Free大助!ノーモア冤罪!

「北陵クリニック事件・無実の守大助さんを守る東京の会」事務局長の備忘録〜素人の素朴な目線から冤罪を考える〜

【60】愛知県警のポスター“あの人、逮捕されたらしいよ”

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

このブログでは守大助さんのこと以外にも、

冤罪や刑事司法について、思ったことを書いています。

 

今回は、愛知県警の痴漢抑止ポスターについて。

あらましは、こちらのニュースをご覧ください。

「あの人、逮捕されたらしいよ。」痴漢撲滅の警察ポスターを弁護士が批判。なぜ?(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

 

“あの人、逮捕されたらしいよ” というキャッチコピーに、

LINEと思われる女性2人のトーク

「聞いた?あの人、痴漢で捕まったらしいよ。」

「えwwwwwwwww」

「本当本当!さっきネットニュースで見た!!!そんな人に見えなかったわ」

「気持ち悪 軽蔑だわ 性犯罪者じゃん」

「仕事もクビになるよねー。家族も悲しむだろうなあ」

「そりゃそうだわ 私は一生関わりたくない」

「この先どうなっちゃうんだろう…」

「そういえば…私先月あの人と電車で偶然会ったよ」

「そうなんだ?! 変なことされなかった?」

「あの時は何もなかったけど」

「なんかもう、あの人のこと思い出したくもない」

「女性の私たちも被害に遭わないよう気をつけなきゃね」

 

たかがポスターと言うなかれ。

記事中で亀石倫子弁護士が指摘しているように、

推定無罪の原則を無視した、トンでもない代物だと思います。

日本広告審査機構JARO)に苦情を申し出ようかと思っているくらいです”。

と言われていますが、

本当にこれは何らかの手を打って、

回収・破棄させなければなりません。

私もどんなアクションを起こす事ができるか、考えます。

 

最大の問題は、制作者が警察であること。

このポスターが世に出るまでには、

当然何人ものチェックを受けたはずです。

このコピーでいいのか…

このデザインでいいのか…

この訴求方法でいいのか…

誰も疑問を差し挟まなかったのでしょうか? 

 

以前、愛媛県警の取り調べマニュアルというのを紹介しました。

【20】これは言わずにいられない〜徳島県警の誤認逮捕〜 - Free大助!

 やはり逮捕=犯人で冤罪など存在しない…というのが警察の本音。

それがポスターにそのまま現れてしまっています。

 

警察は、私たちの暮らしになくてはならない存在。

批判するだけでなく、建設的に変えていく方法を、

引き続き考えていきたいと思います。

 

これがそのポスター。ネットから拾ったので解像度が低めです。

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【59】6月21日「くり返すな冤罪!市民集会Ⅱ」へようこそ

前の投稿に続いて、またイベントのご案内です。

 

■「くり返すな冤罪!市民集会Ⅱ」

●6月21日(木)

●夕方6時30分〜

●参加費500円

●文京区民センター3A会議室

 東京メトロ丸ノ内線南北線)「後楽園」 から徒歩6分

 都営地下鉄三田線 「春日」 から徒歩2分

 JR「水道橋」から徒歩10分

※すぐ近くに「文京シビックセンター」という、

似た名前の会場がありますので、お間違いのないように!!

 

昨年の11月には1回目を開催しました。

【24】「くり返すな冤罪!市民集会」で守大助さんのご両親が訴えました! - Free大助!

それから約半年の間に守大助さんの再審請求は棄却。

他の冤罪事件にもいろいろな動きが出て来ており、

闘いは重要な局面を迎えています。

内容は下記のチラシでご確認ください。

「守大助さん東京の会」も、実行委員として参加しています。

平日の夕方ですが、お待ちしています!!

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【58】6月23日「無実を叫ぶ死刑囚たち」へ

また更新がちょっと空いてしまいました。

仕事がちょっと立て込んでいて…と言い訳になってしまいますが、

堀江貴文氏の「多動力」でも見習って、

本業とボランティア全てをシームレスに両立できるようになりたいです。

 

さて今回はイベントの紹介です。

死刑廃止を目指す「フォーラム90」という運動体によって、

冤罪と死刑に関する集会が、下記の日程で開催されます。

 

■「無実を叫ぶ死刑囚たち〜狭き門のまえで」

●6月23日(土)

●午後1時15分〜4時50分(開場1時)

●参加費500円

●全水道会館大会議室

 JR水道橋から徒歩2分

 都営地下鉄三田線 水道橋A1出口から徒歩1分

 

私は残念ながら参加できませんが、

ぜひ一人でも多くの方に足を運んでいただきたいです。

いよいよ6月11日に再審可否の決定が出る「袴田事件」の小川秀世弁護士と、

飯塚事件」の徳田靖之弁護士も、九州から駆けつけるので。

 

飯塚事件」については、以前もこちらで書きました。

【34】iPS論文データ改ざんと冤罪の構図 - Free大助!

久間三千年さんは、逮捕以来一度も自白することなく、

最後まで無実を訴えたまま処刑されました。

しかも警察が捏造したデタラメなDNA鑑定によって…。

 

そして久間さんを死刑台に送った法務官僚たちは、

天下り先で悠々自適な余生を送っています。

こちらのリンクを、読んでください!!

本日再審可否決定の飯塚事件 「冤罪」久間氏の命を奪った責任者たちの天下り先 : デジタル鹿砦社通信

この事件、私は完全な国家権力による殺人だと思っています。

司法はここまでムゴいことをするということを、

一人でも多くの方に、知って欲しいのです。

最後まで無実を訴えながらも、法務官僚によって“殺された”久間三千年さん。

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【57】最高裁判所に要請、行ってきました。

仙台での再審請求棄却を受け、

守大助さんの自由を取り戻す闘いは、

東京・最高裁判所に移りました。

昨日5月16日は公正な判断を行うよう、

要請に行ってきました。

この「最高裁要請」は、

人権団体「日本国民救援会」が定期的に行っている活動です。

裁判所は一応は “開かれた司法” をタテマエにしているので、 

こうして市民の声を聴く場を設けてくれるのです。

 

昨日は大助さんの北陵クリニック事件のほか、

「大崎事件」「松橋事件」「湖東記念病院事件」など計5事件、

16人の支援者が集まりました。

最高裁は裏口を入ってすぐの、小さな会議室を用意してくれました。

正門からは堂々と入れたくないのかな…。

 

対応してくれたのは上席書記官のセキグチさん。

髪の毛からジャケットまでグレーの物静かな雰囲気の方で、

終始ほぼ無言でペンを走らせ、ポーカーフェイスを保っていました。

要請と言っても、裁判官が直接対応してくれるワケではありません。

私たちの声はセキグチさんのような事務方を経由して、

裁判官に届けられます。

そこでどんなやり取りが行われているかは、ブラックボックスです。

 

大助さんの支援者は私のほかに千葉と愛知からも参加し、

この事件が冤罪であること、

最高裁の公正な判断に期待していることを、

それぞれに訴えました。

大助さんの支援活動を行っているグループは全国に43あります。

遠くからわざわざ足を運んでくることに、

本当に頭が下がる想いです。

 

湖東記念病院の当事者である西山美香さんも滋賀から駆けつけ、

“最後までがんばりたい” と、思いの丈を語りました。

 この事件については、こちらで紹介しました。

 【30】クリスマスの日、守大助さんに面会してきました! - Free大助!

 無実を訴えながら12年間を塀の中で過ごした末に、

やっとの想いで勝ち取った再審開始決定。

しかし検察の特別抗告により、未だに無罪が確定していません。

もし最高裁が検察の言いなりになって再審開始を取り消せば、

もう一度再審を請求し直さなければなりません。

また長い年月がかかってしまいます。

 

同じく昨日要請を行った「大崎事件」「松橋事件」も、

まったく同じ状況です。

この2事件については、こちらで紹介しました。

【27】冤罪「松橋事件」どうする検察!? 12月4日に注目! - Free大助!

【28】冤罪「松橋事件」やはり検察は特別抗告(怒) - Free大助!

【40】大崎事件、再審開始決定!だが喜ぶのはまだ早い - Free大助!

 “針の穴にラクダを通すほど難しい” と言われる

再審開始決定を勝ち取りながら、

検察の抗告によって無罪確定がストップしている事件が、

3つも最高裁に上がってきているのは、

おそらく日本の刑事司法が始まって以来の異常事態です。

公益の代表者という使命を放棄し、

“司法マフィア” となった検察の蛮行と、

それをハッキリと断罪しないマスメディアについても、

このブログでたびたび指摘してきた通りです。

 

最高裁がどんな判断を下すか、

シッカリ注目していきましょう!!

裁判所を変える責任は、私たちにあります。

 

最高裁判所の裏口にあたる西門。最高裁の建物は正面から見ると周囲を寄せ付けない威圧的な形をしていますが、裏側から見ると普通のビルです。

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【56】守大助さんの詩「母」

今日は(日付が変わったのでもう昨日ですね)「母の日」でした。

皆さんはカーネーション、プレゼントしましたか?

守大助さんは、獄中でたくさんの詩を綴っています。

その中から「母」という詩を紹介します。

 

実家で母と会話したのが

2001年1月5日…

これを最後に外で会話できない

母と一緒に 買い物に行ったこと

母と一緒に食事したこと

母もきっと忘れていないだろう

もう少しです もう少しの辛抱です

必ず帰りますから

元気でいてください

 

“2001年1月5日”は、逮捕される前日。

1月6日の朝8時30分頃、

家に警察官が来るまでは、

普通の生活をしていました。

それから17年以上も塀の中とは、

想像すらできなかったでしょう。

日本の刑事司法を変えない限り、

大助さんの身に起きたことは、

私たちの誰にでも起こりえます。

 

実は大助さんの詩、朗読で聴けるラジオ番組があります。

インターネットラジオ放送局「ゆめのたね」(東日本チャンネル)の、

日曜日22:30〜「笑顔のチカラヂオちぼびたんでー」です。

支援者仲間のちいぼうさんがパーソナリティで、

大助さんのことも紹介しています。

リンクを貼っておきましたので、

ぜひ一度、お聴きになってください。

 

www.yumenotane.jp

 

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【55】“黙秘はケシカラン”と“セクハラ被害者は名乗り出ろ”

前回の “疑わしきは被告人の利益に” に続いて、

今回は“黙秘” について書きます。

正しく理解されていないように思うので。

 

警察の取調べや裁判の法廷で “黙秘している” というと、

“ケシカラン奴だ!” という印象を持ちますよね?

メディアも“黙秘=フテブテしい奴” という文脈で報道します。

もし無実なら堂々と“やってない”と言えばいいじゃないか…という意見、

一見もっともに聴こえます。

ある裁判員裁判では黙秘を貫いた被告人に対して、

“本当のコトを語って欲しかった” と感想を述べた裁判員がいました。

こちらも正論に聴こえますが、実はちがうんです。

 

黙秘というのは私たち市民が、

強大な権力から身を守るために与えられた、

尊い権利なのです。

 

このブログでも度々書いてきましたが、

警察は一度コイツが犯人だ!と思い込んだら、

取調室でトコトン締め上げて自白させようとします。

自分たちが考えた犯行のシナリオに合わせて、

強引に喋らせて自白調書をデッチ上げます。

そのデタラメな自白が裁判では “信用性がある” となって、

有罪判決が下されるコトもよくあります。

 

法廷では検察が被告人にいろいろ質問をします。

ただの質問なら良いのですが、

 “被告人=犯人=有罪にすべき” という前提で、

巧みに誘導してくることもあります。

 

こうした権力の横暴から身を守るには、

一切を語らない=黙秘するのが一番。

強大な権力を持つ警察・検察・裁判所に対して、

何の権力も持たない私たち市民に与えられた最善の防御策。

それが黙秘権なのです。

 

守大助さんも逮捕されたその日に、

デタラメの自白をしてしまいますが、

警察署に駆けつけた弁護士から、

“やってないならやってないと言って、黙秘しなさい”

とアドバイスを受けた後は黙秘を貫きました。

刑事は激怒し、

「ふざけるな!何が『やってません!黙秘します!!』だ。なめてるのか!」

とさらに苛烈な取り調べを行いましたが、

大助さんは一通の自白調書も取らせませんでした。

 

先ほどの裁判員裁判に、話しを戻します。

裁判員は、黙秘の意味を理解していなかったのでしょう。

これは本当に恐ろしいことです。

裁判員みんなが

“黙秘なんてケシカラン奴だ!こんな奴は死刑に!”

と思ったらどうなるでしょうか?

裁判は公開私刑(リンチ)の場になってしまいます。

ただでさえ日本は死刑賛成派が多く、

“ワルい奴は吊るせばいい” という感情が渦巻いています。

無実を訴え黙秘をする被告人が、

次々に厳罰に処される恐ろしい社会になるでしょう。

 

財務省のセクハラ問題では、

“被害女性は堂々と名乗り出ろ” という声が上がりました。

“黙秘せず堂々と話せ” という意見にソックリです。

ちゃんと名乗り出れば、堂々と話せば分かってくれる…。

国家権力とは、そんなモノじゃありません。

なぜ黙秘権があるのか? 今一度心に留めておきたいですね。

 

守大助さんと阿部泰雄弁護士の共著「僕はやってない!」。

取り調べの様子も詳しく書かれています。いずれ紹介します。

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【54】刑事司法にこそ“素人力”を!

このブログ【51】で紹介した「守大助さん三多摩の会」総会、

特別講演をされた村井敏邦一橋大学名誉教授から、

終了後の懇親会で、勇気づけられるメッセージをいただきました。

(村井教授は刑法の第一人者であり、

 弁護士としていくつかの冤罪事件の救済にも関わってきました。

 プロフィール・実績など、ぜひ検索してみてください!)

 

無罪を勝ち取る運動には多くの人が、

“こんな裁判はおかしい!”と思うことが必要。

弁護士や研究者だけが頑張ってもダメ。

市民の参加こそが大切。

“自分は法律の専門家じゃないから…”とか、

“こんな初歩的なことを質問したら恥ずかしい”などと

怖じ気づかないで、

素人だからこその素朴な疑問を大切に、

声を上げて欲しい。

 

本当に…まったくその通りです!

刑事訴訟法を読むのも裁判の判決文を読むのも、

とても骨が折れますし、

司法って本当に難しいです。

だからと言って“私は関係ない”で良いのでしょうか?

 

司法は本来、私たちの暮らしを守るためにあります。

一人ひとりに大きく関係しているものです。

だからこそ健全に機能するように、

関心を持ってしっかり監視しなければならないのです。

 

守大助さんの身に起きたことは、

決して他人事ではありません。

いつ私(貴方)自身が、または大切な誰かが、

突然身に覚えのない罪で逮捕され、

苛烈な取調べで自白を強要され、

杜撰な裁判で有罪にされるかもしれないのです。

警察や検察、裁判所にそうさせないことは、

私たち自身の責任。それが民主主義のハズです。

このブログを立ち上げたのも、そんな想いからでした。

なのでサブタイトルに、

“素人の素朴な目線から冤罪を考える”と付けました。

 

秘密保護法、安保法案、共謀罪の時は、

“素人”である市民が国会前デモに繰り出し、

一人ひとり声を上げました。

法務省最高裁に対しても、

同じムーブメントを巻き起こしたい…!

そうした波は着実に起こりつつあります。

 

街頭で守大助さんの無実を訴える宣伝をしていると、

“ちょっと読ませてください”と、

進んでビラを取ってくれる若い人が増えています。

引き続きできるだけ分かりやすく、

身近に、カジュアルに(これは実現できてないかな…)、

大助さんのことや冤罪のこと、

日本の刑事司法のことを伝えていきたいと思います。

 

あっ…大事なことを書き忘れていました。

村井教授の講演の内容は

“冤罪・再審事件の現状と問題

〜疑わしきは被告人の利益が実践されているか”です。

 

“疑わしきは被告人の利益”については、

以前にこちらで書きました。

【36】無実の人は無罪に!〜疑わしきは被告人の利益って?〜 - Free大助!

この原則は刑事司法を理解するために、

とても大切なポイントとなっています。

かなり分かりやすく書けたのでは…と自負しています(笑)。

ぜひご一読ください。

 

村井教授、すばらしい講演をありがとうございました!

4月28日、国立市の北多摩西教育会館で。

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