Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【80】本の紹介『不当逮捕』築地警察交通取締りの罠

■突然の逮捕!その時どうする?

冤罪は遠い世界の出来事でなく、日常の中で誰の身にでも起こる…。

もし自分がそうなったら、どう行動するのか?

泣き寝入りするのか、声を上げて闘うのか?

ある日突然冤罪に巻き込まれ、その不条理と闘った男性の体験を綴った不当逮捕 築地警察交通取締りの罠』(林克明・著/同時代社)は、そんなことを深く考えさせられる1冊です。

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本著の主役は、都内で寿司店を経営する二本松進さん。2007年10月11日の朝、仕入れで通い慣れた築地市場の路上で、“駐車違反をした、しない” で婦人警官と口論になりました。

そして何と…逆上した婦警は  “暴行を受けている!” とウソの通報。二本松さんは駆けつけた約20人もの警察官に囲まれ、手錠をかけられて逮捕され、築地警察署に19日間も拘留されたのです。

取り調べでは婦警に暴力を振るったという、全くのデッチ上げの罪を認めるよう迫られ、認めないと寿司店が潰れるぞ!という、脅迫的な言葉も投げかけられました。

結局起訴されなかったため、被告人として裁判にかけられるのは避けられました。しかし義憤に駆られた二本松さんは、警察の責任を追求すべく国家賠償訴訟を起こします。そして足掛け10年にわたる闘いの末、全面勝訴とならなかったものの、一部警察の責任を認めた判決を勝ち取ります。

部分的とはいえ、警察相手に勝利を勝ち取るのは異例中の異例。

闘いの軌跡がどのようなものであったのかは、ぜひ1冊購入して読んでください!

もし皆さんが冤罪に巻き込まれた時、この本を読んで少しでも予備知識を持っていれば、動揺せず有効な防御策が打てるかもしれません。

■“どうせダメだ!”とあきらめず、とにかく闘ってみる

10月20日には出版記念パーティが行われ、それに先立ち二本松さん自らが現場となった路上を案内してくれました。

マイクを片手に、婦警とのやり取りを説明する二本松さん。警察のあまりのデタラメぶりに、20名以上の参加者からは笑いがあふれました。終始和やかな雰囲気だったのも、やはり国賠に勝利できたからでしょう。

勝てたのは単に運が良かったからではなく、二本松さんの不撓不屈の精神が呼び寄せたものです。

最初、二本松さんは自分で訴状を書き、1人で国賠を起こしました。法律の知識が豊富なわけでもなく、もちろん裁判の経験だってゼロ。そんな状況で1人立ち上がるのは、本当に大変だったでしょう。弁護士が付いて支援の環が広がるのは、少し後のことです。

婦警や逮捕・取り調べをした刑事の肩書きを今一度確認するため、名刺をもらおうと自ら築地警察署に足も運びました。これに対応した警察も素晴らしい(笑)ですが、単身警察署に乗り込んだ二本松さんの行動力に、ただ脱帽です。

そして一貫して二本松さんに寄り添い、共に闘った奥様・月恵さんの存在なくして、この物語は語れません。繰り返しになりますが、ぜひご購入の上、お読みください!

一番いけないのは “どうせダメだろう” と最初からあきらめてしまうこと。

許せないと思ったら、とにかく声を上げてみる。ナリフリ構わず行動してみることが大切なんだと、二本松さんの本から改めて教えられた気がします。

もちろん「北陵クリニック事件」守大助さんの再審無罪を勝ち取る闘いも、“どうせダメだろう” なんてこれっぽちも思っていません。

築地市場の現場を案内する、二本松進さん。

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