【2】冤罪の支援って?
2回目は“冤罪の支援って、何をするの?”という質問にお答えします。
目的は、裁判で無罪を勝ち取ることです。
守大助さんの場合は2008年に裁判が終了し、有罪・無期懲役の刑が確定しています。
これを覆す唯一の方法が「再審(さいしん)=裁判のやり直し」を実現させること。
三審制(地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所)で下された判決について、
“間違っているから、もう一度やり直して無罪を出せ!”というわけですから、
とてつもなくハードルの高いチャレンジです。
勝ち取るには①当事者、②弁護団、③支援者が、心を一つにして闘うしかありません。
つまり…
①当事者である大助さんが、不撓不屈の精神で自らの潔白を訴え続けること、
②弁護団が法律のプロとして、法と証拠に基づいて裁判所を説得すること、
そして…
③支援者が“大助さんは無実!”と声を大にして、裁判官の良心に訴えること。
私たち「守大助さん東京の会」は、③の立場を少しでも担えるよう、
街頭でビラを配ったり、マイクを持って宣伝したり、
事件を知ってもらうための学習会を開いたり、 再審開始を裁判所に訴える署名を集めたり、
いろいろな草の根活動をしています。
このブログを開設したのも、その一環です。
大助さんは千葉刑務所に収監されており、
自分の声で外に向かって訴えるのが難しい状況にあります。
そんな大助さんに代わって世論を広げるのも、支援者の大切な役割です。
ちなみに全国には、私たちのような守大助さんの支援組織が40以上あります。
これだけ支援が広がっている冤罪事件は、なかなかありません。
“支援なんかしなくても、裁判官と弁護士に任せておけばいいじゃん”と言う方…、
そうじゃないんです。
私たち市民の活動には、大きな重みがあるんです。
元・裁判官の井戸謙一さんは、ある講演でこう語っています。
「多かれ少なかれ裁判官は悩みます。そこで踏み切る、決意するについては、
裁判官に勇気を与える市民運動の力が大きいのです。(中略)
思い切った判断をすれば、外部からの攻撃にもさらされます。(中略)
それでもやろうと決断するためには、この事件が多くの市民から注目されており、
自分の判断が多くの市民から支持してもらえるという実感が必要なのだと思います。
これが背中を押してくれるのです」
大衆に迎合する裁判官がいい、と言ってるわけではありません。
事実と道理にもとづいた公平な裁判所であって欲しいという、
当たり前のことを願っているだけです。
冤罪事件の支援に携わると、
“何でこれで有罪になるの?”というトンでもない事例が山ほどあります。
大助さんの事件をメインに、
そのあたりのことも徐々に書いていきたいと思います。
少しでも関心を持っていただけたら、嬉しいです。
【1】はじめまして〜ブログ開設しました!〜
一人の男性が、刑務所から無実を訴えています。
名前は守大助(もりだいすけ)さん。
大助さんは、宮城県仙台市にあった「北陵クリニック」の准看護士でした。
そこで患者さんの点滴に相次いで筋弛緩剤を混入し、
殺害を企てたとして逮捕されました。
事件の発生は2001年1月。
もう16年前ですが、
新聞やテレビで“恐怖の点滴殺人事件”とセンセーショナルに報道されたので、
“ああ、あの事件ね!”と、ご記憶の方も多いかもしれません。
大助さんは一貫して「僕はやっていない!」と無実を主張しています。
しかし2008年に裁判で無期懲役が確定し、千葉刑務所に収監されています。
29歳の逮捕時からずっと自由を奪われたまま、
この4月に塀の中で46歳を迎えようとしています。
この事件、トンでもない冤罪(デッチ上げの濡れ衣)だったこと、ご存知でしたか?
一刻も早く再審(裁判のやり直し)を実現して、
大助さんを塀の外に出そうという運動も、全国規模で盛り上がっています。
2014年12月には、東京でも支援組織が立ち上がりました。
名前は…
「仙台北陵クリニック・筋弛緩剤えん罪事件・無実の守大助さんを守る東京の会」。
“長いっ!”という方(実際に長いですよね)は、
「守大助さん東京の会」もしくは「東京の会」と呼んでいただいて結構です。
私はここで、事務局長を務めていますが、
事件のこと、大助さんのこと、冤罪は他人事じゃないこと…、
いろいろと知っていただきたくて、このブログを立ち上げました。
これから少しずつ記事をアップしていきますので、
どうぞ、よろしくお願いいたします。