Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【142】「湖東記念病院事件」滋賀県警に要請書を提出

◆要請書、全文紹介します

「湖東記念病院事件」で、新しい動きがありました。

このブログでは、以下のように書いてきました。

再審無罪が確定したからと言って“良かったね”で終わらせるべきではない。事件を支援してきた「日本国民救援会」や「再審・えん罪事件全国連絡会」は、冤罪を作り上げた滋賀県警に対して何らかのアクションを起こすべきだ。

(こちらに書きました)

【137】「湖東記念病院事件」無罪!!but…冤罪を作り上げた連中をこのまま逃がすな!! - Free大助!ノーモア冤罪!

【140】“こんな人たち”に屈するワケにはいかない - Free大助!ノーモア冤罪!

そうしたら本当に救援会が、県警本部長宛に要請書を提出しました!!

以下に全文を紹介します。

※読みやすくするため、私の方で原文に改行を入れています。

湖東記念病院人工呼吸器事件の検証と西山美香さんに謝罪を求める要請書

  滝澤依子 滋賀県警本部長  殿

 2020年4月23日

3月31日、大津地裁(大西直樹裁判長)は湖東記念病院人工呼吸器事件再審裁判において、再審被告人の西山美香さんに無罪判決を言い渡しました。

判決は、西山さんに虚偽の自白を強要した捜査のあり方を厳しく断罪し、自白調書を証拠から排除しました。

津地裁判決は、無辜の救済という再審制度の理念を実現したことで滋賀県民をはじめ多くの国民が歓迎しています。

また、全国紙をはじめ多くの地方紙も社説で今回の無罪判決を高く評価するとともに、そもそも事件性がなかった本件で、警察が西山さんに対して違法・不当な自白偏重の捜査をしたことと、警察と検察が証拠を隠したことを厳しく断罪しています。

判決では、取り調べの警察官が、軽度の知的障害がある西山さんから恋愛感情を寄せられていたのを熟知しながら、捜査機関のストーリーに整合する自白を引き出そうと誘導したと断じました。

さらに、警察、検察による恣意的な証拠の取り扱いも厳しく批判しています。本件では、検察が187点もの証拠を弁護側に開示したのは再審開始決定確定後であり、その内の58点は警察から検察に送致されていなかった証拠でした。

そのなかには、事件性を否定する「たん詰まりで死亡の可能性」を指摘した医師の報告書も含まれており、それが検察に送致されたのは昨年7月です。西山さんが人工呼吸器を外していないと主張した供述調書も長らく送致されていなかったのです。

これらの証拠が検察に送致されていれば、西山さんは起訴されることはなかったかもしれません。憲法刑事訴訟法、犯罪捜査規範等にも反しており、冤罪事件を作り上げた警察の責任は重大です。

西山さんにとっては、逮捕から約15年9カ月ぶりに再審無罪判決によって、やっと殺人犯の汚名が晴らされ名誉回復につながりました。

しかし、懲役12年、最初の再審請求から9年半が経過しました。自由と大切な青春時代を奪われ、失われた年月はあまりにも長いと言わざるを得ません。

無罪判決にあたって滋賀県警は、「無罪判決については真摯に受け止め、今後の捜査に生かしたい」とコメントしましたが、西山さんに対する謝罪はいまだにいっさい行われていません。

しかも、無罪判決が指摘した西山さんに対する違法・不当な取り調べについて、「常に取調官と被疑者という関係を維持していた」として取り調べが適切に行われていたかのように述べています。

さらには、西山さんの無罪を示唆する重要な証拠を検察に送っていなかったことについても、調査を行ったとしながら、その調査報告書を公表しない、再調査も行わないとしています。

その後のマスコミの取材をはじめ、県警本部長の定例の記者会見においても、記者からの「警察の責任を問う」質問にいっさい応じていません。

「無罪判決を真摯に受け止め、今後の捜査に生かしていく」というコメントは単なる口先だけのもので、県警の姿勢は、「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってならない」とする警察法2条(※)に掲げる警察の責務の放棄であり、国民の信頼を著しく踏みにじる行為です。

私たちは、滋賀県警がこの事件の捜査を真摯に反省し、徹底的に検証をおこない、その調査結果を公表し、二度と冤罪を生み出すことがないように捜査のあり方を抜本的に改善することを求めます。

そして、何よりも警察の違法・不当な捜査によって人権侵害を受けた西山さんと家族に謝罪することと損害を償うことを強く要請します。

 

  ※「警察法 第2条」

1. 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
2. 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。

◆これからの県警の対応に、ご注目ください

要請書を提出したことは「京都新聞」と「しんぶん赤旗」が報じています。「赤旗」によると “上司に伝える” と担当者が答えたということです。

本当に滋賀県警は反省し、二度と冤罪を起こさないよう再発防止策を講じるのか?

そして、西山美香さんに心から謝罪をするのか?

この先の動きを見守りたいと思います。

 

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