【47】だから必要!「再審法」のポイント
ようやく…となりますが、
前々回に予告をした「再審法」について書いていきます。
■背景〜そもそも何故「再審法」が必要なのか?〜
まずは基本的なポイントをおさらいします。
裁判で有罪になって刑が確定したけど、
実は冤罪の可能性が高い…という事案について、
もう一度裁判をやり直すのが「再審」です。
そしてこれまでの例を振り返ると一度再審が開始されれば、
ほぼ100%「無罪」となっています。
(再審をやったけど、やっぱり刑は変わらない…という例を私は知りません)
「北陵クリニック事件」の守大助さんをはじめ、
全国各地の刑務所から無実を訴えている人がたくさんいます。
中には無実を訴えたまま、死刑が執行された例もあります。
(このブログでも紹介した「飯塚事件」「福岡事件」など)
こうした人々を獄中から取り戻す、
(処刑されてしまった場合は名誉を回復する)
もっとも現実的かつ唯一の方法が再審なのです。
しかし500条以上からなる「刑事訴訟法」は、
再審について書いてはありますが(第435条〜453条)、
厳密な手続きというモノが定められていません。
なので全ては裁判官の裁量次第。
やる気のある裁判官が担当すれば、
協議が迅速に進んで再審・無罪になり、
ダメな裁判官が担当すれば、
大助さんのように4年間ほぼ何もせず放置された挙げ句に、
棄却という結果になってしまいます。
そしてこのブログでも度々指摘していますが、
検察は無実の証拠を隠して出さなかったり、
再審開始決定に対して抗告したりと、やりたい放題。
日本は法治国家と言いながら、
再審を巡る状況は事実上 “無法地帯化” しているのです。
そこで「刑事訴訟法」とは別に「再審法」を成立させて、
ルールを明文化しようというわけです。
■「再審法」7つのポイント
「再審法」に向けた運動の中心を担っているのが、
「九州再審弁護団連絡会」。
再審を闘っている冤罪事件が集中している九州地方の弁護団と、
(大崎、飯塚、福岡、マルヨ無線、菊池、松橋事件)
大学の研究者などが連携した運動体です。
現在は九州以外の冤罪当事者や各事件の支援者、
さらに一部の国会議員も加わり、
どんどん運動が盛り上がっています。
そして「再審法」の柱として7つの優先課題をあげています。
※各項目下の小さい青文字は、私の補足です。
1「疑わしきは被告人の利益に」の明記
1975年の「白鳥決定」というのがあって…ちょっとムズカしいので機会を改めて説明します。
2 再審における証拠開示手続きの明記
検察は無実の証拠を隠さずに全部出せ!
3 憲法違反が再審事由となることを明記
日本国憲法に違反した手続きで有罪になったケースについても再審を認めろ!
4 請求権者の拡大(公益的請求人を追加)
冤罪当事者や検察官だけでなく、弁護士等にも再審を請求する権利を!
5 検察官上訴の禁止
再審開始決定に対する検察の抗告は絶対ダメ!
6 検証機関の設置
何故冤罪が起きたのか、検証する第三者機関を設置して二度と同じ過ちをくり返さないように!
7 冤罪被害の回復
再審無罪を勝ち取れたから、全てOKではありません。
「本当は犯人なんだろう」という心ない偏見をはじめ、
本当に大変なのは社会に戻ってから。そこを上手くケアする仕組みが必要です。
以上です。この7つが実現したら、
守大助さんの再審もスグにでも開かれるでしょう。
私も微力ではありますが、
「再審法」実現に向けた運動に参加していきたいと思います!
そして…
2月27日に開かれた「再審法改正を目指す院内集会」の
動画サイトのリンクも張っておきます。
袴田秀子さん(袴田事件)、桜井昌司さん(布川事件)、菅家利和さん(足利事件)
も駆けつけ、それぞれにアツい想いが語られました。
ぜひ観てください!
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