Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【144】ウーマン村本が冤罪を語った!

◆“シークレットゲスト”は「ウーマンラッシュアワー村本大輔

『GW特別企画オンライントーク4days#おうちで学ぶ刑事司法 #「それボクを」語ろう』、ご覧になりましたか?

これは『大崎事件 第4次再審請求 #裁判で真実を』クラウドファンディングの応援企画。

クラウドファンディングを立ち上げた映画監督・周防正行さんの『それでもボクはやってない』を題材に、冤罪や日本の刑事司法について4日間・4人のゲストを招いて語り合ったライブトークです。

司会進行は4日とも亀石倫子弁護士(大崎事件弁護団)と、趙誠峰弁護士がつとめました。

大崎事件第4次再審請求 - YouTube

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  • 5月1日 ゲスト:藤井浩人さん(前・美濃加茂市市長) 
  • 5月2日 ゲスト:疋田万里さん(SPICY代表) 
  • 5月3日 ゲスト:シークレット
  • 5月4日 ゲスト:周防正行さん

 “シークレット”となっていた5月3日のゲストは、「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんでした。時事ネタや社会問題にネタに果敢に挑むお笑い芸人として、すっかりおなじみです。

そんな村本さんが冤罪と日本の刑事司法について何を話したのか? 期待した以上に内容の濃いトークでした。

他の3名はアーカイブで視聴できますが、村本さんだけはアーカイブに残さないとのこと。というわけで忘れないうちに印象に残った部分と、私の感想を書いておきます。

ライブ配信を見ながら取ったメモをもとに、印象に残ったやりとりを抜粋して紹介します。

※あくまでも“こんな内容だった”というレベルでまとめた文章です。

※一言一句を正確に再現した「全文書き起こし」でないこと、ご了承ください。

※したがって文責はすべて私にあります。

 ◆“何の悪意もなくつかれたウソ”が冤罪を生む

村本 

自分が知人の女性に意地悪をしたときのこと。その女性は友人に、意地悪された内容を倍に盛って話していた。自分もお笑い芸人として、ヒドい目に遭ったときは笑いを誘うために、わざと事実より大げさに盛って話す。

実は犯罪捜査の「被害者供述」でも、同じことが行われているのではないか?

 

亀石or 趙(どちらの発言か失念) 

まったく同じモノを見ていても、人によって受け止め方が違う。まして供述証言というのは、あやふやで不確かな記憶を基に作られるもの。

被害者は警察・検察の事情聴取で、繰り返し同じ話をする。そうしている間に、記憶が作り替えられてしまう。そして、そうやって作られた「被害者供述」が、裁判に“証拠”として提出される。

『それボク』で痴漢被害を訴えた女子高生だって、悪意を持って主人公の男性を陥れようとしたワケではない。こうした“何の悪意もなくつかれたウソ”が、冤罪を生むことも多い。

まったくその通りです。 私が支援に関わっている「北陵クリニック事件」では“盛る”どころか、まったくのゼロからウソの調書が作られました。

【126】森法務大臣にも読んで欲しい、元同僚Sさんの証言(前編) - Free大助!ノーモア冤罪!

【127】日本の司法は“八百長司法”、元同僚Sさんの証言(後編) - Free大助!ノーモア冤罪!

検察は有罪にするために、平気で事実をねじ曲げる

村本

『それボク』では、警察が男性の家をガサ入れして、アダルトもののDVDを押収した。そのDVDはたくさんある中で、たった1本のアダルトものだった。これは本来なら“痴漢が行われたか”とは全く関係ないもの。

しかし映画では、これが犯人性を示す“証拠”として裁判に提出された。

 

検察官だって本音では、DVDが関係ないことは分かっている。しかし裁判における検察官の役割は“被告人を有罪にすること”。

実際の法廷でも、有罪にするために“ここまで手段を選ばないのか?”と、驚かされることがある。

『それボク』のDVDのような、印象操作は行っていけないルールになっている。しかし現実の裁判では、そのルールが破られてしまっている。

 

 これもその通り!と同意するしかありません。「今市事件」でも、こんな印象操作がなされました。

【133】「今市事件」③ それでも“勝又拓哉が怪しい” という誤解に答える - Free大助!ノーモア冤罪!

検察官の使命については、韓国にすごく考えさせられる事例があります。

【141】いま、韓国がスゴい!!日本は“韓流司法改革”を見習おう - Free大助!ノーモア冤罪!

 ◆あえて“袋叩きされる側”に立つ

続いて村本さんは亀石さんに、なぜ弁護士になったのかを質問。

きっかけは司法修習生時代に「和歌山カレー事件」の林真須美さんの弁護士と出会ったこと。世の中から袋だたきにされている側に立って、冷静に真実を探す刑事弁護人の仕事に惹かれたということでした。

村本さんも権力批判をネタにしたトークで社会から叩かれるという話を受けて、趙さんがこんなコメントをつなぎました。

叩く相手を見つけて徹底的に叩く。

冤罪の場合、その背景には“警察・検察=正しい”という社会の思い込みがあり、逮捕された時点で“悪いヤツ=叩け”という認識になってしまう。

しかしこうした警察・検察に対する信頼は根拠に基づいたものでなく、何となくそう思っているだけ。実情はまったく違って“信頼”などできる組織ではないということを、もっと伝えるべき。

“おカミは正しい”という風潮、確かに強いですね。

「北陵クリニック事件」の場合は、メディアの影響も大きかったと思います。

とくにクオリティペーパー(この呼び方、最近は耳にしませんが)と呼ばれる「朝日新聞」が、警察が垂れ流すデタラメなリークを連日報じたことが“守大助=犯人”という世論を作ってしまったのは間違いありません。

大助さんの支援者からも“新聞やテレビが言っているから、最初は大助さんが犯人だと思ってしまった”という声をかなり聞きます。

◆一度知ってもらえれば、支援の環は必ず広がる

村本

「大崎事件」も「湖東記念病院事件」もそうだが、冤罪というのは“私事(わたくしごと)”になり得るのに、なかなか関心が社会に広がらない。世論が声を上げないのはなぜなのか?

 

亀石

メディアが報じないことが大きいのではないか。

「大崎事件」は地元紙は報じているが、東京のメディアはなかなか取り上げない。まずは地道に知ってもらう努力をしたい。

「大崎事件」のクラウドファンディングは、すでに800万円を超える額が集まった。一度事件のことを知れば“こんなのおかしい!”と支援してくれる人が、こんな沢山いるということではないか。

だからなおさら、世の中に広く知ってもらう努力が大切なのだと思う。

 

冤罪は“面白い”ですよ。面白いという表現はどうかと思うが、実際に“何故こんなことになるのか?”と思わされることが映画や小説よりも多くある。

ニュースでは表面的にしか扱われないが、それぞれの事件の中身を知れば、もっと関心を持ってもらえる。そのきっかけづくりが大切では。

 

 「大崎事件」、東京では“山手線の駅にある大崎?”と言われます。

正解は鹿児島の大崎町。事件の概要はこちらの動画で。

www.youtube.com

確かに全国紙も大切ですが、地元紙が報じてくれるのは、とても心強いと思います。

大崎事件は「南日本新聞」(鹿児島)、飯塚事件は「西日本新聞」(福岡)、湖東記念病院事件は「京都新聞」が“これは冤罪”と、繰り返し報じています。

しかし「北陵クリニック事件」の場合、地元の宮城ではいまだに“守大助が犯人だろう”という心ない言葉もきかれるといいます。

宮城の地元紙である「河北新報」に頑張って欲しいですし、支援者としてもメディアの背中を後押しする活動をしなければと思います。

 ◆取調官に好意を抱くのは珍しいケースじゃない

話題は再審無罪が確定した「湖東記念病院事件」へ。誰がどの発言をしたか私の記憶がグチャグチャなので、発言者を明記せず紹介します。

「湖東記念病院事件」は無罪が確定したのに、滋賀県警は謝罪しない。これが“正義”の顔をした警察の態度なのか? 取調べでは情に訴えて自白を迫るくせに謝罪もナシなんて、本当にひどい。

 

西山美香さんは取調べの刑事に好意を持ってしまったというが、こうしたケースは実は珍しくない。刑事が被疑者の気持ちを引き寄せて、思い通りの自白を引き出すのはよくあること。

 

被疑者は何十日も身柄を拘束されて取調べを受ける。そんな状況の中、刑事や検察官は“取調べのプロ”としてアメとムチを使い分けて自白を迫る。被疑者は、本当に誰が味方なのか分からなくなってしまう。

それに対して、弁護士が接見できる時間はごくわずかしかない。

  

“オレの言う通りに罪を認めろ。悪いようにはしないから。弁護士なんか信用するな”というのは、取調べの刑事の常套句のようです。

「東住吉事件」で再審無罪を勝ち取った青木恵子さんも、同じような体験を語っていました。刑事に“洗脳”されたせいで、最初の頃は接見に来た弁護士を疑ってしまい、信頼関係を築くのに時間がかかったといいます。

 西山美香さんの場合“刑事に好意を持った”という部分だけが切り取られて一人歩きし、それを西山さんの落ち度のように非難する声もきかれます。

しかし実はその前に、同じ刑事によって拷問のような自白強要がありました。それはまさに“マインドコントロール”と呼ぶべきものでした。

『冤罪白書2019』に西山さん本人が寄せた手記から、取調べの様子を紹介します。

亡くなられた患者さんの写真を並べて「この写真を見ても、何も思わないのか」とまた怒鳴り、そして私が座っていたイスの足の部分を蹴り、「なめてたらあかんぞ」と怒鳴られ、その拍子に私はイスから落ちて尻もちをついてしまいました。

(中略)

(自白したら)取調べ刑事が急に優しくなり、私は、このY刑事の言うことをきいていたら、恐い思いをしないですむという甘い考えでした。

(中略)

この取調べ刑事(Y刑事)は、うまく私を利用し、供述彫塑を作っていきました。

 このY刑事=山本誠の取り取調べや滋賀県警の対応については、このブログでも何回か書いてきました。

【116】「湖東記念病院事件」検察“有罪立証断念”の狙いとは? - Free大助!ノーモア冤罪!

【118】「湖東記念病院事件」滋賀県警は無実をわかってて逮捕か(怒) - Free大助!ノーモア冤罪!

【137】「湖東記念病院事件」無罪!!but…冤罪を作り上げた連中をこのまま逃がすな!! - Free大助!ノーモア冤罪!

 ◆たった1人の無実の人を救えない社会で良いのか

 村本

「大崎事件」の原口アヤ子さんの、何を守りたいのか?

 

亀石

事件の裁判資料を読んでアヤ子さんの無実を確信して「大崎事件」の再審弁護団に加わった。おそらくアヤ子さんも相当キツい取調べを受けたはず。にもかかわらず一度も自白していない。

刑務所でも模範囚だったため、仮釈放の機会が3回もあった。しかし釈放の条件として、罪を反省する態度を示さなければならなかった。

アヤ子さんは“やっていないのだから、反省などできない”と仮釈放を蹴って、満期の10年で出所した。

“たった1人”の無実の人を救うのは、弁護士の使命。

アヤ子さんを救うのと同時に、1人の無実の人を救えない社会ではダメだ、という想いもある。

 

 以上です。

このブログで伝えようとしながら、拙い文章でなかなか伝えられないでいることを、分かりやすく語ってくれました。アーカイブがないのが本当に残念です。

でも他の3名はアーカイブで視聴できるので、ぜひ観てください!!

そして「大崎事件」クラウドファンディングも、引き続きよろしくお願いいたします!!

readyfor.jp

 

亀石さん(左上)、趙さん(右上)、そして村本さん。予定時間の1時間を約30分オーバーした、内容の濃いトークをありがとうございました!!

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