Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【115】守大助さんからのメッセージ

◆無実を訴える切実な声、どんどん拡散してください

わずかながら暑さもやわらいできました。エアコンのない千葉刑務所で過ごす毎日、一体どんな心境でしょうか。

守大助さんから、8月のメッセージが届きました。大助さんから弁護団に手紙を出し、それを弁護団が全国の支援者にFAXしたものです。大助さんは外部に出せる手紙が「毎月5通」と決められています。たくさんの人にメッセージを送りたい場合、こうするしかないのです。

もちろん刑務所ではメールやSNSで情報発信する自由なんかありません。今でも冤罪支援の世界では、昔ながらの手紙とFAXが欠かせないツールなんです。

そんな厳しい制約の中で届けられた大助さんの切実な声を少しでも広げようと、当ブログではメッセージが届くたび紹介しています。なのでフェイスブックでのシェアや、ツイッターでの拡散は大歓迎です! よろしくお願いいたします!

◆以下大助さんのメッセージ、本文です

残暑お見舞い申し上げます。

立秋とは名のみの厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしですか。

全国の皆さんお元気ですか。

暑い中、街頭宣伝、署名活動、学習会、そして最高裁への要請をして下さり、本当に有り難うございます。全国集会には多くの方に参加していただき、とても嬉しく心強くなっています。必ず真実が照らされると信じ、私は負けずに! 無実を訴え闘っていますので、安心して下さい。

大崎事件では、弁護側の法医学鑑定を最高裁は“遺体を直接検分していないので、信用できない”として再審開始を取り消しました。本件では患者さんの診断を主治医が診察し!!当時の状態を観て診察しているのに、検察側証人による推測による証言が信用できるとされています。大崎と本件の判断、余りにも矛盾すぎます。東北大学関係者で固められた、診断もしていない、推測の証言が信用できるという判断が、公正でしょうか。

私は絶対にやっていません。筋弛緩剤を混入していません。患者さんを苦しめたり、殺めたりしていません。私は無実です。

第一次特別抗告審で「再審開始・釈放」を勝ち取るため!全国の皆さんのお力をお貸し下さい。助けて下さい。両親が元気でいる内に、帰りたいです。

2019年8月 無実の守大助

 ◆「大崎事件」の“遺体を直接検分していない”とは?

メッセージの中で、6月25日に最高裁で再審開始決定が取り消された「大崎事件」について言及しています。このことについては以前書きましたので、下記を参照ください。

【111】「大崎事件」再審取消の裏にある許せないハナシ - Free大助!ノーモア冤罪!

【112】「大崎事件」最高裁決定に対する各団体の声明 - Free大助!ノーモア冤罪!

改めて説明すると「大崎事件」の再審弁護団は、原口アヤ子さんの無実を示す新しい証拠として「吉田鑑定」と呼ばれる法医学鑑定を提出しました。これは被害者の死因は他殺でなく事故による可能性が高いとしたもの。鹿児島地裁福岡高裁はともに「吉田鑑定」を評価し、再審開始を決定しました。

ところが最高裁は “鑑定人の吉田謙一・東京医科大学教授は遺体を直接検分していないから信用できない” として、再審開始を取り消してしまったのです。大崎事件の発生は1979年。40年も前の事件の遺体をどうやって見ろというのでしょうか? こんな理屈がまかり通ったら、そもそも再審制度など成り立たなくなってしまいます。

さらにスゴい事実があります。事件当時に “遺体を直接検分した” のは、城哲男さんという法医学教授でした。城教授は遺体の傷が他殺によるものとし、この鑑定が柱となって原口アヤ子さんは有罪にされました。

ところが後になって城教授は鑑定資料を再検討し、他殺とした結論を撤回。その経緯はこちらの記事に詳しく書かれています。

裁判所の「正義」とは?~「大崎事件」最高裁決定の異常(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

客観性と科学性にもとづいて自らの誤りを修正した城教授には、本当に頭が下がります。最高裁はこうした事実を完全に無視して、再審開始決定を取り消したのです。

◆「北陵クリニック」では “直接診察した” 主治医を無視

大助さんの「北陵クリニック事件」では、患者さんの主治医は “急変の原因は抗生物質の副作用によるもの” と明言。つまり “直接診察した” 医師が、筋弛緩剤が使われた犯行の可能性をハッキリ否定したのです。

一方で検察側の証人(=大助さんを有罪にするために)に立ったのは、東北大学名誉教授の橋本保彦氏(故人)。橋本氏は患者さんを診たことは一度もなく、憶測だけで “急変は筋弛緩剤によるものだと思う” と証言しました。橋本氏の専門は麻酔学で、筋弛緩剤はそれほど詳しくなかったといいます。

主治医と橋本氏、どちらの言い分が信用性が高いかは言うまでもありませんよね…。ところが2004年、仙台地裁は橋本氏の証言を採用して大助さんを有罪に。仙台高裁、最高裁もこれを追認します。

一方では “直接検分してないからダメ” で、他方では “直接診てなくてもOK”。裁判所には原理原則も明確な基準もないようです。最初から有罪という結論ありきで、その場しのぎでテキトーな判断を下しているとしか思えません。大助さんの憤り、本当にその通りだと思います。

これが日本の司法の実態です。裁判所は公正で厳格などというのは幻想にすぎません。大助さんの身に起きたことは、いつ誰の身に起きてもおかしくありません。こんなバカな状況、何としても変えましょう!!

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