告書 やり直しの裁判と当時の裁判での事実認定に関する対比表が2つ 合計41ページである。

 

さらに、滋賀県の情報公開条例を根拠に、特定の個人を識別する情報だけではなく、関係者の供述内容、当時の捜査に関する判断などについても、「公にすることで将来の捜査に支障が生じ、公共の安全の秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」などとして、ほぼ全てが「黒塗り」であった。

開示された41ページの大部分が「黒塗り」だったことを取材スタッフが県警に問いただすと、捜査の検証は行わないと開き直ったといいます。

そして滋賀県警の本部長が、こんな見解を述べたことも報じています。

2020年7月3日の滋賀県議会で、県警トップの滝澤依子本部長に今回の再審無罪に関して議員から質問があった。

判決についての評価は差し控えますが、県警察においてはご指摘いただいたような、不適切な取調べ、あるいは恣意的な証拠開示、予断に基づいた死因鑑定といった事実は、確認されておりません

要するに滋賀県警は、捜査に問題はなかったと開き直っているわけです。これは“今後も引き続き冤罪をつくる”と宣言したに等しいことだと思います。これが警察という組織の一面だということを、私たちは認識しておいた方が良さそうです。

さらに刑事司法の専門家の、こんなコメントも紹介しています。

 

滋賀県警の一連の対応について、冤罪問題の研究をしている甲南大学の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は、「取り調べや死因の問題など、どの面をとっても検証をしないというのは、あまりにも乱暴。ましてや『捜査に問題がない』というのも、三者による検証委員会などを立ち上げて調べた結果ならわかるが、自分たちで調べた結果というのは一般社会では信じられないこと。“説明責任”という考え方からは、かけ離れている」と強く非難する。

また、滋賀県警が公開した文書の大半が黒塗りだったことについても、「公文書は税金で作成しているものであって、公共財。“捜査の秘密”を守っているなら、必要最小限だけ隠せばいいと思うが、ほぼ全て隠すことはありえない。できる限りのことを明らかにするのではなく、『できる限り明らかにしない』のが今の滋賀県警の姿勢。それが冤罪被害者からどう見えるのか、社会の人が納得するのかを考えてほしい」とも指摘している。

 笹倉教授の姿は再審や冤罪事件の集会で見かける機会も多く「日本版イノセンス・プロジェクト」の推進者の1人でもあります。

イノセンス・プロジェクトの活動については、こちらに書きました)

daisuke0428.hatenablog.com

◆しつこいようですが、あのハナシについて再度指摘

最後にもう一言。この関西テレビの記事からは、ある重要な事実が欠落しています。それは下記の記述です。

西山さんの取調べは、滋賀県警の男性警察官が担当していた。この警察官は身の上話などを熱心に聞き、コンプレックスを抱えていた西山さんを励ましてくれたといい、西山さんは次第に好意を寄せるようになる。そして、警察官の関心を惹くために、「チューブを故意に外した」と“ウソの自白”をしてしまうのである。

この男性警察官=山本誠刑事は、最初から優しい態度で西山さんに接していたワケではありません。最初は亡くなった患者さんの写真を見せつけて「何も思わないのか」と恫喝したり、「なめたらあかんぞ」とイスを蹴飛ばしたり、暴力的な取調べを行ったといいます(『冤罪白書2019』西山さんの手記より)。

そして意に沿った自白を始めると、この記事に書かれているように急に優しくなったのです。山本刑事は西山さんが軽度の知的障害がある供述弱者であることを利用し、アメとムチを使い分けて自白を強要し、冤罪をデッチ上げたのです。

 インターネット上などでは、いまだに“刑事に惚れた西山さんが悪い”などと中傷する声が見られます。これが誤解であることは、このブログでも繰り返し書いてきました。しつこいようですが、再度指摘しておきます。

また、記事は滋賀県警がつくりあげたもうひとつの冤罪「日野町事件」についても触れています。こちらについては、改めて掘り下げて紹介したいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

再審無罪確定以降の「湖東記念病院事件」について書いた過去ブログも、こちらにまとめました。

daisuke0428.hatenablog.com

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